有価証券報告書-第109期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/23 15:42
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133項目

研究開発活動

当社グループの研究開発活動は、当社、連結子会社コスモ石油ルブリカンツ㈱、コスモエンジニアリング㈱及びコスモALA㈱で実施しております。当社は、石油製品・石油精製プロセス触媒の研究や、環境に対応したバイオ技術の研究等を行っております。コスモ石油ルブリカンツ㈱では、環境対応技術確立の為の研究に取り組むとともに、消費者のニーズに応える潤滑油関係の商品開発等を行っております。コスモエンジニアリング㈱では、環境対応技術、温暖化対策技術及び次世代エネルギーなど、時代のニーズに応える研究活動を行っております。また、コスモALA㈱において、5-アミノレブリン酸(ALA)の医薬品向け原体及び製剤の製造・販売を目指し、研究開発活動を行っております。この結果、当社グループの当連結会計年度における研究開発費の総額は3,077百万円であります。
以下に主要な研究概要をセグメント別に記載いたします。
(1)石油事業
当社は、石油製品・石油精製プロセス触媒の研究や、環境に対応したバイオ技術の研究等を行っております。
石油精製技術分野では、製油所の高効率稼動の実現、精製コストの削減への対応として触媒技術を活かした精製プロセスの最適化、調達原油の多様化、ならびに石油製品の需給構造変化への対応を目的とした重質油削減、石油留分の高付加価値化などに関する研究開発に取り組んでおります。本分野では、新規流動接触分解触媒(FCC触媒)を開発し、製油所における実証運転により効果を確認した成果に対して当社研究員が「平成26年度石油学会 野口記念奨励賞」を受賞しました。また、極東石油工業合同会社千葉製油所との協業化に向けた検討にも取り組んでおり、生産効率の向上、常圧蒸留装置を含めた設備の最適化を目指しております。加えて、一般財団法人石油エネルギー技術センター(JPEC)の技術開発事業にも参画し、超重質油から有用な石油製品への効率的な転換を目指し、コーカーを中心とした重質油分解装置群の高度活用による残油分解プロセス技術の開発を進めております。
総合エネルギー分野では、天然ガスからの液体燃料製造技術(GTL技術)について、民間5社と独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で、商業規模で利用可能な国産GTL技術を確立した成果に対し、平成26年度 第6回エンジニアリング奨励特別賞を受賞しました。
バイオ技術分野では、当社にて見出した植物生長促進効果、育毛効果等を有する5-アミノレブリン酸(ALA)を配合した各種肥料の販売、および育毛剤等の商品開発を行っており、このALAの安定生産、製造コスト削減に向けた製造技術開発を行っております。また、バイオエタノールの製造技術研究においては、遺伝子組み換え技術を用いずに効率的にエタノールを生産できる当社開発の発酵菌を木質等のセルロース系バイオマスを原料としたエタノール製造プロセスに適用することを目指して、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発事業に参画し、実用化に向けた検討に取り組んでおります。
また、Hyundai Oilbank Co., Ltd.(HDO)との「石油事業包括協力覚書」(平成20年4月16日締結)に基づいた協力範囲をより発展・具体化させることを目的に、平成23年10月13日に締結した技術/研究分野における覚書に基づき、技術委員会を継続して交互に開催し、研究開発活動の強化に努めております。
コスモ石油ルブリカンツ㈱は現在、環境対応・安全対応を最重要テーマとし、省エネ・省燃費・省資源対応潤滑油、不燃性潤滑油、生分解性潤滑油のオンリーワン商品開発に取り組んでおります。また、従来技術の更なる発展による商品開発・調査研究も並行して実施しております。
今後ますます厳しくなる排ガス規制・省燃費規制に対応したディーゼルエンジン油の開発や、省エネルギー・省資源技術確立のための更なる研究開発に取り組むとともに、車両用潤滑油・工業用潤滑油・グリースの商品開発はもとより、熱対策として放熱性に優れた「コスモサーマルグリース」、低トルク・省電力の「HDD動圧軸受油」など高付加価値商品の開発及び産学連携による新規商品開発にも取り組んでまいります。
なお、石油事業における研究開発費の金額は、2,869百万円であります。
(2)その他
コスモエンジニアリング㈱は再生可能エネルギー、温暖化対策技術および環境対応技術など幅広く、時代のニーズに的確に応えられるよう、以下の主要4点について研究活動を進めております。
① 再生可能エネルギー関連では、風力発電事業において設計施工技術強化を進めております。また、従来培ってきた保守技術を、当該分野に応用する検討を行っております。
② 温暖化対策関連では、CO2分離・回収技術、及びCO2利用技術に関するプロセス調査、技術導入等の検討を進めております。
③ 原油処理が減少している中、石油精製連産品の中には需要が伸びているものがあるため、石油に由来しない新製法の技術調査を進めております。
④ 従来開発してきた各種VOC回収装置をさらに発展させ、様々な排出源に適合できるよう検討を進めております。また、海外展開を視野に入れ、ニーズ調査を進めております。
コスモALA㈱は、ALAの医薬品向け原体及び製剤の製造・販売を目指し、研究開発活動を行っております。
平成26年度は、引き続き医薬品の品質管理で定められるGMP基準(Good Manufacturing Practice)に則ったALAの製造開発に基づき、医薬品として使用可能な原体(医薬品の有効成分となる原料医薬品)と、製剤の開発を実施しております。ALAを有効成分とする医薬品としては、既に悪性神経膠腫(脳腫瘍)術中診断薬の承認を日本国内で受けておりますが、平成26年度より、ミトコンドリア病やがん化学療法による貧血について、新たに治験を開始しました。また他の症例についても、コスモALA㈱は製薬会社と協力して開発を進めております。
なお、その他における研究開発費の金額は、208百万円であります。