有価証券報告書-第63期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 9:00
【資料】
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【項目】
101項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度における経済情勢は、国内においては緩やかな回復基調から踊り場を迎え、さらに後半期においては転換期に入り、景気後退に陥るリスクを抱える状況となりました。国外も好調だった米国経済にも後半期には陰りが見られ、中国をはじめとする新興国経済の減速や、欧州経済も低迷状態から脱しきれず、さらには地政学的リスクも増加するなど、先行きの見えない不透明な状況となりました。
このような状況の中、当社グループが事業を展開する電子材料分野は市況悪化の影響を受け、低迷しました。また繊維分野におきましても、概ね横這いながらも一部やや低調な動きとなりましたが、化粧品業界向けは堅調に推移し、製紙印刷業界も復調傾向となり順調な動きとなりました。その他工業用分野はポリエステル樹脂が引き続き好調に推移しました。
その結果、当連結会計年度の売上高は7,448百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は773百万円(同5.6%減)、経常利益は869百万円(同10.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は605百万円(同1.6%増)の減収増益となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(反応系製品)
反応系製品の中で繊維関係の国内においては、これまで好調を支えた細番手織物が需要の一巡から減速傾向にありますが、円安による織物生産の国内回帰や、高品位対応の油剤の需要増加もあり全体では概ね安定した推移となりました。一方、輸出においては、中国や韓国で細番手織物が生産調整となったことに加え、安価なローカル品との競合もあり、やや低調に終わりました。国内で繊維用油剤・糊剤の販売に注力し、新規ユーザーの獲得を進めましたが、輸出の減少により、全体としてはやや低調に終わりました。
化粧品関係においては、洗浄剤分野においてシャンプー・コンディショナー用添加剤用途で製品開発と拡販を積極的に進めた結果、インバウンド効果に加え、新たに水系製品の販売も開始し好調に推移しました。ヘアスタイリング剤においては積極的な樹脂開発と新規ユーザーの開拓に努めたほか、メーキャップ分野への展開を行った結果、既存製品を中心に国内外ともに堅調に推移しました。
製紙印刷関係においては、印刷関連業界がパッケージ用途で底這いから持ち直しの動きとなり、ダイレクトメール用途も個人情報問題による低迷から脱し、大口広告の案件も増加するなど復調傾向となりました。その中で当社グループは既存製品の高性能化を図るとともに、省エネルギーシステムに対応した高感度UVニスの開発や、環境対策関連製品として水性圧着ニスの開発に注力しました。さらに、非危険物プレスニスの販売を開始したこともあり順調な推移となりました。
その他工業用分野においては、水溶性ポリエステル樹脂が光学フィルム用途でディスプレイ向け製品が減速しました。また、輸出においては安価なローカル品の影響を受けやや低調な推移となりました。一方、包装用フィルムは好調に推移し、さらに円安効果によりテキスタイル用途として輸出が増加したことで全体として好調な結果となりました。メッキ関係においては国内が横這いに推移し、輸出は印刷用途が好調でしたが、車用途が低迷した結果横這いとなりました。転写樹脂関連においては、国内外ともに好調に推移しました。
その結果、当セグメントの売上高は6,225百万円(前年同期比1.6%増)、営業利益1,290百万円(同6.0%増)となりました。
(混合系製品)
国内においては、自動車関連は好調に推移しましたが、スマートフォン向け部品市場が一段落したことや、アミューズメント関連が下期に受注の谷間となり、やや低調に終わりました。
輸出においては、自動車関連やLED用途は好調に推移しましたが、中国でのタッチパネル用途が低迷しました。また、太陽電池関連はさらなる性能の向上が必要となり販売が低迷し、低調に終わりました。
その結果、当セグメントの売上高は1,222百万円(前年同期比10.7%減)、営業利益0百万円(同97.6%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から419百万円減少し、当連結会計年度末には2,337百万円となりました。
各キャッシュ・フローの概要は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は986百万円(前年同期比38.6%増)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益883百万円(同4.1%減)に対し、法人税等の支払額190百万円(同53.6%減)及びたな卸資産の増加額91百万円(同43.9%増)があったものの、減価償却費341百万円(同7.9%増)及び賞与引当金の増加額63百万円(同1,246.0%増)があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は1,076百万円(前年同期は増加額204百万円)となりました。これは主として、定期預金の預入による支出6,664百万円(前年同期比22.7%増)と有形固定資産の取得による支出344百万円(同6.3%増)に対し、定期預金の払戻による収入5,936百万円(同0.4%減)があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は333百万円(同68.0%増)となりました。これは、自己株式の取得による支出135百万円(前年同期は-)及び配当金の支払額198百万円(前年同期比0.0%増)によるものです。