有価証券報告書-第121期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/28 10:32
【資料】
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【項目】
117項目

研究開発活動

当社グループは、ブランドスローガン「Color & Comfort」の下、光学・色彩、有機分子設計、高分子設計、分散などの基盤技術の深耕とそれらの複合化により、持続的成長につながる次世代製品・新技術の開発に積極的に取り組んでいます。
当社の研究開発組織は、事業に直結した研究開発を担う技術統括本部、次世代事業の創出と基盤技術の強化・拡大を担うR&D統括本部、さらに技術統括本部とR&D統括本部の中間領域において、技術複合型新製品やR&D統括本部開発品の早期事業化をプロジェクト形式で推進する製品化推進センターからなります。
また、国内のDICグラフィックス株式会社、サンケミカルグループの研究所(米国、英国及びドイツ)や青島迪愛生精細化学有限公司(中国)とも連携し、さらに2014年からは、主に中国、アジア・パシフィック地域における技術開発活動の拠点として、印刷インキ技術センター、ポリマ技術センター、ファインケミカル技術センター、藻類研究センター、ソリッドコンパウンド技術センター、顔料技術センターを整備し、グループが一体となってグローバルに製品・技術の開発を行っています。
一方、次世代技術領域の探索・基礎研究については、産官学連携などオープンイノベーションも積極的に活用しています。
当連結会計年度における研究開発費は、12,923百万円であり、このほか、当社及びDICグラフィックス株式会社における製品の改良・カスタマイズなどに関わる技術関連費用は、15,457百万円です。主な研究開発の進捗状況は以下のとおりです。
(1) プリンティングインキ
グラビアインキではバイオマス系のラミネート用インキを開発しバイオマス認定を取得、包装用接着剤の新製品もバイオマス認定を取得し、バイオマス製品のラインアップの拡充を進めています。また、耐油性、耐水性を付与できる食品紙容器の内面に使用できる水性コーティング剤や、高精細印刷対応のボイル・レトルトパッケージ向け水性フレキソインキ、各種用途向け高感度UVインキなどの環境調和型の製品を市場に投入しました。
海外ではサンケミカルグループが、再生可能な包装材への取り組みを強化しており、植物由来の再生可能な樹脂をベースにした水性インキの新シリーズの拡充を図っています。
(2) ファインケミカル
ディスプレイ関連の新製品開発に注力しており、カラーフィルタ用顔料の輝度向上や、ディスプレイの製造工程短縮に有用な高反応性PSA(Polymer Sustained Alignment)液晶、ディスプレイの高速応答化に有用なナノ相分離液晶、ポリイミド配向膜が不要な自発垂直配向型液晶などの開発に取り組んでいます。また、次世代ディスプレイ材料では、インクジェット印刷方式による量子ドットカラーフィルタ用インキに関しNanosys社(米国)との共同開発を進めています。
(3) ポリマ
電子材料用途では、耐熱性等に優れる半導体封止材向け活性エステル型硬化剤や、半導体実装向け厚膜レジスト用樹脂を開発しました。特に、厚膜レジスト用樹脂は独自の高分子設計技術とAI技術を駆使し新たなフェノール樹脂骨格を見出すことにより高耐熱性と柔軟性を両立したものです。また、低VOC型コイルコーティング用ハイソリッドポリエステル/アクリルハイブリッド樹脂や各種水性樹脂、無溶剤型樹脂など環境調和型製品の開発に注力しています。
(4) コンパウンド
電気自動車のモータ部品や機能部品用に、PPSコンパウンドの新製品を開発しました。自動車部品用途向けではほかにも、高耐冷熱衝撃性グレード、高流動良耐冷熱衝撃グレードなどのラインアップの拡充を図りました。ジェットインキ関連製品では、サンケミカルグループがテキスタイル用の顔料IJインキを市場に投入しました。プリンテッドエレクトロニクス分野では、高導電性銀インクや銅ナノペーストなどの開発に注力しています。新規分野では、3Dプリンタ向けの成型材料として光造形用コンパウンドの開発が本格化し、歯科分野や工業用分野での成形部品などへの展開に取り組んでいます。
(5) アプリケーションマテリアルズ
工業用粘着テープでは、テープを引き延ばして剥がせる易解体性を付与した両面粘着テープを開発、強接着で剥がせるという機能が大型ディスプレイの固定用として市場の好評価を得ています。多層フィルムでは、透明薄手フィルムとマット調フィルムが菓子パン包装用で、イージーピール型はコンビニの惣菜用容器のシール用で市場実績を拡大しています。ヘルスケア関連では、次世代食用天然着色料の研究にFermentalg社(フランス)と共同で取り組んでいます。