有価証券報告書-第12期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 9:06
【資料】
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【項目】
61項目

事業等のリスク

以下に、当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、重要であると考えられる事項については、情報開示の観点から積極的に開示しております。
なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクをすべて網羅するものではありませんのでご留意ください。
なお、以下の記載事項及び本項以外の記載事項は、特に断りがない限り「有価証券報告書」提出日現在の事項であり、将来に関する事項は同提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)特定の販売先への依存について
当社の販売先は事業の性格上、製薬会社等に限定されております。現在のところ特許期限到来によるロイヤリティ収入減少から特定の販売先への依存リスクはほぼ無くなったと考えておりますが、今後、ライセンスアウト等により重要なロイヤリティ収入が発生した場合、特定の販売先の事業活動等の推移によって、当社の収益が影響を受ける可能性があります。
(2)今後の事業展開及びそれに伴うリスクについて
[収益構造について]
当社の収益の中心は、製薬会社との契約に基づいて受領する契約一時金、マイルストーン、研究費及びロイヤリティ収入であります。これらは、契約締結までに長期間を要する可能性があるほか、医薬品の販売開始後は、医薬品の販売状況等によって当社の業績に影響を与える可能性もあります。
[開発中の製剤について]
当社は、独自のコア技術であるDDS技術を有しており、開発中の製剤はそれぞれの薬物や化合物に適したコア技術を選択し、応用するものとなっておりますが、ひとつのコア技術がすべての薬物・化合物に応用可能であるとは限りません。現在、各製剤においてこれらコア技術の応用の可否を臨床試験ならびに基礎研究によって確認しているところであります。
また、当社は将来の収益原資を見据え探索的段階にある製剤も同時並行で開発を進めております。探索的研究はプロジェクトとしての開発段階には未だ至っておらず、今後の研究の発展具合によって再度プロジェクトとしての採算性・成長性を精査するため、すべての探索的研究が将来の事業プロジェクトとして本格的な開発段階に発展するかどうかについては未確定であります。
[競合について]
現在の主要パイプラインには競合品が存在しません(当社調べ)が、将来競業他社の新薬開発等により当社が開発方針の変更・中止等を行った場合は研究開発計画に影響を与える可能性があります。
(3)受取配当金について
当社の提携企業である北京泰德制药股份有限公司は、平成7年5月に当社の前身である株式会社エルティーティー研究所30%、中日友好医院70%の出資により設立された合弁会社です。その後、同社が新工場の建設資金として平成16年10月に行った第三者割当増資及び平成22年3月に実施した当社持分の一部譲渡により、現在の当社の持分比率は11.52%となっております。
また、同社は株式会社エルティーティー研究所を中心とした日本側の技術協力によって、平成10年より中国地域において「リポPGE1製剤」の製造及び販売を開始しました。その後、同社は「リポPGE1製剤」の販売が好調に推移したことで業績は順調に推移しております。当社は同社の利益から持分比率に見合った配当金を受取っており、今後も配当金収入を見込んでおりますが、中国国内における「リポPGE1製剤」の競合品販売や新たな医薬品候補の事業化が予定どおり進展しなかった場合の収益減少、設備投資等の投資活動、同社の配当政策の変更等により受取配当金が減少し、当社の事業運営に大きな影響を与える可能性があります。
(4)知的財産権について
当社は、創薬事業において現在多くの特許を保有しておりますが、他社より当社の技術を凌駕する技術が開発され、その特許が登録される可能性は否定できません。このような事態に至った場合には開発方針の変更等により、研究開発計画に影響を与える可能性があります。
また、当社は他社の知的財産権の侵害についても細心の注意を払っておりますが、当社が認識していない第三者の特許権等に抵触する可能性は完全には否定できません。反対に、当社の知的財産権が第三者に侵害される可能性もあり、裁判等の係争に至った場合は当社の事業戦略や経営に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(5)経営上の重要な契約等について
現在当社の締結している経営上の重要な契約について、契約が解除又は当社にとって不利な改定がなされる等の事態が発生した場合、当社の経営に影響を及ぼす可能性があります。
(6)薬事法等による規制について
当社の創薬事業は、医薬品の研究開発及び販売であるため、薬事法その他関連法規やガイドライン等に変更があった場合、基準等の厳格化による研究開発費の増加等で当社の業績に影響を与える可能性があります。また、臨床試験は、GCP(医薬品の臨床試験基準)に従って実施されるため、当該基準の変更により、研究開発進行の遅れが生じるなどの事態が発生する可能性があります。
(7)製造物責任のリスクについて
医薬品の研究開発及び製造にあたっては、製造物責任賠償のリスクが内在しています。当社が開発した医薬品に、健康障害等の問題を引き起こす等の不適当な点が発見された場合には、当社は製造物責任を負う可能性があるため、その対策として保険加入等のリスクヘッジを行っております。しかし、賠償額が保険による補償範囲を超えることや、上記事態が発生した場合に当社の社会的信用が傷つく可能性があることは否定できず、このような事態に陥った場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(8)臨床試験について
当社は、開発中の製剤において自ら臨床試験を実施する場合があり、当該臨床試験において薬剤の副作用等による被験者の傷害や死亡などの事態が生じる可能性があります。当社としても、損害保険に加入することや、被験者が治験に参加する際のインフォームド・コンセントを徹底すること等によって、かかる事態の発生を最小限にすべく対策を講じておりますが、賠償額が保険による補償範囲を超えることや、上記事態が発生した場合に当社の社会的信用が傷つく場合があることは否定できず、このような事態に陥った場合に、当社の業績に影響を与える可能性があります。
(9)当社の組織体制について
[小規模組織であることについて]
当社は、平成26年3月末現在役員6名及び社員6名の小規模な組織で事業運営を行っており、これには組織の機動力・迅速性・意思決定の早期化等のメリットがある反面、個人の果たす役割が大きくなり、各個人において業務遂行に支障をきたす事故等があった場合には、短期的であるとは想定されますが代替要員の不在などの理由によって、研究開発の進行に遅れが生じる等の事態が発生する可能性があります。
[人材の流出について]
当社が今後発展していくためには、新薬開発の技術者及び研究者ならびに組織の管理といった各方面において、優秀な人材を確保することが重要な課題となります。当社は優秀な人材を確保育成するために努力をしておりますが、既存の重要な人材が流出した場合、当社の事業遂行に影響を及ぼす可能性があります。
[研究開発体制について]
当社は現在、独自の研究施設を有しておりません。当社の研究開発活動は提携先の大学で実施しており、事業の成果は大学との委託研究の推移に大きく依存するものであります。
また、当社のビジネスモデルである産学連携は理念や目的の違いから利害が対立し利益相反が生じるため、当社の委託研究先の利益相反ポリシーにより研究開発の進行に影響を与える可能性があります。
(10)特定人物への依存について
水島徹は慶応義塾大学薬学部教授ですが、当社の取締役として研究開発活動推進の重要な役割を果たしております。このため、同氏が心身の障害、死亡、解任、辞任その他の理由によって当社の事業から外れるような事態が生じた場合、当社の事業遂行に重大な支障が生じる可能性があります。
(11)継続企業の前提に関する重要事象等
当社は第2期以降営業損失の状態にあり、継続企業の前提に関する重要事象等が存在しております。しかし、次期の事業活動を遂行するにあたり、創薬事業での収入や北京泰德制药股份有限公司からの受取配当金等を見込んでおり、これらに加え充分な手元資金が確保されております。従いまして、次期の事業継続にあたり重要な不確実性は存在していないことから、本報告書において継続企業の前提に関する注記は、前事業年度に引き続き記載しておりません。