有価証券報告書-第80期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 10:00
【資料】
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【項目】
111項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、「ヘルスケアを通じて人々の健康を守ります。」を経営理念としております。この理念のもと、経営ビジョンとして「EIKENグループは、人々の健康を守るために、検査のパイオニアとしてお客様に信頼される製品・サービスを提供し、企業価値の向上を図ります。」を掲げ、グループ全体でこの経営ビジョンを実践することにより持続的な企業価値の向上を図り、取引先の繁栄と株主への責務を果たしてまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、便潜血検査用試薬・装置、尿検査用試薬・装置、遺伝子検査(LAMP法)試薬・装置、免疫血清学的検査用試薬(LZテスト)の4つの製品群を重点事業分野として注力し、国内市場で安定的な成長を図るとともに、海外展開を加速させます。
研究開発では、産・官・学連携を強化し、重点事業分野を中心に競争力の高い次世代製品の開発を進めてまいります。また、収益基盤の強化として、これまで培ってきた多品種少量生産のノウハウを深化させ、生産性の向上を図るとともに、グローバル展開を支えるための販売拠点の整備、生産設備の増強、ITシステムの見直しなど、戦略的な投資を順次実施してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2009年3月に策定した新経営構想「EIKEN ROAD MAP 2009」の基本方針に従い重点施策を設定し、中期経営計画におきまして、2019年3月期を最終年度として、売上高378億80百万円、営業利益47億円、ROE10.4%を達成することを目指しておりましたが、海外売上高を下方修正したことを主因として売上高・営業利益の予想を引き下げ、2019年3月期の業績見通しについては、売上高367億60百万円(前期比5.1%増)、営業利益42億円(同20.7%増)、ROE9.2%を見込んでおります。なお、海外向け売上高は68億70百万円(同27.1%増)と売上比率で18.7%を見込んでおります。
(4) 経営環境
わが国経済の見通しにつきましては、雇用・所得環境や企業収益の改善など、引き続き緩やかな回復基調が続くものと予想されます。医療現場におきましては、地域包括ケアシステム推進に向け、病床機能分化やかかりつけ医機能強化などの施策がより一層進展していくことが予想されます。海外においては、先進国における医療費抑制のための効率化のニーズや予防医学の拡大、新興国における人口の増加と経済発展に伴う医療インフラの整備など、今後も継続的な成長が期待されております。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
① 当社グループは、当連結会計年度において、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて、以下の重点課題について、次のように取り組んでまいりました。
(ア) 国内市場での自社製品のシェアアップ
当社の主力製品である便潜血検査用試薬について、便潜血測定装置「OCセンサーPLEDIA(プレディア)」の設置を推進し、新規採用先の拡大に向けて注力したほか、大腸がん検診の受診率アップのための啓発活動を展開いたしました。また、イムノクロマト法による迅速検査キット(イムノキャッチシリーズ)について、「イムノキャッチ-レジオネラ」、「イムノキャッチ-肺炎球菌」を中心に販売を推進いたしました。
(イ) グローバル展開の加速
米国で便潜血検査用試薬・装置の採用拡大に注力するとともに、欧州・中東を中心に大腸がん国家スクリーニング獲得に向けた活動を継続し、オセアニアではオーストラリアで国家スクリーニングを獲得いたしました。
遺伝子検査試薬では、LAMP法による結核菌群遺伝子検査試薬、マラリア遺伝子検査試薬のグローバル展開に向け、アジア、アフリカを中心とする地域でField Studyを推進いたしました。また、結核菌群遺伝子検査試薬は、GDF;Global Drug Facilityのカタログに収載されました。GDFはストップ結核パートナーシップの重要なプログラムとして、各国に高品質の医薬品と診断ツールを入手しやすい価格帯で提供することを可能にするものであり、カタログ収載により当社製品の普及促進につながるものと期待されます。
(ウ) 研究開発力の強化
「Near the patient」という医療ニーズに対応するための小型全自動遺伝子検査システム(Simprova)は、先ずは呼吸器感染症を対象に製品化に向けた取り組みを継続してまいりました。当連結会計年度末をもって装置開発が概ね完了いたしましたので、引き続き早期の上市に向け取り組んでまいります。
(エ) 経営効率を高めるための基盤整備
那須事業所において、便潜血検査用試薬、LZ試薬のグローバル展開拡大に向けた増産体制を確立し、2017年4月より稼働を開始しました。また、野木事業所では、尿検査用試薬の生産能力増強に向けた生産ライン構築を進め、2017年9月より稼働を開始いたしました。全社最適化による経営効率向上のため、基幹システムの刷新計画を含む全社IT化施策を推進いたしました。
② 当社グループは、経営戦略の実行において、引き続き以下の点を重点課題として捉え、これらを行動計画に展開し、グローバル企業“EIKEN”の実現に向けて推進してまいります。
(ア) 国内市場での自社製品のシェアアップ
(イ) グローバル展開の加速
(ウ) 研究開発力の強化
(エ) 経営効率を高めるための基盤整備