有価証券報告書-第70期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/21 15:51
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注記事項-重要な会計方針、連結財務諸表(IFRS)

3.主要な会計方針についての概要
(1) 連結の基礎
① 子会社
子会社とは、当社グループにより支配されている企業をいう。
支配とは、当社グループがその会社の財務及び経営の方針を決定する能力を有している状態をいう。
当社グループは、投資先に対する支配を獲得した日から連結を開始し、支配を喪失した場合にはその日に連結を終了している。子会社が適用する会計方針が当社の会計方針と異なる場合には、必要に応じて当該子会社の財務諸表に調整を行っている。当社グループ内の債権債務残高、取引高及び当社グループ内取引によって発生した未実現損益は、連結財務諸表の作成に際して消去している。
日立化成工業(東莞)有限公司等一部の子会社の報告期間の末日は12月31日である。それらの子会社については、親会社の報告期間の末日である3月31日現在の財務諸表を作成して連結している。その他の子会社の報告期間の末日は親会社の報告期間の末日と一致している。
子会社に対する支配の喪失を伴わない持分変動については資本取引として会計処理している。持分変動に伴い生じる非支配持分の調整額と対価の公正価値との差額は資本に直接認識し、親会社株主に帰属させている。
一方、持分変動の結果、当社グループが子会社の支配を喪失した場合には、支配の喪失から生じた利得又は損失は純損益で認識している。
② 関連会社及び共同支配企業
関連会社とは、当社グループがその財務及び経営の方針に対して重要な影響力を有するが支配はしていない企業をいう。当社グループが他の企業の議決権の20%以上50%以下を保有する場合、当社グループは当該他の企業に対して重要な影響力を有していると推定される。なお、当社グループが保有する議決権が20%未満であっても、役員の派遣や取引により重要な影響力を有していると判断される場合には関連会社に含めることとしている。
共同支配企業とは、契約上の取り決めにより当社グループを含む複数の当事者が共同して支配しており、関連性のある活動に関する意思決定に際して、支配を共有する当事者の一致した合意を必要とする企業をいう。
当社グループは、関連会社及び共同支配企業への投資について重要な影響力又は共同支配を獲得した日から持分法の適用を開始し、それらを喪失した場合には持分法の適用を終了している。
(2) 企業結合
企業結合の会計処理は取得法によっており、取得の対価は被取得企業の支配と交換に譲渡した資産及び当社グループが以前から保有していた持分(取得日の公正価値)の合計として測定される。また、取得関連費用は発生時に費用処理している。
取得の対価と非支配持分の合計額が被支配企業の純資産の公正価値を上回る場合はその差額をのれんとして計上し、下回る場合にはその差額は直ちに純損益として認識している。
当社グループは、IFRS第1号の免除規定を適用し、2011年10月1日より前に発生した企業結合について、IFRS第3号「企業結合」(以下、IFRS第3号)を遡及適用しないことを選択している。従って、2011年10月1日より前の取得により生じたのれんは従前の会計基準(日本基準)に基づいて認識していた2011年10月1日時点の金額を引継ぎ、これに減損テストの結果を反映した価額で連結財政状態計算書に計上している。
(3) 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び取得日から3ヵ月以内に償還期限の到来する、容易に換金可能で価値変動のリスクが低い短期投資からなっている。
(4) 外貨換算
① 機能通貨及び表示通貨
当社グループの各企業の個別財務諸表は、それぞれの機能通貨で作成している。また、当社グループの連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円で表示している。
② 外貨建取引
外貨建の取引は、取引日における直物為替相場又はそれに近似するレートにより機能通貨に換算している。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算している。当該換算及び決済により生じる換算差額は純損益として認識している。ただし、FVTOCIの金融資産及びキャッシュ・フロー・ヘッジから生じる換算差額については、その他の包括利益として認識している。
③ 在外営業活動体
在外営業活動体の資産及び負債は期末日の為替レートにより、収益及び費用項目は期中平均為替レートにより日本円に換算している。この在外営業活動体の財務諸表の換算により生じる換算差額は、その他の包括利益として認識している。
(5) 金融商品
当社グループは、金融商品に係る会計処理について、IFRS第9号「金融商品」(2014年7月改訂)(以下、IFRS第9号)を適用している。
① デリバティブ以外の金融資産
デリバティブ以外の金融資産はその当初認識時に償却原価で測定する金融資産、FVTPLの金融資産及びFVTOCIの金融資産に分類している。売上債権及びその他の債権は発生日に当初認識し、その他の全ての金融資産は取引日に当初認識している。
(a) 償却原価で測定する金融資産
以下の要件をいずれも満たす金融資産は償却原価で測定する金融資産に分類している。
・契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している。
・契約条件により、元本及び元本残高に対する利息の支払いのキャッシュ・フローのみが特定の日に生じる。
償却原価で測定する金融資産は、当初認識時に、当該金融資産の公正価値に取得費用を加算した金額で測定している。また、当初認識後は実効金利法による償却原価で測定している。
(b) FVTPLの金融資産
売買目的で保有する資本性金融資産及び償却原価で測定する金融資産に分類されない負債性金融資産はFVTPLの金融資産としている。FVTPLの金融資産は当初認識時に公正価値で測定し、当該金融資産の取得費用は発生時に純損益として認識している。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動を純損益として認識している。
(c) FVTOCIの金融資産
売買目的以外で保有する資本性金融資産はFVTOCIの金融資産としている。FVTOCIの金融資産は、当初認識時に、当該金融資産の公正価値に取得費用を加算した金額で測定している。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識している。FVTOCIの金融資産の認識を中止した場合には、その他の包括利益累計額を利益剰余金に振り替えている。なお、FVTOCIの金融資産からの配当については純損益として認識している。
(d) 金融資産の認識の中止
金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が消滅した場合又は金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を譲渡し、当該金融資産の所有に係るリスクと経済価値を実質的に全て移転した場合には、当該金融資産の認識を中止している。
② 金融資産の減損
売上債権及びその他の債権に関する予想信用損失に係る貸倒引当金については、信用リスクが当初認識以降に著しく増大しているか否かに応じて、少なくとも四半期毎に減損の客観的な証拠があるかどうかを検討している。当該金融資産について、信用リスクが当初認識後に著しく増大している場合には、金融資産の予想残存期間の全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定している。信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、期末日後12ヶ月以内に生じる予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定している。ただし、売上債権については、常に全期間の予想信用損失に等しい金額で貸倒引当金を測定している。
信用リスクの著しい増大の有無は、債務不履行発生のリスクの変化に基づいて判断しており、債務不履行とは、債務者による契約上のキャッシュ・フローの支払いに重大な問題が生じ、金融資産の全体又は一部を回収するという合理的な予想を有していない状態と定義している。債務不履行発生のリスクに変化があるかどうかの判断においては、主に外部信用格付け、期日経過の情報等を考慮している。
予想信用損失は、金融資産に関して契約上支払われるキャッシュ・フロー総額と、受取りが見込まれる将来キャッシュ・フロー総額との差額の割引現在価値を発生確率により加重平均して測定する。支払遅延の存在、支払期日の延長、外部信用調査機関による否定的評価、債務超過等悪化した財政状況や経営成績の評価を含む、一つまたは複数の事象が発生している場合には、信用減損が生じた金融資産として個別的評価を行い、主に過去の貸倒実績や将来の回収可能額等に基づき予想信用損失を測定している。信用減損が生じていない金融資産については、主に過去の貸倒実績に必要に応じて現在及び将来の経済状況等を踏まえて調整した引当率等に基づく集合的評価により予想信用損失を測定している。
売上債権及びその他の債権に関する予想信用損失については、帳簿価額を直接減額せず、貸倒引当金を計上している。予想信用損失の変動額は減損損失として純損益に認識しており、連結損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれる。なお、金融資産について、全ての回収手段がなくなり、回収可能性がほぼ尽きたと考えられる時点で、金融資産の全体又は一部を回収するという合理的な予想を有していないと判断し、直接償却している。
③ デリバティブ以外の金融負債
デリバティブ以外の金融負債は、主に償却原価で測定する金融負債に分類している。発行した負債証券についてはその発行日に当初認識し、その他の金融負債は取引日に当初認識している。
当社グループは、デリバティブ以外の金融負債として、社債及び借入金、買入債務等を有しており、公正価値から取引費用(発行費用等)を控除した金額で当初認識し、当初認識後は実効金利法を用いた償却原価により測定している。
金融負債が消滅した場合、つまり契約上の義務が履行されるか、債務が免責、取消又は失効となった場合には、その金融負債の認識を中止している。
④ デリバティブ及びヘッジ会計
当社グループでは、為替変動リスク及び材料の価格変動リスクをヘッジするために、為替予約取引、通貨オプション取引、通貨スワップ取引及びコモディティスワップ取引等のデリバティブ取引を行っている。
ヘッジ手段とヘッジ対象の関係、リスク管理の目的及び戦略については、ヘッジ開始時点において文書化している。また、ヘッジ手段がヘッジ対象の公正価値やキャッシュ・フローの変動に対して相殺効果があると見込まれるかどうかをヘッジ対象期間中継続的に評価している。
これら全てのデリバティブは公正価値で当初認識し、当初認識後も公正価値で測定しており、その変動はヘッジ会計の適用の種類に応じて以下のとおり処理している。
(a) 公正価値ヘッジ
公正価値ヘッジとは、既に認識された資産又は負債、若しくは未認識の確定約定の公正価値の変動に対するヘッジであり、ヘッジの効果が有効である限り、公正価値ヘッジとして指定したデリバティブの公正価値の変動は、ヘッジ対象の公正価値の変動とともに純損益として認識している。
(b) キャッシュ・フロー・ヘッジ
キャッシュ・フロー・ヘッジとは主に予定取引のヘッジであり、ヘッジの効果が有効である限り、キャッシュ・フロー・ヘッジとして指定したデリバティブの公正価値の変動は、その他の包括利益として認識している。その他の包括利益として認識した金額は、ヘッジ対象である取引が純損益に影響を与える時点で純損益に振り替えている。ヘッジ対象が棚卸資産等の非金融資産の場合においては、その他の包括利益として認識した金額は資産の取得原価の調整として処理している。ヘッジ会計の要件を満たさない場合、ヘッジ手段が失効、売却、終結又は行使された場合並びにヘッジ指定を取り消した場合にはヘッジ会計の適用を中止している。また、予定取引の発生が見込まれなくなった場合、その他の包括利益として認識していた金額は即時に純損益に振り替えている。
(c) ヘッジ会計が適用されていないデリバティブ取引
ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ取引の公正価値の変動は純損益として認識している。
⑤ 金融資産と金融負債の相殺
金融資産と金融負債は、認識した金額を相殺する法的に強制力のある権利が存在し、かつ、純額で決済する場合又は資産と負債を同時に決済する意図がある場合にのみ相殺され、連結財政状態計算書において純額で表示している。
(会計方針の変更)
当社グループは、従来IFRS第9号「金融商品」(2009年11月公表、2010年10月改訂)を適用していたが、当連結会計年度の期首よりIFRS第9号「金融商品」(2014年7月改訂)を適用している。IFRS第9号「金融商品」(2014年7月改訂)は、ヘッジ会計、金融商品の分類及び測定を改訂し、金融資産の予想信用損失減損モデルを導入する基準書である。
IFRS第9号「金融商品」(2014年7月改訂)の適用については、経過措置を適用し、適用開始の累積的影響を当連結会計年度の利益剰余金期首残高の修正として認識している。
本基準書の適用による当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は軽微である。
(6) 棚卸資産
棚卸資産は取得原価と正味実現可能価額のいずれか低い方の金額で評価している。棚卸資産の取得原価は、主として移動平均法に基づいて算定している。また、正味実現可能価額とは、通常の営業過程における予想売価から、完成に要する見積原価及び販売に要する見積費用を控除したものをいう。
(7) 有形固定資産
有形固定資産の測定については原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額をもって計上している。
取得原価には、資産の取得に直接関連する費用、将来の解体、除去及び原状回復費用を含めている。
有形固定資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって、定額法により減価償却を行っている。主要な有形固定資産の見積耐用年数は以下のとおりである。
・建物及び構築物 2年から60年
・機械装置、運搬具及び工具器具備品 2年から20年
なお、見積耐用年数及び減価償却方法等は各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用している。
(8) 無形資産
① のれん
当初認識時におけるのれんの測定方法は「(2) 企業結合」に記載している。当初認識後は、取得原価から減損損失累計額を控除した価額をもって計上している。
② その他の無形資産
無形資産の測定については原価モデルを採用し、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額をもって計上している。個別に取得した無形資産は、当初認識に際し取得原価で測定しており、企業結合で取得した無形資産の取得原価は、取得日現在における公正価値で測定している。
耐用年数を確定できる無形資産は、それぞれの見積耐用年数にわたって、定額法により償却を行っている。主要な無形資産の見積耐用年数は以下のとおりである。
・自社利用ソフトウェア 主として5年
・マーケティング関連無形資産 5年から20年
・顧客関連無形資産 2年から21年
・技術関連無形資産 8年から13年
なお、耐用年数を確定できる無形資産の見積耐用年数及び償却方法等は各年度末に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用している。
(9) リース(借手)
リース契約開始時において、その契約にリースが含まれているか否かを契約の実質により判断している。
① ファイナンス・リース
契約上、資産の所有に伴うリスクと経済価値を実質的に全て借手に移転するリースは、ファイナンス・リースとして分類している。
リース資産及びリース債務は、公正価値又は最低支払リース料総額の現在価値のいずれか低い金額で当初認識している。
リース資産については、所有権移転が確実である場合は当該資産の見積耐用年数、それ以外の場合は当該リース資産の見積耐用年数又はリース期間のうちいずれか短い方の期間にわたって減価償却している。
② オペレーティング・リース
ファイナンス・リース以外のリースはオペレーティング・リースとして分類しており、支払リース料はリース期間にわたって定額法により認識している。
(10) 非金融資産の減損
四半期毎に減損の兆候の有無の判定を行い、減損の兆候がある場合、減損テストを実施している。なお、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産については、減損の兆候の有無にかかわらず、毎年、同じ時期に減損テストを実施している。
減損テストは、資産又は資金生成単位ごとに回収可能価額を見積り、帳簿価額と比較することによって行っている。資金生成単位は、他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生み出す最小の資産グループとしている。
回収可能価額は、資産又は資金生成単位の処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額をいう。使用価値の算定において、税引前の見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて現在価値に割り引いている。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合には、その資産について減損損失を認識している。
のれん以外の資産に関しては、過年度に認識された減損損失について、損失の減少又は消滅の可能性を示す兆候が認められる場合、当該資産又は資金生成単位を対象に回収可能価額の見積りを行う。その結果、見積られた回収可能価額が帳簿価額を超える場合には、過年度に減損損失が認識されなかったと仮定した場合に計算される、減価償却費(又は償却費)控除後の帳簿価額を上限として減損損失の戻し入れを行う。
(11) 売却目的で保有する資産
継続的な使用ではなく、主に売却により回収が見込まれる非流動資産又は処分グループのうち、現在の状態で直ちに売却することが可能であり、かつ、売却の可能性が非常に高い場合には、売却目的で保有する資産として分類している。
売却目的で保有する資産は、減価償却又は償却を行わず、帳簿価額と売却費用控除後の公正価値のいずれか低い方の金額で測定している。
(12) 退職後給付
① 確定給付制度
当社及び一部の子会社は確定給付制度として、確定給付企業年金制度及び退職一時金制度を採用している。確定給付制度については、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した純額を連結財政状態計算書で資産又は負債として認識している。確定給付制度債務の現在価値は予測単位積増方式により算定しており、割引率は確定給付制度債務と概ね同じ満期を有する優良社債の利回りを使用している。
確定給付資産又は負債の純額の再測定差額は、発生した期にその他の包括利益で認識している。また、過去勤務費用は発生した期に純損益として認識している。
② 確定拠出制度
当社及び一部の子会社は確定拠出年金制度を採用している。確定拠出年金制度は、雇用主が一定額の掛金を他の独立した企業に拠出し、その拠出額以上の支払について法的又は推定的債務を負わない退職後給付制度である。確定拠出年金制度への拠出は、従業員が勤務を提供した期間に費用処理している。
(13) 引当金
過去の事象の結果として、法的債務又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的資源の流出が生じる可能性が高く、かつ、当該債務の金額の合理的な見積りが可能である場合に引当金を計上している。
なお、債務の決済までの期間が長期となると想定され、貨幣の時間的価値が重要である場合には、決済時に予測される支出額の現在価値により引当金を測定している。現在価値の算出には、貨幣の時間的価値及び当該債務に固有のリスクを反映した税引前の割引率を使用している。
(14) 収益認識
当社グループは、以下の5ステップアプローチに基づき、収益を認識している。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で収益を認識する。
当社グループの製品は、顧客との契約に基づき、主に顧客に製品を販売し検収を受けた時点において履行義務が充足されることから、支配が移転した時点において収益を認識している。支払条件は一般的な条件であり、延払等の支払条件となっている取引で重要なものはない。取引価格の算定においては、顧客への約束した財又はサービスの移転と交換に企業が権利を得ると見込んでいる対価の金額で測定している。なお、約束した対価の金額に重大な金融要素は含まれていない。
当社グループは、本人又は代理人のいずれとして取引を行っているかを、顧客に財又はサービスを移転する前に特定された財又はサービスを支配しているかに基づき判断をしている。その結果、本人として取引を行っていると判断された場合には、顧客から受け取る対価の総額で収益を表示し、代理人として取引を行っていると判断された場合は、顧客から受領する対価の総額から第三者のために回収した金額を差し引いた純額で収益を表示している。
(会計方針の変更)
当社グループは、当連結会計年度の期首よりIFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」を適用している。IFRS第15号は、収益認識に関する論点を取り扱うための包括的かつ堅牢なフレームワークを提供しており、5ステップアプローチに基づき、顧客との契約から生じる資産及び負債の変動により収益を測定し、財またはサービスに対する支配の移転をもって収益を認識する基準書である。
IFRS第15号の適用については、経過措置を適用し、適用開始の累積的影響を当連結会計年度の利益剰余金期首
残高の修正として認識する方法を採用している。
本基準書の適用による当社グループの財政状態及び経営成績に与える影響は軽微である。
(15) 法人所得税
法人所得税費用は当期税金費用と繰延税金費用から構成され、その他の包括利益で認識する項目から生じる場合及び企業結合から生じる場合を除き、純損益で認識している。
当期税金費用は、税務当局に対する納付もしくは税務当局からの還付が予想される金額で測定され、税額の算定に使用する税率及び税法は、期末日までに制定もしくは実質的に制定されているものを適用している。
繰延税金資産及び負債は、資産及び負債の会計上の帳簿価額と税務基準額との一時差異に対して認識している。繰延税金資産は、将来減算一時差異等を利用できるだけの課税所得が生じる可能性が高いと判断した場合に限り認識している。なお、次の一時差異については、繰延税金資産又は負債を認識していない。
・のれんの当初認識から生じる一時差異
・企業結合以外の取引で、かつ会計上及び税務上のいずれの損益にも影響を及ぼさない取引において生じる資産又は負債の当初認識による一時差異
・子会社に対する投資に係る将来加算一時差異のうち、当社が解消する時期をコントロールすることができるものであって、かつ、予測可能な期間に当該一時差異を取り崩さないことが確実であるもの
・子会社及び持分法適用会社に対する投資に係る将来減算一時差異のうち、予測可能な期間内に一時差異が解消しない可能性が高いもの、又は一時差異の使用対象となる課税所得を獲得できる可能性が低いもの
繰延税金資産及び負債は、その一時差異等が解消される時に適用されると予測される税率を使用して測定している。
同一の納税主体において認識された繰延税金資産と繰延税金負債は相殺している。
(16) 1株当たり利益
基本的1株当たり当期利益は、親会社株主に帰属する当期利益を、連結会計年度中の発行済普通株式の期中平均株式数により除して算出している。
(17) 未適用の新会計基準
連結財務諸表の承認日までに新設又は改訂が行われた主な公表済基準書及び解釈指針のうち、当連結会計年度末において未適用の主な基準書は、IFRS第16号「リース」(以下、IFRS第16号)である。
IFRS第16号は、リースの認識、測定、表示及び開示の原則を定めており、借手は原則として全てのリースを連結財政状態計算書に認識する単一のモデルにより会計処理することが求められる。IFRS第16号は2019年1月1日以後開始する事業年度から適用され、当社は2019年4月1日よりIFRS第16号を適用する。IFRS第16号の適用については、経過措置を適用し、適用開始の累積的影響を適用開始日に利益剰余金期首残高の修正として認識する方法を採用する。
当社のリースは、主に不動産の賃借であり、IFRS第16号の適用による翌連結会計年度の期首における連結財政状態計算書に与える影響は、主に使用権資産を認識することによる資産の増加約188億円、主にリース負債を認識することによる負債の増加約191億円及び利益剰余金期首残高の修正による資本の減少約3億円であり、連結損益計算書に与える影響は軽微である。また、連結キャッシュ・フロー計算書については、従来オペレーティング・リースのリース料の支払が営業活動に関するキャッシュ・フローに含まれていたのに対し、IFRS第16号の適用により、主に使用権資産の減価償却費に係る調整が営業活動に関するキャッシュ・フローに含まれ、リース負債の支払が財務活動に関するキャッシュ・フローに含まれることにより、従来の会計基準を適用した場合と比較して、営業活動に関するキャッシュ・フローが増加し、財務活動に関するキャッシュ・フローが減少する影響がある。