有価証券報告書-第69期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/26 13:23
【資料】
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【項目】
129項目

研究開発活動

当社は、感光性材料事業においては、感光材研究所にて半導体及びFPDに用いられる感光性材料の研究開発を行い、千葉工場研究開発部門では、感光性材料の工業化プロセスの研究開発だけでなく、工場に隣接した環境で研究開発から製品化までを一貫して短い期間で行う機能も備え、タイムリーな工業製品の供給を行っております。
化成品事業においては、感光材研究所と協働して、高純度溶剤、香料材料に用いられる新製品の開発、及び新技術、コストダウンのための研究開発を行っております。
新規事業分野においては、感光材研究所にてナノテクノロジー材料、ライフサイエンス関連材料、新規機能性材料などの研究開発を行っております。
各営業グループ、各工場のプロセス開発グループ及び感光材研究所が一体となり、お客様ニーズに合致した製品を開発するため、お客様との共同研究、共同開発を精力的に推進しております。また、大学及び公的研究機関等との共同研究、共同開発も積極的に推進しております。
2019年3月期の研究開発費の総額は801,350千円で、主な研究開発活動は次の通りであります。
(1) 感光性材料事業
感光性材料部門においては、高集積半導体デバイス加工、FPD等に使用されるフォトレジストの原材料となる感光材の開発ならびに工業化を推進しております。近年、先端LSIの領域では、厳しい品質管理が求められ、不純物メタルを低減することのみならず、製造工程の細部にわたる製造管理が求められており、このための材料開発、製造プロセスについても継続的な開発を続けております。
当社のコアテクノロジーである化学増幅型レジスト用材料の分野では、これからの半導体製造プロセスで本格的量産が見込まれるEUV用レジスト用材料などの先進材料の研究開発を行っております。上記のレジスト用材料の開発で培った高品質な精密合成技術を半導体、FPDの周辺材料分野にも展開し、新たな半導体、FPDを高機能化する材料の開発を推進しております。
(2) 化成品事業
溶剤関係では、電子材料分野に使用される高品質溶剤の製造方法・リサイクル方法を中心に研究開発を行っております。また、集積回路の微細化に資するため、純度を高めた製品開発を顧客企業とともに進めております。
香料材料関係では、高品質かつ安定した品質の合成香料及び材料の製造方法を中心に研究開発を行い、世界の大手香料会社から高い評価を得ております。競争力のある製品作りを主眼に既存製品の工程や原料の見直しを積極的に進め、また新たな製造方法の導入、装置化も進めております。
(3) 新規事業分野
ナノテクノロジー分野は、各種FPDなどをはじめ、これから多くの市場を創造し、その成長性が期待されている分野です。当社は、光ナノインプリント樹脂およびモールド樹脂の研究開発の成果を通して、お客様のこれらの製品の性能・機能の向上に貢献しております。
ライフサイエンス分野は21世紀の成長市場と期待されていますが、当社では、当社が保有する生体適合ポリマー技術、3D細胞培養技術を駆使して、培養容器向け材料や、化学物質の毒性検査、薬理スクリーニングや再生医療技術に有効な均質なスフェロイドのより効率的な形成が可能な細胞培養プレートおよび、お客様がご購入後すぐに使用できるスフェロイド形成済のプレートの開発と事業開拓を鋭意進めております。
新規機能性材料では、今後需要拡大と技術の高度化が見込まれる半導体チップ実装用封止・接着剤向け、構造接着向けの硬化剤、硬化促進剤などの技術開発と事業開拓を鋭意進めております。
以上のように、当社は、化学による「ものづくり」の技術革新を通して、21世紀前半に花開くと期待されている様々な製品分野の開発に貢献しており、今後もお客様と共に、最先端で最高の機能・性能を追求してまいります。