有価証券報告書-第70期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 15:51
【資料】
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【項目】
95項目

事業等のリスク

当社グループは、幅広い事業分野にわたり、世界各地において事業活動を行っている。また、事業を遂行するために高度で専門的な技術を利用している。そのため、当社グループの事業活動は、多岐にわたる要因の影響を受ける。その要因の主なものは、次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
(1) 経済の動向による影響について
当社グループの市場である国及び地域の経済環境の動向は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。当社グループが事業活動を行っている日本、アジア、米国及び欧州等の市場において、景気後退により個人消費や民間設備投資が減少した場合、当社グループが提供する製品及びサービスの需要の減少や価格競争の激化が進展する可能性がある。このような環境下において、当社グループは売上収益や収益性を維持できる保証はない。
(2) 競争の激化について
当社グループの事業分野においては、大規模な国際的企業から専業企業に至るまで、多様な競合相手が存在するほか、製品の汎用品化や低コストの地域における製造が進んでおり、価格競争が激化している。激しい競争の下で成功するためには、価格、技術、品質及びブランド価値の面において競争力を有する製品及びサービスを時宜に適った方法で市場に投入しなければならないが、当社グループの提供する全ての製品及びサービスについて実現できる保証はない。製品及びサービスが競争力を維持できない場合又は市場投入の時期が適切でない場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(3) 海外活動に潜在するリスクについて
当社グループは、日本の他にアジア、米国及び欧州等の国及び地域で生産及び販売を行っている。これらの国及び地域では、それぞれに固有の政治的及び社会的リスクがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(4) 事故及び災害による影響について
当社グループは、火災、爆発等の事故を防止するため、設備点検を実施するとともに、安全装置及び消火設備の充実等を図っている。また、地震、台風等の自然災害に備え、生産設備及び情報・通信システムの安全性向上その他の対応策を講じている。しかし、これらの施策にかかわらず事故や災害による損害を完全に防止できる保証はない。これらの損害が発生すると、生産能力が低下し販売に大きな影響を与え、加えて事業体制の立直しのために多額の費用を要する場合がある。さらに、新型インフルエンザ等の感染症の大流行により、当社グループの事業活動が混乱する可能性がある。これらのことは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(5) 公的規制による影響について
当社グループの事業活動は、当社グループが事業を行う各国及び地域の多様な規制に服する。このような規制には、投資、貿易、競争、知的財産権、税、為替及び環境・リサイクルに関する規制を含む。規制に関する重大な変更は、当社グループの事業活動を制限し、若しくはコストを増加させ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(6) 為替相場の変動による影響について
当社グループは、取引先及び取引地域が世界各地にわたっているため、為替相場の変動リスクにさらされている資産及び負債を保有している。主に米ドルをはじめとする現地通貨建ての製品の輸出及び原材料の輸入を行っていることから、為替相場の変動は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。米ドルをはじめとする他の通貨に対する円高は、国内から海外市場に輸出される製品の価格競争力を弱め、一方、円安は、海外から輸入する原材料価格を上昇させ、それぞれ収益に影響を及ぼす可能性がある。当社グループでは、為替相場の変動のリスクを軽減するための施策を実行しているが、為替相場の変動による経営成績への影響を完全に回避できる保証はない。
(7) 財務上のリスクについて
当社グループは、株式等の有価証券を保有しており、これらの有価証券の価格の下落は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。また、当社グループは、資本市場から長期の資金調達を行っており、金利の変動や信用リスクによる影響を受ける可能性がある。
(8) 事業再構築について
当社グループは、経営の効率化と競争力の強化のため、不採算事業からの撤退、子会社や関連会社の売却・再編、製造拠点と販売網の再編及び人員の適正化等による事業の再構築を継続して行っている。これらの施策に関連して、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす費用が生じる可能性がある。各国政府の規制、雇用問題及び当社グループが売却を検討している事業の売却先不在等によって、事業再構築の計画が適時に実行できない可能性もある。また、当社グループが事業再構築の実施により、当初の目的の全部又は一部を達成できる保証はない。
(9) 企業買収、合弁事業及び戦略的提携について
当社グループは、各事業分野において、新技術や新製品の開発及び競争力の強化のため、外部企業の買収、事業の合弁及び戦略的提携を実施することがある。このような施策は、事業遂行、技術、製品及び人事上の統合において時間と費用がかかる複雑な問題を含んでおり、適切な計画の下で実行がなされない場合には、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性がある。事業提携の成果は、当社グループがコントロールできない提携先の決定や能力又は市場の動向によって影響される。また、統合に関する費用や買収事業の再構築に関する費用等の買収関連の費用が当社グループに発生する可能性がある。さらに、当社グループが買収事業の統合に成功し、若しくは当該施策を通じて当初の目的の全部又は一部を達成することに成功する保証はない。
(10) 取引先の信用不安について
当社グループは、国内外の様々な取引先を有しており、取引先の財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(11) 親会社との関係について
当社の親会社である(株)日立製作所は傘下に多数の関係会社を擁し、複数のセグメントにわたって、製品の製造及び販売・サービスに至る幅広い事業活動を展開しており、当社は高機能材料セグメントの一部を担っている。また、本有価証券報告書提出日現在、当社取締役10名のうち1名は同社の役員等を兼任しており、同社とは技術協力、人的協力及び製品の供給等においても密接な関係がある。当社は、上場会社として、全てのステークホルダーとのコミュニケーションを深め、当社グループの強みを生かした自律性と緊張感のある経営を実践することを基本方針としているが、当社グループの事業展開等は、同社の経営戦略等の影響を受ける可能性がある。
(12) 急速な技術革新について
当社グループの事業分野においては、新しい技術が急速に発展している。先端技術の開発に加えて、これを継続的に、迅速かつ優れた費用効率で製品及びサービスに適用することは、競争力を維持するために不可欠である。このような製品及びサービスを生み出すためには、研究開発に対する多大な努力が必要となるが、当社グループの研究開発が常に成功する保証はない。当社グループの先端技術の開発又は製品・サービスへの適用が予定どおり進展しなかった場合は、関連する当社グループの事業の経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(13) 製品の品質と責任について
当社グループの製品及びサービスは、高度な技術や複雑な技術を利用したものが増えており、また、原材料や部品等を外部の供給者から調達していることにより、品質保証へのコントロールは複雑化している。当社グループの製品及びサービスに欠陥等の問題が生じた場合には、当該問題から生じた損害について当社グループが責任を負う可能性があるとともに、当社グループの製品及びサービスの品質への信頼や経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(14) 訴訟その他の法的手続について
当社グループは、事業を遂行する上で、取引先や第三者から訴訟等が提起され、又は規制当局より法的手続がとられるリスクを有している。これらにより、当社グループに対して巨額かつ予想困難な損害賠償の請求がなされた場合又は事業遂行上の制限が加えられた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(15) 主要原材料価格の変動による影響について
当社グループの製品は、石油化学製品を原材料としているものが多く、その仕入価格は原油価格の変動の影響を受けることがある。また、鉛、銅及びレアアース等その他の原材料市況の変動や産出国の輸出規制により、原材料の調達価格が上昇し、あるいは必要量の調達が困難となり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(16) 優秀な人材の採用、確保及び育成について
当社グループが競争力を維持するためには、経営又は技術に関する能力に優れた人材を採用、確保し、育成することが重要であると考えている。しかしながら、優秀な人材の採用及び確保に関する競争は激化している。当社グループがこのような優秀な人材の採用、確保及び育成に成功する保証はない。
(17) 退職給付債務について
当社グループは、数理計算によって算出される多額の退職給付費用及び債務を負担している。この算出においては、死亡率、脱退率、退職率、給与の変更、割引率、年金資産の期待収益率等の見積りが前提になっている。この見積りは、人員の状況、現在の市況及び将来の金利動向等の基礎となる要素に基づき、合理的であると考えているが、実際の結果と合致する保証はない。例えば、割引率の低下は、数理上の退職給付債務の増加をもたらす。このように前提条件の変化は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(18) 知的財産権について
当社グループは、事業を遂行する上で、製品、製品のデザイン及び製造過程等に関する知的財産権を利用している。当社グループは、多数の知的財産権を保有するとともにライセンスを供与しており、必要又は有効と認める場合には、第三者の知的財産権を使用するために相手方からライセンスを取得する。それらの権利の保護、維持若しくは取得が予定どおり行われなかった場合又は第三者による当社グループの知的財産権の侵害を完全に防止できなかった場合は、当社グループの事業遂行や競争力に影響を及ぼす可能性がある。また、知的財産権に関する訴訟において当社グループが当事者となる可能性があり、その結果、費用が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(19) 原材料、部品及びサービスの供給者への依存について
当社グループの生産活動は、供給者が時宜に適った方法により適切な品質及び量の原材料、部品及びサービスを当社グループに供給する能力に依存している。供給者が他の顧客を有し、需要過剰の状況において、あるいは事故、災害等の発生、環境規制に起因する供給停止等により、全ての顧客の要求を満たすための十分な能力を有しない可能性もある。当社グループは、原則として、複数の供給元と取引を行い、供給に関連する問題の発生を回避するため供給者と緊密な関係を築くよう努めているが、供給不足や納入の遅延等の供給に関連する問題を完全に回避できる保証はない。このような問題が発生した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性がある。
(20) 情報の漏洩について
当社グループは、技術、営業、その他事業に関する営業秘密並びに多数の他企業及び個人の情報を有している。当社グループは、情報管理に万全を期しているが、予期せぬ事態により情報が流出し、第三者がこれを不正に取得、使用する可能性がある。当社グループの営業秘密が不正に外部に流出した場合、当社グループの事業に影響を与えるおそれがある。また、他企業及び個人の情報が外部に流出した場合、被害を受けた企業及び個人に対して損害賠償責任を負うとともに、当社グループの事業やイメージに影響を与えるおそれがある。これらのことは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(21) 情報システムについて
当社グループの事業活動において、情報システムの利用とその重要性は増大している。天変地異や人為的な原因によって情報システムの機能に支障が生じた場合、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。
(22) 環境問題について
各種の化学物質等を取り扱う当社グループは、環境基本法、大気汚染防止法及び水質汚濁防止法等の環境法令を遵守している。有害物質等が社外に流出しないように万全の対策をとっているが、万一流出した場合には、社会的信用の失墜、補償・対策費用の支出又は生産停止等の事態が発生する。また、将来の法規制の厳格化や環境に対する社会の関心の一層の高まりにより、過去の事業活動も含め、過失の有無にかかわらず、当社グループは法的・社会的責任を負う可能性がある。これらのことは、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性がある。