有価証券報告書-第68期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 11:03
【資料】
PDFをみる
【項目】
108項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度のわが国経済は、個人消費の低迷や輸出に弱さが見られたものの、企業収益や雇用情勢の改善、設備投資が底堅く推移するなど総じて緩やかな回復基調が持続しました。
また、世界経済は、先進国を中心に全体として緩やかな成長が続きました。米国では個人消費の増加や雇用環境の改善などにより順調な回復が続きました。欧州では英国やドイツで失業率が低下するなど緩やかに回復しました。中国では成長の減速傾向が続き、アジアの新興国についても厳しい状況が続くなど減速基調で推移しました。
このような事業環境のもと、より快適で豊かな暮らしに貢献できる製品造りをコンセプトに、お客様の多様なニーズに迅速・的確に対応するため、新技術・新製品開発へ積極的に取り組んでまいりました。同時に、企業としての持続的成長を目指し、生産拠点の拡充を図るため工場の増築、設備の増設を決定し建築に着手しました。最新の生産設備の導入を柱に、生産能力の強化による増産体制の構築と生産性向上を実現します。また、総人員の圧縮と適正配置、在庫管理の徹底による削減と適正数量確保、間接的固定費の継続的削減活動の展開など、生産体制の合理化と業務の効率化を継続して推進し企業体質の強化に努めてまいりました。さらに、中長期的な視点から生産体制強化に向けて、生産から出荷・在庫管理に亘る管理システム全般の抜本的改革・整備を継続的に推進し強固な事業基盤の整備・構築に努めてまいりました。
中核事業のひとつである医療機器事業は、主力のコンドームを取巻く国内市場環境は依然として厳しい状況が続いております。一方、海外市場においては、継続的なアプローチが奏功し新たな展望が開けました。もうひとつの主力部門である精密機器事業は、国内外の製造関連企業を中心とした顧客ニーズに対応すべく、生命線である製品開発に取り組むと同時に、積極的な提案営業を展開してまいりました。また、より一層の生産体制強化を図るため複数の生産ラインを新規に投入してまいりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は、69億8百万円と前年同期と比べ1億9千9百万円(3.0%)の増加となりました。
一方、利益面につきましては、価格競争激化、新製品販売に向けた販促費投入、設備導入による減価償却費負担、一部在庫の評価減の計上等の利益圧迫要因があったものの、設備投資を中心に生産合理化と経営全般に亘る効率化を図るとともに諸経費の節減に努め、さらに増収効果も相俟って営業利益は6億5千2百万円と前年同期と比べ4億7千1百万円(261.8%)の増益となり、経常利益は5億6千9百万円と前年同期と比べ4億3百万円(242.7%)の増益となりました。また、投資有価証券売却益3千7百万円を特別利益に計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は4億6百万円(前年同期は1億5千9百万円の損失)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。なお、セグメント損益は、営業利益または営業損失に基づいております。
① 医療機器事業
主力のコンドームは、国内市場においては大型小売店・ドラッグストア・コンビニエンスストアを中心とした販路開拓に加え、ネット販売強化についても継続的に中核戦略と位置付け、販売チャネルの拡大及び新規ルートの開拓を重点的に推進しました。また、ドラッグストア並びにSNSを媒体としたタイアップ企画や販促キャンペーンの展開、マーケットリサーチの強化、店頭販売の協力体制強化、定番品の確保、周辺カテゴリー商品の新規投入に注力しシェア拡大を推進しました。
国内市場では依然として消費の減少傾向、価格競争、価格の2極化が続きました。また、ここ数年来の天然ゴムに代わる新素材製品のシェア上昇傾向も続き、天然ゴム素材製品を主体とする当社は厳しい展開を余儀なくされました。また、冷却商品は競合製品の増加とリピート需要の一巡、アイテム数の絞込みにより売上、利益とも苦戦しました。一方、輸出につきましてはアジア地域・欧州を中心とした日本製高品質をアピールした提案と新規開拓を継続いたしました。継続的な営業活動が奏功し、また生産体制の再構築にも継続的に取り組むことで安定的な受注を可能とし増収に転じました。
メディカル製品については、医療現場での感染防止意識の高まりにつれて、超音波診断装置等のプローブカバー(感染予防製品)、内視鏡用の医療バルーンを中心として引き続き堅調に推移しました。また医療現場のニーズに応えるべく開発したアレルギーフリー新素材製品は市場の認知度も上がり引き続き堅調に推移しました。
この結果、売上高は19億8千2百万円と前年同期と比べ1億9千6百万円(11.0%)の増加となりました。
セグメント損益は、生産合理化を継続的に推進し原価低減に努めると同時に、棚卸資産評価減の縮小および大型販促企画関連コスト負担の一巡、さらに増産効果と増収効果により1千8百万円の利益(前年同期は3億4千8百万円の損失)となりました。
② 精密機器事業
主力のショックアブソーバ及びロータリーダンパーは、景気回復に伴い国内、輸出関連とも引き続き受注は堅調に推移しました。国内市場においては、ユーザー評価の高い主力製品の小型ショックアブソーバが、製品バリエーション強化と性能面の進化により、売上と利益に安定的に寄与しました。また、従来から製品のラインナップ強化をすべく開発に注力してきた大型産業用ショックアブソーバ及びエマージェンシーダンパー等も市場に認知され売上が増加しました。一般産業用の分野では設備投資が徐々に回復するものの、産業用向けショックアブソーバは大幅な受注増には及びませんでした。従来から主要な市場として位置付け、重点的に市場開拓を継続している住宅設備関連、自動車関連、家電、OA機器関連の分野で受注は堅調に推移しました。海外市場では当社の大手取引先の生産調整により受注が伸び悩み、前年を下回る実績となりましたが、来期は新たな顧客と大型の受注が見込まれます。また、拡大が見込まれる国内外の受注に対応すべく、生産能力の増強に向けた工場の増設に着手しました。
当連結会計年度についても従来から推進している製造ラインの全自動化・半自動化、加えて増産に向けた自動化ラインの新規投入による製造原価低減、人員の適正配置を含めた生産効率化と製造経費の低減、販売費節減への継続的取り組みを行いコスト圧迫要因の吸収に注力しました。
この結果、売上高は42億5千3百万円と前年同期と比べ3千5百万円(△0.8%)の減少となりました。
セグメント利益は、海外市場でのコストダウン要求や滞留在庫の処分・評価減の影響がありましたが、生産合理化をベースとした原価低減が奏功し、9億4千4百万円と前年同期と比べ8千7百万円(10.2%)の増益となりました。
③ SP事業
ゴム風船が主力となる販促用品市場はニーズの多様化と市場の縮小が続きましたが、景気が回復基調にある中、徐々に広告販促活動やイベント等に持ち直しの兆しが見られました。また、ヘリウムガスの供給も徐々に回復するものの、市場環境の本格的な回復には至りませんでした。しかし、従来から継続している提案営業をベースにした新たな商材の提供が奏功し、大型のスポット案件の受注も実現できるなど、主力のゴム風船及びフィルムバルーンの受注が持ち直しました。さらに今後の拡大が見込める海外テーマパークからの受注も増加しました。前連結会計年度に売上、利益とも底を脱し、当連結会計年度は回復基調に転じました。
この結果、売上高は5億1千7百万円と前年同期と比べ2千5百万円(5.3%)の増加となりました。
セグメント利益は、増収効果もあり1千2百万円と前年同期と比べ8百万円(221.4%)の増益となりました。
④ その他
売上高は1億5千5百万円と前年同期と比べ1千2百万円(8.7%)の増加となりました。
セグメント利益は、値上げ効果が大きく寄与し3千1百万円と前年同期と比べ1千5百万円(97.2%)の増益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、12億7千2百万円と前年同期と比べ2千9百万円(△2.2%)の減少となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動により得られた資金は、前年同期と比べ1億8千6百万円(33.3%)増加し、7億4千6百万円となりました。
資金の主な増加要因は税金等調整前当期純利益の6億5百万円、減価償却費の2億4千9百万円、法人税等の還付額4千4百万円などであり、主な減少要因は仕入債務の減少1億9百万円、たな卸資産の増加6千2百万円などであります。
投資活動により支出した資金は前年同期と比べ5千万円(53.7%)増加し、1億4千5百万円となりました。
資金の主な減少要因は有形固定資産の取得2億1千3百万円であり、主な増加要因は投資有価証券の売却7千万円であります。
財務活動により支出した資金は、前年同期と比べ8百万円(1.4%)増加し、6億2千5百万円となりました。
支出の主な要因は短期借入金の返済3億円、長期借入金の返済2億円、リース債務の返済7千1百万円などであります。