有価証券報告書-第196期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 15:32
【資料】
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【項目】
130項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、新興国経済の減速の影響などから、輸出や生産面に鈍さが見られるものの、企業収益は高水準で推移するなど、基調としては緩やかな回復を続けております。米国では、安定した雇用環境のもと、個人消費は引き続き増加するなど景気回復が続いておりますが、一方、中国では景気は緩やかに減速しております。今後の世界経済の先行きにつきましては、中国を始めとする新興国等の景気下振れリスクや原油価格下落の影響など不透明感が増しております。
医薬品業界では、伸長する社会保障給付費を抑制するための世界的な動きとして、先発医薬品の価格抑制や後発医薬品の使用促進が進むなか、新薬開発の難度の高まり、研究開発費の高騰、国際競争の激化などにより、事業の予見性が低下しており、事業リスクは増大しております。
このような状況のもと、当社グループは、日本において、戦略品である高血圧症治療剤「アイミクス」、パーキンソン病治療剤「トレリーフ」、非定型抗精神病薬「ロナセン」等のさらなる売上拡大を図るべく情報提供活動に注力いたしました。
北米においては、サノビオン・ファーマシューティカルズ・インク(以下「サノビオン社」)が、グローバル戦略品である非定型抗精神病薬「ラツーダ」(一般名:ルラシドン塩酸塩)を中心とする主力製品の売上拡大に向けて事業活動を行いました。その結果、「ラツーダ」は、北米で売上高10億米ドルを超える大型製品に成長いたしました。また、抗がん剤の分野では、ボストン・バイオメディカル・インク(以下「BBI社」)が現在開発中であるnapabucasin(開発コード:BBI608)の米国での早期上市を最優先課題と位置付け、開発活動に注力いたしました。
欧州においては、武田薬品工業株式会社の販売戦略上の観点から、同社より欧州での「ラツーダ」の開発・販売権が返還されました。
当連結会計年度の連結業績は、日本では、後発医薬品の使用促進による長期収載品の売上減少の影響が大きく、大幅な減収となりました。北米では、「ラツーダ」や単剤療法の適応追加承認を新たに取得した抗てんかん剤「アプティオム」の売上が順調に拡大したことに加え、円安の影響もあり、大幅な増収となりました。これらの結果、売上高は4,032億6百万円(前連結会計年度比8.6%増)となりました。販売費及び一般管理費は、北米において積極的な研究開発を進めるなど戦略的な投資を行ったことに加え、円安の影響もあり増加いたしました。この結果、営業利益は369億29百万円(前連結会計年度比58.7%増)、経常利益は352億21百万円(前連結会計年度比51.0%増)となりました。また、特別損益として投資有価証券売却益等を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は246億97百万円(前連結会計年度比59.9%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
①日本
「アイミクス」、「トレリーフ」および「ロナセン」の戦略品3剤に加えて、速効型インスリン分泌促進剤「シュアポスト」等の売上が伸長しましたが、後発医薬品の使用促進策の浸透による長期収載品の売上減少を補うには至らず、売上高は1,464億92百万円(前連結会計年度比6.4%減)となりました。利益面では、売上の減少に加え、研究開発費を除く販売費及び一般管理費が増加したことから、セグメント利益は415億35百万円(前連結会計年度比17.9%減)となりました。
②北米
「ラツーダ」が大きく伸長したことに加え、「アプティオム」および長時間作用型β作動薬「ブロバナ」の売上が拡大し、売上高は1,848億69百万円(前連結会計年度比24.8%増)となりました。利益面では、研究開発費を除く販売費及び一般管理費は、円安の影響により増加しましたが、売上の大幅な増加が寄与し、セグメント利益は651億54百万円(前連結会計年度比87.7%増)となりました。
③中国
主力品であるカルバペネム系抗生物質製剤「メロペン」の売上増加等により、売上高は183億74百万円(前連結会計年度比7.2%増)となりました。利益面では、研究開発費を除く販売費及び一般管理費は、円安の影響により増加しましたが、セグメント利益は79億92百万円(前連結会計年度比27.9%増)となりました。
④海外その他
「メロペン」の輸出が増加したこと等により、売上高は111億87百万円(前連結会計年度比27.4%増)となりました。利益面では、売上品目の構成の変化により売上総利益が増加したため、セグメント利益は24億46百万円(前連結会計年度比192.6%増)となりました。
上記報告セグメントのほか、当社グループは、食品素材・食品添加物および化学製品材料、動物用医薬品、診断薬等の販売を行っており、これらの売上高は422億82百万円(前連結会計年度比3.9%増)、セグメント利益は18億21百万円(前連結会計年度比17.5%減)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加や法人税等の支払額の減少等により、前連結会計年度に比べ191億63百万円収入が増加し、494億15百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入等が増加しましたが、有形固定資産の売却による収入が大きく減少したことから、前連結会計年度に比べ75億60百万円収入が減少し、158億87百万円の収入となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払に加えて、社債の償還を実施したことから、前連結会計年度に比べ268億79百万円支出が増加し、426億5百万円の支出となりました。
上記のキャッシュ・フローに、現金及び現金同等物の為替換算による影響額および連結子会社の決算期変更に伴う現金及び現金同等物の調整額を加えた結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,355億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億81百万円増加しました。