臨時報告書

【提出】
2018/11/30 9:00
【資料】
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提出理由

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象が発生しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第12号の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものです。

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に著しい影響を与える事象

1.当該事象の発生年月日
平成30年11月29日
2.当該事象の内容
当社の親会社である日本たばこ産業株式会社(以下、「JT」)は、同社が日本国内での独占的開発・商業化権を保有する抗HIV薬6品(以下、「当該医薬品」)について、Gilead Sciences Inc.(以下、「Gilead社」)とのライセンス契約終了の合意に至りました。
これに併せて、当社とJTは、当該医薬品の日本国内における独占的販売権に関するライセンス契約の終了について合意に至り、当社取締役会にて契約の終了を決定しました。
これにより、当社は、平成31年初頭をもって当該医薬品の日本国内における独占的販売権をJTに返還し、独占的販売権の返還の対価を受領することとなりました。
(1)契約終了の理由
JTとGilead社は、平成15年に「ビリアード錠300mg」「エムトリバカプセル200mg」「ツルバダ配合錠」、平成22年に「スタリビルド配合錠」、平成23年に「ゲンボイヤ配合錠」「デシコビ配合錠LT/HT」の日本国内における独占的開発・商業化権に関するライセンス契約を締結しております。また、当社とJTは、当該医薬品の日本国内における独占的販売権に関する契約(以下、「当該契約」)を締結し、日本国内での販売は当社が行っております。
今般、Gilead社が、同社創製の新規抗HIV薬BIKTARVYの日本国内での承認取得及び販売を同社子会社であるギリアド・サイエンシズ株式会社(以下、「Gilead K.K.」)を通じて行うと決定した旨のJTへの連絡と併せて、Gilead社よりJTへ、当該医薬品の日本国内における独占的開発・商業化権を定めた契約について解消したい旨の提案があり、JTとGilead社との間で協議が行われるとともに、当社とJTとの間で、当該契約の終了に向けた協議を行ってまいりました。
当社では、海外での当該医薬品の販売状況等も参考に今後の見通しについて検討しました。海外市場の動向を見ると、当該医薬品を含む既存の抗HIV薬から新規抗HIV薬への移行はかなりのスピードで進んでおり、日本市場においても今後、当該医薬品の大幅な売上減少が見込まれることから、当社としては、今後の当該医薬品の販売に拘るのではなく、経済合理性を担保した上で当該医薬品の独占的販売権を返還し、それにより得られる対価を原資として今後の成長を目指していくことが採るべき選択肢であると考えました。その考えを踏まえてJTと協議した結果、独占的販売権の返還によってJTから得られる対価が、当該医薬品の販売を今後継続した場合に期待される利益と比較して妥当な額と考えられたこと、また、当該医薬品を使用される医療現場の側から見ても、当該医薬品とBIKTARVYが同じGilead K.K.から販売・情報提供される形態がより望ましいものと考えたことから、このたびの契約終了に至りました。
(2)当該契約終了に伴う合意内容等
当社は、所要の手続きを経て、当該契約を終了させ、JTから独占的販売権の返還の対価として421億円の支払いを受けるとともに、Gilead社への販売移管をするにあたり、必要な協力を行います。
また、JTからGilead K.K.へ当該医薬品の日本国内における製造販売承認承継が完了するまでの経過措置として、一定の期間、当該医薬品の日本国内における流通については当社が担い、医療機関に対する全ての情報提供活動はGilead K.K.が行うこととし、当社はJTからその間の流通に係る手数料として11億円の支払いを受けます。
(3)譲渡資産の内容
①資産の名称
「ビリアード錠300mg」「エムトリバカプセル200mg」「ツルバダ配合錠」、
「スタリビルド配合錠」、「ゲンボイヤ配合錠」及び「デシコビ配合錠LT/HT」
に関する日本国内における独占的販売権
②譲渡価額
421億円
③帳簿価額
15億円
④譲渡益
406億円
⑤現況
独占的販売権に基づき、日本国内での販売を行っております。
(4)契約終了の相手先の概要
①名称日本たばこ産業株式会社
②所在地東京都港区虎ノ門2-2-1
③代表者の役職・氏名代表取締役社長 寺畠 正道
④事業内容国内たばこ事業、海外たばこ事業、医薬事業、加工食品事業
⑤資本金1,000億円

(5)当該契約終了の日程
当該契約の終了時期については、平成31年初頭を予定しております。
(6)支配株主との取引等に関する事項
当該医薬品の日本国内における独占的販売権の返還と対価の受取(以下、「本件取引」)は、支配株主との取引等に該当します。
当社は、本件取引の実行の決定にあたり、契約終了の経済条件以外の諸条件に関して、支配株主と利害関係のない第三者である、岩田合同法律事務所より、当該契約終了の目的は正当かつ合理的なものと認められ、契約終了の条件の決定過程及び契約終了に係る合意書案の内容に明らかに不合理な点は認められず、さらに契約終了に係る決定までの意思決定過程において恣意性を排除する一定の取組みがなされており、手続面での公正性も認められること等に鑑みると、契約終了の決定をすることは当社の少数株主にとって不利益なものではないと思料されるとの旨の法律意見書を平成30年11月26日に入手しております。その上で、経済条件を含めた諸条件について、当社の独立役員4名(社外取締役である鳥養雅夫氏及び福岡敏夫氏、並びに社外監査役である出雲栄一氏及び松村卓治氏)に意見を求めたところ、本件合意書を締結するとの判断は不合理なものではないこと、本件合意書締結に関する判断を行うに当たり独立した第三者である岩田合同法律事務所より、経済条件以外の本件合意書の内容に関する意見書を取得した上で本件合意書の内容の決定に至っており、経済条件の大半となる返還対価は逸失利益、これまでの当該医薬品の当社とJTの利益配分実績及び貢献度等を勘案し設定されており、経済条件を含めた本件合意書の内容は妥当であり、当社にとって不利益な内容ではないと評価することができること、本件合意書締結に関する交渉過程及び意思決定過程に特に不当な点は存しないこと等の事情を総合的に考慮すれば、当社が本件合意書締結を行う旨を決定することは当社にとって不利益なものではなく、よって、当社の少数株主にとって不利益なものではないと評価することができるものと思料されるとの旨の、独立役員4名の連名での意見書を平成30年11月29日に取得しております。
また、当該契約を終了する旨の決定に際しては、取締役会において、取締役10名のうち、JTの出身者を除いた5名の取締役(取締役会での決議の成否に影響を与える員数に相当する、常務取締役 田村明彦氏、取締役 假屋ゆう子氏及び藤原勝伸氏並びに社外取締役かつ独立役員である鳥養雅夫氏及び福岡敏夫氏の5名の取締役)の全員から、当該契約の終了が妥当であるとの見解が示された中で、取締役会での審議が進められ、当該契約の終了について意思決定を行っております。
さらに、当社の役員にはJTの役員又は従業員との兼任者も存在しないことから、当該決定に際しての利益相反は回避していると考えております。
当社の「支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方針」は以下のとおりであり、このたびの本件取引の実行の決定における手続は、この方針に適合しております。
「親会社との主な取引として医薬品の仕入等があります。当該取引を行う際におきましては、他社との取引と同様に、適正な価格水準、取引条件により行っており、品目毎に契約を締結しております。なお、当該契約は、環境の変化に応じて適宜適切にこれを見直しております。また、金銭の貸借等につきましては、金利・手数料等を勘案のうえ有利な取引先の一つとして、当社独自の判断で活用しております。なお、親会社を含む主要株主との取引は、社内規程に基づき、取締役会等において決定し、年間の取引実績を取締役会に報告します。また、親会社を含む主要株主との取引等に係る決定を行う場合には、必要に応じて外部の有識者から見解を入手したうえ、主要株主との利害関係を有しない社外役員に意見を求める等の措置を講じます。」
3.当該事象の損益に与える影響
当社の当期業績に与える影響につきましては、軽微であると見込んでおります。
次期の業績に与える影響につきましては、独占的販売権の返還の対価について、平成31年1月以降に特別利益として譲渡益406億円の計上を予定しております。他方、売上高につきましては、経過措置として当社が担う当該医薬品の流通に係る手数料11億円を計上することとなりますが、平成30年度における当該医薬品の当社の売上高全体に占める割合が約35%(業績予想ベース:売上高620億円、うち当該医薬品215億円)であることから、当期に比べ大きく減少する見通しです。
以 上