有価証券報告書-第83期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 14:09
【資料】
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【項目】
83項目

業績等の概要

(1) 業績
当事業年度におけるわが国経済は、日銀による量的・質的金融緩和の拡大や円安および原油安傾向を背景に、景況感には改善の動きがみられ、年度末には日経平均株価も15年ぶりに1万9千円台と高水準に達するなど、緩やかな景気回復傾向となりました。しかしながら、昨年4月以降の消費税増税による個人消費の持ち直しへの足踏みや物価上昇など、先行きは不透明な状況で推移しました。
臨床診断薬業界においては、医療費適正化を目指した在院日数の短縮への取り組み等の政策誘導を背景に、臨床検査部門が迅速性と低コスト化を志向する傾向は一層強まっております。
産業検査薬業界においては、衛生管理体制の強化により企業イメージの向上を志向する企業が増加するなど、市場拡大のチャンスは広がりつつあるものの、相次ぐ競合参入により価格競争が激化するなど、いずれも事業環境は一層厳しさを増しております。
医薬品業界においては、景気の緩やかな回復やスイッチOTC医薬品市場の拡大により、市場自体の縮小傾向が止まりつつありますが、市場の回復傾向までには達しておりません。流通面では、OTC医薬品のネット販売も解禁され、大手量販店やオンライン専業企業などの参入もあり、店舗販売との競争が起こっております。また、生活習慣の改善を訴える特定保健用食品や通信販売による健康食品などの消費者ニーズに応える企業参入も相次ぎ、市場では高いレベルで販売戦略が求められております。
化粧品業界においては、消費税増税前後における想定以上の駆け込み需要による反動減と、個人消費者の節約志向は依然として根強かったものの、下期より緩やかな回復傾向が見受けられました。近年、異業種からの市場参入も相次ぎ競争は激化しております。
このような状況のもと全力をあげて販売の拡充に努めたものの、当事業年度の売上高は前年同期に比べ12億77百万円(9.7%)減少し118億63百万円となりました。営業利益は前年同期に比べ9億31百万円(32.8%)減少し19億12百万円、経常利益は投資有価証券売却益などにより前年同期に比べ1億87百万円(5.1%)増加し38億31百万円、当期純利益は前年同期に比べ1億65百万円(7.2%)増加し24億70百万円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりです。
事業売上高営業利益
(前年同期比増減率)
金額前年同期比増減率
臨床診断薬事業50億74百万円△4.7%11億5百万円
(△22.3%)
微生物学的診断用薬16億69百万円△5.3%
免疫血清学的診断用薬27億60 〃△6.9%
精度管理用血清他3億33 〃△1.5%
検査用機器および器材他3億10 〃20.1%
産業検査薬事業28億41百万円△1.0%8億45百万円
(△8.9%)
微生物学的検査薬23億31百万円△1.9%
免疫血清学的検査薬3億98 〃3.5%
検査用機器および器材他1億11 〃1.7%
医薬事業30億45百万円△21.0%4億31百万円
(△47.2%)
医薬品18億91百万円△18.3%
健康食品他11億53 〃△25.0%
化粧品事業9億2百万円△17.3%2億35百万円
(△35.5%)

(注) 上記の営業利益は、各事業に配賦できない支援に係る費用等7億6百万円が控除されておりません。
[臨床診断薬事業]
臨床診断薬事業の売上高は前年同期に比べ2億51百万円(4.7%)減少し50億74百万円となりました。
分野別では、当事業にてもっとも大きな売上割合を占める免疫血清学的診断用薬において、年初の大口顧客流出による影響が響き、売上高は前年同期に比べ2億5百万円(6.9%)減少し27億60百万円となりました。微生物学的診断用薬においては、全自動微生物検査装置であるライサスにおいて新規項目のプレートを上市しましたが、生培地の伸び悩みにより、売上高は前年同期に比べ93百万円(5.3%)減少し16億69百万円となりました。検査用機器及び器材については前年対比で20%を超える成長を実現し、売上高は前年同期に比べ52百万円(20.1%)増加し3億10百万円となりました。試薬販売の前提となる機器設置の好調は、免疫血清学的診断用薬における流出分を取り戻し、かつ次年度の成長につながる明るい材料と言えます。この事業の営業利益は前年同期に比べ3億17百万円(22.3%)減少し11億5百万円となりました。
なお、本事業においては、自動遺伝子検査装置(※東ソー株式会社 TRCReady®-80)を新製品として販売開始いたしました。
[産業検査薬事業]
産業検査薬事業の売上高は前年同期に比べ29百万円(1.0%)減少し28億41百万円となりました。
分野別では、微生物学的検査薬における菌数測定用簡易培地コンパクトドライは国内海外共に順調に推移しましたが、フードスタンプ培地や粉末・顆粒培地の減少により、売上高は前年同期に比べ44 百万円(1.9%)減少し23億31百万円となりました。一方で免疫血清学的検査薬においてはアレルギー検査薬の好調により、売上高は前年同期に比べ13百万円(3.5%)増加し3億98百万円となりました。この事業の営業利益は前年同期に比べ82百万円(8.9%)減少し8億45百万円となりました。
なお、本事業においては、ATP(清浄度迅速検査法)測定装置(※キッコーマンバイオケミファ株式会社 ルミテスター®PD-30)やレジオネラ検出用生培地を新製品として販売開始いたしました。
また、海外の販売拡大に向けて、Hardy Diagnostics社(本社:カリフォルニア州サンタマリア、以下 Hardy社)との間で、菌数測定用簡易培地コンパクトドライの北米地域における販売契約を締結し、平成26年9月1日よりHardy社を通じ米国での販売を開始いたしました。
[医薬事業]
医薬事業の売上高は前年同期に比べ8億7百万円(21.0%)減少し30億45百万円となりました。
分野別では、医薬品において、滋養強壮剤の主力製品である日水清心丸やコンクレバンなどが消費税増税の駆け込み需要の影響もあり、売上高は前年同期に比べ4億22百万円(18.3%)減少し18億91百万円となりました。健康食品においては、シーアルパ群は健闘したものの、シイタケ菌糸抽出物含有の茸源や瑞芝が減少し、売上高は前年同期に比べ3億85百万円(25.0%)減少し11億53百万円となりました。この事業の営業利益は前年同期に比べ3億85百万円(47.2%)減少し4億31百万円となりました。
なお、本事業においては、健康食品である植物発酵エキスを配合した製品を新製品として下期より販売開始いたしました。また、平成27年3月20日をもってアンテナショップ「健康創造館」の営業を終了いたしました。
[化粧品事業]
化粧品事業の売上高は前年同期に比べ1億88百万円(17.3%)減少し9億2百万円となりました。
消費マインドの低下を補うべく、取扱店の拡大と新製品「リスブラン ナチュラルスキンオイル」を投入し挽回をはかりましたが、消費マイナスの影響を補うまでには至りませんでした。この事業の営業利益は前年同期に比べ1億29百万円(35.5%)減少し2億35百万円となりました。
なお、本事業においては、海洋資源由来の天然オイルをベースとした上述の新製品を下期より販売開始いたしました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ16億7百万円(50.1%)増加し48億14百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、11億30百万円の収入(前年同期は18億41百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、13億30百万円の収入(前年同期は10億56百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億52百万円の支出(前年同期は7億65百万円の支出)となりました。
なお、キャッシュ・フローの詳細は、「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)資本の財源および資金の流動性についての分析 ①キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。