有価証券報告書-第157期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 13:03
【資料】
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【項目】
151項目

研究開発活動

当社グループは、2研究所1センターからなるR&D部門を中核とし、神奈川県平塚市にある開発センターを中心に塗料事業部と共にグループ各社の技術部門と連携をとりながら、市場ニーズに適応した技術・製品をタイムリーに開発して参りました。当連結会計年度より新たな成長戦略を実現するべく、当社は技術開発部含む研究開発部門を事業部門と独立させ、更に効率的で幅広い研究開発活動を目指しております。また、グローバル展開を加速していくなかで、事業部門含めたグループ各社との連携をより一層強化し、各国市場に適合した新技術の開発及び世界に通用する人材育成に取り組んでまいります。
当連結会計年度に支出した当社グループ全体の研究開発費の総額は6,400百万円であり、当社グループ全体の研究開発活動に関わる技術員数は総計831人であります。
主な研究開発活動状況は次のとおりであります。
当社の基礎研究は、塗料に有用な基盤技術の蓄積を目的としております。基盤技術としては、樹脂設計、分散技術、色彩設計であり、グローバルに対応可能な新しい材料の創製を目指しております。また、デジタルツールの利用を積極的に取り入れ、機械学習を基にした調色システムなどを導入しています。更に既存塗料領域だけでなく、電池の電極膜のような成長市場の分野に対しても、配合設計や粒子分散など当社のコア技術を展開し成果をあげてきております。
分析研究においては、塗料・塗膜および電極膜のような新規分野製品の組成・状態・現象などを分析・解析できる技術を確立し、当社の研究開発に貢献しております。また、蓄積された莫大な耐久性に関する分析データを活用して高耐久性塗料の製品開発や販売促進に有用な情報を提供するなど、当社グループ全体の事業に支援・貢献しております。
色彩・意匠研究においては、自動車塗料分野では、国内外の展示会調査や最新の流行色動向を調査・分析し、その結果を反映させたアドバンスカラー提案色群を開発・提案いたしました。さらにグローバルに色彩動向調査を継続的に実施し、色彩提案活動を牽引しました。色彩適用技術としては、環境適応型塗料における耐候性及び色安定性向上の技術開発を推進し、意匠的付加価値の高い色開発に適用しました。また、色彩光学分野では、ITを用いたカラーデザインの適用研究を行い国内外の塗色獲得率の効率化と最大化を推進しております。
塗料・塗装システム開発においては、社会への持続的な貢献を目指し、地球環境に配慮した塗料や塗装を実現する技術の開発を推進しております。自動車塗料分野では、省工程・省エネルギーの環境対応技術として評価の高い水性3ウェット塗装システムの拡大・多様化の研究開発を一層推進するとともに、低VOC塗料・低温硬化・脱スプレー化・薄膜システム等、さらなる環境負荷低減材料設計を行っております。工業塗料分野においても、環境対応・省工程・水性化・ハイソリッド化に関する技術開発を行っています。建築塗料及び防食塗料分野においては、塗料の水性化を推進するとともに、遮熱・抗菌・抗ウィルス・防蚊・多彩模様化・耐火などの高機能化に関する研究と商品化に努めました。これらの塗料開発に必要な評価技術や評価装置の開発もあわせて行い、塗料開発の効率化、開発品の完成度向上を図っております。
得られた技術は当社グループ各社との共有化を図り、品質管理や環境・安全面に関する指導、お客様に対するコンサルティングなどのサービスに努め、信頼性の高いグローバル体制の確立をすすめております。また、コンプライアンスの視点から製品品質のみならず化学物質管理における当社グループ全体のガバナンス強化を進めており、よりお客様に安心・安全の製品の提供と共に情報の公開を更に推進してまいります。
なお、セグメントごとの研究開発費は、「日本」4,086百万円、「インド」417百万円、「欧州」1,610百万円、「アフリカ」44百万円、「その他」242百万円であります。