有価証券報告書-第83期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 14:09
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【項目】
83項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針および見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っており、貸倒引当金、たな卸資産、有価証券、法人税等などに関する見積りおよび判断に対して継続的に評価を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの結果と異なる可能性があります。
(2) 当事業年度の経営成績の分析
① 売上高
売上高は前年同期に比べ12億77百万円(9.7%)減少し、118億63百万円となりました。
臨床診断薬事業の売上高は50億74百万円(前年同期比4.7%減)となりました。
分野別では、当事業にてもっとも大きな売上割合を占める免疫血清学的診断用薬において、年初の大口顧客流出による影響が響き、売上高は27億60百万円(前年同期比6.9%減)となりました。微生物学的診断用薬においては、全自動微生物検査装置であるライサスにおいて新規項目のプレートを上市しましたが、生培地の伸び悩みにより、売上高は16億69百万円(前年同期比5.3%減)となりました。検査用機器及び器材については前年対比で20%を超える成長を実現し、売上高は3億10百万円(前年同期比20.1%増)となりました。
産業検査薬事業の売上高は28億41百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
分野別では、微生物学的検査薬における菌数測定用簡易培地コンパクトドライは国内海外共に順調に推移しましたが、フードスタンプ培地や粉末・顆粒培地の減少により、売上高は23億31百万円(前年同期比1.9%減)となりました。一方で免疫血清学的検査薬においてはアレルギー検査薬の好調により、売上高は3億98百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
医薬事業の売上高は30億45百万円(前年同期比21.0%減)となりました。
分野別では、医薬品において、滋養強壮剤の主力製品である日水清心丸やコンクレバンなどが消費税増税の駆け込み需要の影響もあり、売上高は18億91百万円(前年同期比18.3%減)となりました。健康食品においては、シーアルパ群は健闘したものの、シイタケ菌糸抽出物含有の茸源や瑞芝が減少し、売上高は11億53百万円(前年同期比25.0%減)となりました。
化粧品事業の売上高は、消費マインドの低下を補うべく、お取扱店の拡大と新製品「リスブラン ナチュラルスキンオイル」を投入し挽回をはかりましたが、消費マイナスの影響を補うまでには至らず、9億2百万円(前年同期比17.3%減)となりました。
② 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価率は原価低減に努めたものの、前年同期に比べ2.5ポイント上昇しました。
販売費及び一般管理費は前年同期に比べ32百万円減少し、40億21百万円となりました。これは、研究開発費が増加した一方、販売促進費等が減少したことによります。
③ 営業利益
営業利益は前年同期に比べ9億31百万円(32.8%)減少し、19億12百万円となりました。
内訳は、臨床診断薬事業が11億5百万円(前年同期比22.3%減)、産業検査薬事業が8億45百万円(前年同期比8.9%減)、医薬事業が4億31百万円(前年同期比47.2%減)、化粧品事業が2億35百万円(前年同期比35.5%減)であります。
なお、それぞれの営業利益は、各事業に配賦できない支援に係る費用等7億6百万円が控除されておりません。
④ 営業外収益・営業外費用
営業外収益は前年同期に比べ11億0百万円増加し、19億21百万円となりました。これは主に投資有価証券売却益の増加によるものです。
営業外費用は前年同期に比べ18百万円減少し、3百万円となりました。これは主にデリバティブ評価損の発生がなくなったことによるものです。
⑤ 経常利益
経常利益は前年同期に比べ1億87百万円増加し、38億31百万円となりました。これは営業外収益の増加によるものです。
⑥ 特別利益・特別損失
特別利益は固定資産売却益により、0百万円となりました。
特別損失は固定資産処分損と投資有価証券評価損の発生により、1億10百万円となりました。
⑦ 当期純利益
当期純利益は前年同期に比べ1億65百万円増加し、24億70百万円となりました。
(3) 資本の財源および資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当事業年度末の現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ16億7百万円(50.1%)増加し48億14百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、11億30百万円の収入(前年同期は18億41百万円の収入)となりました。これは主に税引前当期純利益37億20百万円に対し、受取利息及び配当金2億56百万円、投資有価証券売却益16億27百万円、法人税等の支払額15億62百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、13億30百万円の収入(前年同期は10億56百万円の支出)となりました。これは主に関係会社預け金の減少による資金の増加21億円、有価証券の売却・償還による収入3億円、投資有価証券の売却・償還による収入134億95百万円に対し、投資有価証券の取得による支出146億28百万円、有形固定資産の取得による支出1億87百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、8億52百万円の支出(前年同期は7億65百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払によるものであります。
② 財政状態
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べ24億62百万円増加し347億52百万円となりました。主な増加は投資有価証券36億43百万円で、主な減少は売掛金1億68百万円、関係会社預け金3億68百万円です。
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べ6億85百万円増加し37億62百万円となりました。主な増加は未払金6億28百万円で、主な減少は未払法人税等3億34百万円です。
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ17億77百万円増加し309億90百万円となりました。
この結果、自己資本比率は89.2%となりました。
(4) 今後の方針について
当社は『人々の健康と幸せを実現する企業を目指す』ことを経営の基本姿勢としており、臨床診断薬、産業検査薬、医薬、化粧品の各事業を通じて常に人々の健康と幸せに貢献することにより社会的に信頼され、かつ必要とされる企業であり続けることが当社発展の条件であると考えております。当社は、得意とする事業分野に経営資源を集中し、研究開発、生産、販売各部門の独自の先端技術力を極めた事業基盤のもとに、企業のブランド力を高め、企業価値の最大化および活力ある企業風土を確立してまいります。
臨床診断薬事業においては、「感染症管理や精度管理システムの水準向上に貢献すべく、基幹病院や検査センターで競合他社に勝る存在価値の向上を実現する」との戦略目標を掲げ、当社の強みを前面に押し出した戦略を実行し、最適な組織再編成を通じてお客様の問題解決に迅速に貢献する体制の構築を目指します。とりわけ個人に偏重しがちなセリングプロセスを見直しチームワークを重視しつつ、リソースを効果的に組み合わせることで、顧客満足の最大化を推進してまいります。
(※セリングプロセス = 個々の直感・感性だけではない目標達成への包括的な営業活動プロセス)
産業試薬事業においては、「微生物検査や食品安全検査を実施する大手顧客企業の安全管理上の問題を解決する提案活動を通じて、顧客企業の競争力の向上に貢献する企業との評価を確立する」との戦略目標を掲げました。当社は微生物検査のパイオニアとしてお客様の支持を獲得してまいりましたが、このポジションを一層強化すべく、営業部隊と他の支援部隊の再編成を通じて提案活動の質の向上を実現し、お客様にとっての存在価値の向上を図ってまいります。
医薬事業においては、OTC医薬品市場と競合する健康食品などの健康関連市場が拡大しているものの、ネット販売や通信販売など流通形態の多様化が進んでおり、店舗販売での市場において苦戦状況が続いております。この状況を打開する為に、組織編制を見直し、医薬直販営業部を新たに配置いたしました。急速な高齢化や健康意識が高まる中、地域に根ざした専門性の高い薬局薬店への支援強化に特化した展開をすることで、販売強化を図ってまいります。また医薬ソリューション営業部を独立して設け、長年培った天然原料を活かした医薬品、健康食品の開発や新規販売ルートの開拓に注力いたします。
化粧品事業においては、取扱店とのコミュニケーションの強化に努め、「体験体感型店舗」の育成を支援し、新規取扱店の拡大、新規販売チャネルの拡大を骨子に成長を目指します。主力ブランドのリニューアル、ヘアケア製品、海洋資源由来の天然素材を用いたスキンケア製品等の開発を推進し、敏感肌向け化粧品としてのブランド再建を目指してまいります。
研究部門及び品質保証部門の再編をいたしました。研究部門では、既存製品における改良や開発を主とした「製品開発研究部」、将来性のある基盤技術獲得のためのオープンイノベーション推進と再生医療分野における新規事業化への探索・獲得を専門的に推進する「先端技術研究部」を新たに設けました。品質保証部門では、安全で高品質な製品・サービスの提供、社会的公正・倫理にかなった事業活動継続のため、「信頼性保証部」を新設いたしました。専属的な組織体系化を図ることにより、製造業としての高質化を目的としております。
今後も、コモディティ化した市場攻略の加速に向けて、品質への追求を続け時代の求める魅力ある個性的な製品を提供できる、「長期的に持続的成長をする企業」を目指して邁進してまいります。