有価証券報告書-第9期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2014/06/23 16:36
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64項目

業績等の概要

(1) 業績
当社グループの当連結会計年度(自 2013年4月1日 至 2014年3月31日)の売上収益は、1,236億円増収の1兆1,182億円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。第一三共グループにつきましては、高血圧症治療剤オルメサルタン、抗血小板剤プラスグレル、抗潰瘍剤ネキシウム、アルツハイマー型認知症治療剤メマリー等が伸長いたしました。また、ドル・ユーロに対する円安の寄与(約537億円)もあり、当社グループ全体では増収となりました。
営業利益は、128億円増益の1,116億円(前連結会計年度比13.0%増)となりました。第一三共グループは増益となり、ランバクシーグループは減益となったものの、当社グループ全体で増益となりました。
税引前利益は、39億円増益の998億円(前連結会計年度比4.1%増)となりました。ランバクシーグループでインドルピーの対米ドルレート下落に伴い、金融費用が増加し減益となったものの、第一三共グループで増益となったことから、当社グループ全体では増益となりました。
親会社の所有者に帰属する当期利益は、31億円減益の609億円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。復興税廃止による税率変更で繰延税金資産を取り崩したこと等により、税金費用が増加いたしました。
なお、当社グループは当連結会計年度から従来の日本基準に替えて国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しております。また、当連結会計年度と比較している前連結会計年度の諸数値につきましてもIFRSに準拠して作成しております。
セグメントの業績は次のとおりであります。なお、セグメント別の売上収益は、外部顧客に対するものであります。
第一三共グループ
第一三共グループの売上収益は、8,977億円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。
① 日本
日本の売上収益は、5,545億円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。
国内医薬では、オルメテックの堅調な推移をベースとして、ネキシウム、メマリーが大幅に伸長するとともに、2012年4月発売の癌骨転移治療剤ランマーク及び2013年6月発売の骨粗鬆症治療剤プラリアの拡大が寄与し、売上収益は4,814億円(前連結会計年度比4.7%増)となりました。
輸出医薬の売上収益は、218億円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。
ヘルスケア(第一三共ヘルスケア㈱)の売上収益は、解熱鎮痛薬ロキソニンSの伸長等により、481億円(前連結会計年度比1.5%増)となりました。なお、通信販売専用スキンケアシリーズ ダーマエナジーは、一部のお客様に肌トラブル発生が確認されたことにより、2013年12月に販売を中止いたしました。
<日本の売上構成>(単位:億円)
区分前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
増減
国内医薬4,5994,814215
4.7%
輸出医薬18621832
17.4%
ヘルスケア4744817
1.5%

<日本カンパニー主力品売上収益>(単位:億円)
製品名前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
増減
オルメテック
高血圧症治療剤
7837918
1.0%
ロキソニン
消炎鎮痛剤
(うちロキソニンテープ)
596
(335)
593
(352)
△3
△0.6%
ネキシウム
抗潰瘍剤
216542327
151.5%
クラビット
合成抗菌剤
359335△24
△6.7%
メマリー
アルツハイマー型認知症治療剤
23833395
40.0%
アーチスト
高血圧・狭心症・
慢性心不全症治療剤
2242240
0.0%
メバロチン
高コレステロール血症治療剤
258215△43
△16.8%

(注)年間の売上収益200億円以上の製品を記載しております。
② 北米
北米の売上収益は、2,113億円(前連結会計年度比15.9%増)となりました。現地通貨ベースでは21億米ドル(前連結会計年度比3.9%減)となりました。
第一三共Inc.においては、トライベンゾール、ウェルコール、エフィエント等が増収となったものの、ベニカー/ベニカーHCT、エイゾール等が減収となり、同社の売上収益は前連結会計年度並みの17億米ドルとなりました。
一方、ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.は、ヴェノファーの売上が減少し、2013年8月の鉄欠乏性貧血治療剤インジェクタファーの発売寄与があったものの、売上収益は4億米ドル(前連結会計年度比14.9%減)となりました。
<第一三共Inc.主力品売上収益>(単位:百万米ドル)
製品名前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
増減
ベニカー/ベニカーHCT
高血圧症治療剤
881857△25
△2.8%
エイゾール
高血圧症治療剤
179174△5
△2.7%
トライベンゾール
高血圧症治療剤
82908
9.7%
ウェルコール
高コレステロール血症治療剤
・2型糖尿病治療剤
39942223
5.8%
エフィエント
抗血小板剤
(共同販促収入)
12715427
21.6%

<ルイトポルド・ファーマシューティカルズInc.主力品売上収益>(単位:百万米ドル)
製品名前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
増減
ヴェノファー
貧血治療剤
284248△36
△12.6%

③ 欧州
欧州の売上収益は、790億円(前連結会計年度比30.4%増)、現地通貨ベースでは5億9千万ユーロ(前連結会計年度比4.0%増)となりました。オルメテック/オルメテックプラス、セビカーHCTが増収に寄与いたしました。
<第一三共ヨーロッパGmbH主力品売上収益>(単位:百万ユーロ)
製品名前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
増減
オルメテック/オルメテックプラス
高血圧症治療剤
30433127
9.0%
セビカー
高血圧症治療剤
100100△0
△0.1%
セビカーHCT
高血圧症治療剤
445713
29.9%

④ その他の地域
その他の地域の売上収益は、529億円(前連結会計年度比33.8%増)となりました。
中国、韓国、ブラジル等で売上が伸長しております。
中国においては、オルメテック、メバロチン、鎮咳去痰剤アスメトンが伸長いたしました。また、2013年4月に排尿障害治療剤ユリーフを発売いたしました。
韓国、ブラジルでは、オルメサルタンを中心とする主力品が伸長いたしました。
ランバクシーグループ
ランバクシーグループは、会計期間を4月1日から翌年3月31日までに変更いたしました。これに伴い、当連結会計年度の会計期間は2013年1月1日から2014年3月31日までの15ヶ月間となっております。
売上収益は、2,206億円(前連結会計年度比371億円増)となりました。
北米はアトルバスタチン後発品の貢献があった前連結会計年度と対比して大幅な減収となったものの、ランバクシーグループとしては15ヶ月決算による加算及び新興国市場における売上伸長等により、増収となりました。
<ランバクシーグループ主要地域別売上収益>(単位:百万インドルピー)
前連結会計年度
(自 2012年1月1日
至 2012年12月31日)
当連結会計年度
(自 2013年1月1日
至 2014年3月31日)
増減
北米53,33642,003△11,333
インド21,34627,9306,584
東欧・CIS13,16019,9806,820
西ヨーロッパ9,72010,7981,078
アフリカ・中東10,18812,9662,778

(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、81億円減少の1,831億円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、税引前利益998億円、減価償却費及び償却費515億円等の非資金項目のほか、法人所得税や米国司法省との和解費用の支払等による資金の減少により、373億円の収入(前連結会計年度比920億円減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、運用資産の取得や設備投資等により、1,614億円の支出(前連結会計年度比525億円の支出増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債及び借入金の増加や配当金の支払等により、1,003億円の収入(前連結会計年度比1,586億円の収入増加)となりました。
(3) 並行開示情報
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の要約連結財務諸表については、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
① 要約連結貸借対照表
(単位:百万円)

前連結会計年度
(2013年3月31日)
当連結会計年度
(2014年3月31日)
資産の部
流動資産943,6431,080,498
固定資産
有形固定資産303,434330,420
無形固定資産223,455218,583
投資その他の資産173,537184,451
固定資産合計700,428733,455
資産合計1,644,0711,813,954
負債の部
流動負債436,111463,675
固定負債292,214382,673
負債合計728,326846,349
純資産の部
株主資本907,474930,912
その他の包括利益累計額△24,8257,063
新株予約権4,0854,618
少数株主持分29,01025,010
純資産合計915,745967,605
負債純資産合計1,644,0711,813,954

② 要約連結損益計算書及び要約連結包括利益計算書
要約連結損益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
売上高997,8521,118,764
売上原価313,657375,504
売上総利益684,195743,260
販売費及び一般管理費583,678627,356
営業利益100,516115,904
営業外収益17,58118,358
営業外費用18,95029,246
経常利益99,147105,016
特別利益12,13232,949
特別損失19,18428,672
税金等調整前当期純利益92,095109,294
法人税等23,90050,628
少数株主損益調整前当期純利益68,19558,666
少数株主利益又は少数株主損失(△)1,573△6,984
当期純利益66,62165,650

要約連結包括利益計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
少数株主損益調整前当期純利益68,19558,666
その他の包括利益56,13239,514
包括利益124,32798,180
(内訳)
親会社株主に係る包括利益119,838102,305
少数株主に係る包括利益4,489△4,124

③ 要約連結株主資本等変動計算書
前連結会計年度(自 2012年4月1日 至 2013年3月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益
累計額
新株予約権少数株主持分純資産合計
当期首残高883,045△78,1043,49524,312832,749
当期変動額合計24,42853,2795894,69782,995
当期末残高907,474△24,8254,08529,010915,745

当連結会計年度(自 2013年4月1日 至 2014年3月31日)
(単位:百万円)

株主資本その他の包括利益
累計額
新株予約権少数株主持分純資産合計
当期首残高907,474△24,8254,08529,010915,745
当期変動額合計23,43731,888532△3,99951,860
当期末残高930,9127,0634,61825,010967,605

④ 要約連結キャッシュ・フロー計算書
(単位:百万円)

前連結会計年度
(自 2012年4月1日
至 2013年3月31日)
当連結会計年度
(自 2013年4月1日
至 2014年3月31日)
営業活動によるキャッシュ・フロー129,24736,349
投資活動によるキャッシュ・フロー△109,281△160,355
財務活動によるキャッシュ・フロー△57,330100,322
現金及び現金同等物に係る換算差額15,61015,680
現金及び現金同等物の増減額(△は減少)△21,754△8,004
現金及び現金同等物の期首残高212,673190,919
現金及び現金同等物の期末残高190,919182,916

⑤ 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更
前連結会計年度(自 2012年4月1日 至 2013年3月31日)
(有形固定資産の減価償却方法の変更)
従来、当社及び一部の国内連結子会社の有形固定資産の減価償却方法は定率法によっておりましたが、当連結会計年度より定額法に変更いたしました。
この変更は、当社グループ事業のグローバル化や海外売上比率の高まりを契機に海外連結子会社との減価償却方法の統一を検討した結果、製造設備・研究設備等について経済的に急激に劣化・陳腐化することが見込まれなくなっており、使用する有形固定資産が概ね耐用年数内で安定的に稼働し、投資効果が平均的に発生すると見込まれたことから、より費用収益の対応の適正化を図るために行うものであります。
これにより、従来と同じ方法によった場合と比較し、営業利益は4,339百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ4,277百万円増加しております。
当連結会計年度(自 2013年4月1日 至 2014年3月31日)
(退職給付に関する会計基準等の適用)
「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号 平成24年5月17日。以下「退職給付会計基準」という。)及び「退職給付に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第25号 平成24年5月17日。以下「退職給付適用指針」という。)を、当連結会計年度末より適用し(ただし、退職給付会計基準第35項本文及び退職給付適用指針第67項本文に掲げられた定めを除く。)、退職給付債務から年金資産の額を控除した額を退職給付に係る負債として計上する方法に変更し、未認識数理計算上の差異及び未認識過去勤務費用を固定負債に計上しております。
退職給付会計基準等の適用については、退職給付会計基準第37項に定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度末において、当該変更に伴う影響額をその他の包括利益累計額に加減しております。
この結果、当連結会計年度末において、固定負債として7,456百万円計上されております。また、その他の包括利益累計額が4,804百万円減少しております。
(4) IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
前連結会計年度(自 2012年4月1日 至 2013年3月31日)
「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 連結財務諸表注記 34.初度適用」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2013年4月1日 至 2014年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では、のれんは、その効果が発現すると見積もられる期間で償却することとしておりました。IFRSでは、IFRS移行日以降、のれんは償却を行っておりません。この影響によりIFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が7,593百万円減少しております。