有価証券報告書-第62期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 14:02
【資料】
PDFをみる
【項目】
121項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調を辿ってまいりましたが、年度後半に至り、個人消費の伸び悩みや中国など新興国の経済成長の鈍化、円高の進行などによって、先行きに対する不透明感が増大する状況となりました。
医薬品業界におきましては、医療用医薬品は、医療費抑制策の一環として後発医薬品の使用が従来にも増して強力に推進されており、またOTC医薬品市場におきましても市場競争の激化が続いており、ともに厳しい環境下で推移いたしました。
このような状況の中、平成26年度を起点とする3ヵ年の第8次中期経営計画(平成26年度~平成28年度)の2年目にあたる当連結会計年度において、引き続き経営資源の積極的な投入を行い、平成27年7月、当社の100%子会社であるTillotts Pharma AGが、AstraZenecaより同社が製造販売している炎症性腸疾患治療剤
「Entocort」の米国を除く全世界における権利を取得しました。また、平成27年9月にベトナムの医薬品製造販売会社であるPharmaceutical Joint Stock Company of February 3rdの発行済株式の49%を取得し、アジアにおける事業展開の第1歩を踏み出しました。このようにグローバル企業としての基盤強化を着実に進めるとともに、従来より「車の両輪」と捉えております医療用医薬品事業とコンシューマーヘルスケア事業を強力に推進してまいりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度は、売上高624億75百万円(前期比2.4%増)、営業利益45億65百万円(前期比70.4%増)、経常利益44億50百万円(前期比60.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益35億13百万円(前期比37.4%増)となりました。
なお、当連結会計年度の海外売上高比率は20.0%(前期17.2%)となっております。
次にセグメントの状況につきまして、ご報告申し上げます。
(医療用医薬品事業)
当事業におきましては、プロモーションコードの遵守を基本に、MR(医薬情報担当者)の資質の向上と学術情報活動の一層の充実を図ってまいりました。
主力製品である潰瘍性大腸炎治療剤「アサコール」は、国内においては順調に売上を拡大いたしましたが、海外において昨年1月に実施されたスイス中央銀行によるスイスフランの対ユーロ為替上限レートの撤廃に伴うスイスフラン高の影響を受けたことから、全体としては売上は横這いに止まりました。また、H2受容体拮抗剤「アシノン」、亜鉛含有胃潰瘍治療剤「プロマック」などの製品は、後発医薬品の使用促進の影響を受けて苦戦いたしました。機能性ディスペプシア治療剤「アコファイド」につきましては、市場構築が計画比遅れる状況となっておりますが、医療機関における疾患及び治療法などの認知度を高めることにより進展を図っております。
これらの結果、当事業の売上高は、335億80百万円(前期比0.5%減)、営業利益は30億24百万円(前期比56.5%増)となりました。なお、「Entocort」は権利を取得した第3四半期より当連結会計年度の売上、利益に貢献しておりますが、今後当事業の主力製品に育成してまいります。
(コンシューマーヘルスケア事業)
当事業におきましては、超高齢社会が進展する中、生活者のセルフメディケーションをサポートする製品の供給を通じて市場構築を進めてまいりました。
主力製品群である「ヘパリーゼ群」につきましては、テレビCMなどの広告宣伝活動を積極的に展開した結果、製品認知度がさらに向上し、売上を拡大いたしました。なお、コンビニエンスストア向けの「ヘパリーゼW群」の製品ラインアップ強化のため、平成27年6月に「ヘパリーゼWスパークリング」(炭酸飲料)を、平成28年3月に「ヘパリーゼWプレミアム」(清涼飲料水)を発売いたしました。また、OTC医薬品の滋養強壮剤「ヘパリーゼ」シリーズの強化のため、平成27年10月に「ヘパリーゼプラスⅡ」を発売いたしました。「コンドロイチン群」につきましては、医薬品としての有効性、安全性、高品質を訴求し、健康食品との違いを明確にした販売活動を行った結果、引き続き圧倒的な市場シェアを堅持いたしました。なお、「コンドロイチンZS錠」につきましては、平成27年10月に錠剤を小型化し服用感を改善した製品を発売いたしました。
これらの結果、当事業の売上高は、287億41百万円(前期比6.1%増)、営業利益は66億16百万円(前期比13.4%増)となりました。
(その他)
当事業の売上高は、保険代理業・不動産賃貸収入などにより1億52百万円(前期比3.4%減)、営業利益は2億40百万円(前期比2.8%増)となりました。
なお、当連結会計年度より、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 平成25年9月13日)等を適用し、「当期純利益」を「親会社株主に帰属する当期純利益」としております。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、期首残高対比56億69百万円減少し、122億10百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローが56億94百万円、財務活動によるキャッシュ・フローが224億16百万円のプラスであったものの、投資活動によるキャッシュ・フローが327億9百万円のマイナスであったためであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、56億94百万円の資金の増加となりました(前連結会計年度対比50億41百万円増)。これは、税金等調整前当期純利益の計上52億62百万円、減価償却費の計上24億28百万円、のれん償却額の計上6億90百万円、投資有価証券売却損益(益)の計上10億87百万円、売上債権の減少16億38百万円、その他の流動資産の増加12億35百万円、その他の流動負債の減少4億73百万円、退職給付に係る資産の増加5億13百万円、法人税等の支払い15億55百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は327億9百万円の資金の減少となりました(前連結会計年度対比331億85百万円減)。これは、有形固定資産の取得による支出23億34百万円、無形固定資産の取得による支出266億12百万円、投資有価証券の取得による支出57億9百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入30億76百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出10億77百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は224億16百万円の資金の増加となりました(前連結会計年度対比282億55百万円増)。これは、短期借入金の増加257億98百万円、長期借入金の返済による支出27億8百万円、配当金の支払い15億87百万円等によるものであります。