有価証券報告書-第69期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/27 13:06
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【項目】
105項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度(平成28年4月1日~平成29年3月31日)におけるわが国経済は、政府・日銀による各種政策効果もあり、景気は緩やかな回復基調が続きました。一方、個人消費の伸び悩み、中国をはじめとするアジア新興国経済の減速、米国新政権の政策変更等の影響もあり、先行きへの不透明感が高まりました。
ジェネリック医薬品業界におきましては、平成27年6月末に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015(以下、骨太の方針2015)」において、ジェネリック医薬品の数量シェア目標として、「平成29年央に70%以上とするとともに平成30年度から32年度末までの間のなるべく早い時期に80%以上とする」ことが掲げられたことを受け、平成28年4月には、保険薬局における「後発医薬品調剤体制加算」とDPC制度(DPC/PDPS)における「後発医薬品指数」の要件見直し、医療機関における「後発医薬品使用体制加算」の指標見直しに加え、院内処方を行う診療所における「後発医薬品使用体制」に関する評価の新設(外来後発医薬品使用体制加算)、一般名処方の一層の推進等のジェネリック使用促進策を含む診療報酬改定が実施されたことから、薬局市場のみならず、病院市場や診療所市場においてもジェネリック医薬品の需要が伸長しました。
しかしながら、その一方で、既収載ジェネリック医薬品の薬価が3つに集約された影響、新規収載ジェネリック医薬品の薬価のさらなる引き下げ、大型品目を中心とした相次ぐAG(オーソライズドジェネリック)の登場等が相まって、当期の収益環境は一段と厳しいものとなりました。
また、医療機関における多剤処方の減薬指導などによって医薬品市場全体の伸びが鈍化していることに加え、市場におけるジェネリック医薬品の数量シェアが「平成29年央に70%以上」とする中間目標値に近づきつつあること等が重なり、ジェネリック医薬品の数量の伸びは当初の想定より鈍化してきています。
このような厳しい環境におきましても、当社グループは、「なによりも患者さんのために」の企業理念のもと、中期経営計画「M1 TRUST 2018(以下、中計)」に掲げた各施策の実現に取り組んでまいりましたが、骨太の方針2015の中で新たな数量シェア目標が打ち出されたことを受けて、今後の市場予測の修正とそれに伴う設備投資計画の一部前倒し、並びに米国市場向けの製品開発スケジュール早期化に伴う研究開発投資計画の見直し等が生じたことから、中計を修正し、その概要を8月に発表しました。
生産・供給体制面においては、設備投資計画の一部前倒しに加え、今後の安定供給体制をより確かなものとするため、7月より、全国6工場の主に製剤・包装等の業務を担う有期雇用社員約700名を、勤務地と業務を限定した新しい無期雇用社員(名称:工場正社員)へ転換すると共に、工場正社員の新規採用を拡大することとしました。工場の主戦力である有期雇用社員の無期雇用化を推進し、社員が長く活躍できる雇用環境を提供することで、より高度な知識と技術を持つ優秀な人材の確保と人材育成を行ってまいります。また、9月に、製剤を中心とする三田工場の近隣に、新たに包装専用の三田西工場が竣工したことで、全国7つの工場それぞれの特徴を活かした最適な製造工程の選択による生産効率のアップと生産能力の拡大が可能となりました。
製品開発・販売面においては、6月に、『オランザピン細粒1%「サワイ」』を含む5成分9品目の新製品を発売、9月には、『エスエーワン®配合OD錠T20 / 配合OD錠T25』の販売、また、12月には『ボセンタン錠62.5mg「サワイ」』を含む6成分9品目の新製品を発売しました。
海外事業においては、米国市場向け製品の研究開発に注力しており、米国市場向け2品目目となる選択的β3アドレナリン受容体作動性過活動膀胱治療剤ミラベグロン錠を米国食品医薬品局(FDA)に申請し、9月に受理されました。また、既に申請済みのピタバスタチン錠において、日本のジェネリック専業メーカーとして初のパラグラフⅣによる医薬品簡略承認申請(ANDA)の承認を2月に取得しました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は132,428百万円(前期比7.2%増)、営業利益が20,633百万円(同11.0%減)、経常利益が20,557百万円(同10.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が15,914百万円(同7.2%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は30,771百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,325百万円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益19,870百万円、減価償却費8,645百万円、売上債権の増加5,054百万円、たな卸資産の増加6,108百万円、その他流動負債の増加6,541百万円、法人税等の支払額6,836百万円を主因として20,628百万円の収入(前期比652百万円の収入増)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出15,461百万円を主因として16,206百万円の支出(前期比6,731百万円の支出減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出1,665百万円、配当金の支払額4,792百万円を主因として6,740百万円の支出(前期は13,473百万円の収入)となりました。