有価証券報告書-第172期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 11:21
【資料】
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【項目】
157項目

研究開発活動


当連結会計年度の研究開発活動は、新規製品と新技術の開発、既存製品の効能研究及び高付加価値化のためにコラーゲン、ラミニンに代表される細胞外マトリックス成分を対象として、積極的に行いました。また、再生医療・組織工学、細胞培養関連製品の開発、化粧品開発のための皮膚科学、コラーゲンの経口摂取の栄養学などの研究開発を行っております。
具体的な研究開発項目につきまして、以下にいくつか例を挙げます。
(1) iPS細胞及びES細胞を効率よく未分化の状態で培養できる細胞培養基質「iMatrix511」及びその臨床用グレード製品「iMatrix511MG」を製造しております。「iMatrix-511」は、iPS/ES細胞から分化させた神経細胞や様々な細胞の培養基質としても使用されています。さらに多くの細胞を培養するための511以外のラミニン分子についても開発中です。2018年2月に心筋細胞の純化・維持培養に適した「iMatri-221」を販売して、現在、511、411、221の3種類を取り扱っております。今後、さらに複数種のラミニンを開発予定です。
2016年1月に大阪大学と立ち上げたベンチャー株式会社マトリクソーム、および2017年4月から大阪大学蛋白研究所に寄附研究部門マトリクソーム科学(ニッピ)研究室を設置いたしており、これら組織と緊密に連携して研究開発を進め、再生医療の基盤を支える製品を国内外の研究者、医師、製薬企業に提供していきたいと考えております。
(2) 安全性の高い組織工学・再生医療用コラーゲン、化粧品用コラーゲンの素材開発及び用途開発を行っております。また、ウイルスクリアランス試験を実施して低エンドトキシンである医療用途にも適用可能なコラーゲンとメディゼラチンを開発しております。同時に、各種研究試薬用コラーゲン、ゼラチンの応用開発も行っております。
(3) コラーゲン経口摂取の効果については、ヒト効能試験を行い、皮膚のシワ改善などにおいて効果を確認しており、分子や細胞への作用メカニズムに関しても研究を行っております。ジペプチドPro-Hypを多く含むペプチドDFF-01や、生姜に含まれる酵素を用いてXaa-4Hyp-Glyという配列のトリペプチドが多く含まれるペプチドGFF-01を販売するとともに、その生理的作用を研究しております。
(4) 医薬品に用いる抗体組み換え蛋白質の効率の良い製造法spERtテクノロジーを開発し、基本特許として知的財産化しました。さらに実証実験を含めた開発を進め、抗体医薬開発企業と共同開発を目指したいと考えております。
(5) 当研究所の研究能力を活用して、ペプチドアミノ酸配列分析、アミノ酸組成分析、コラーゲン各種分析等の受託研究を受注し、国内外の企業、研究機関から高く評価されております。
(6) 動物用のペットサプリメントとして、イヌ向けのコラーゲンペプチドを用いた「あしたも走ろっ。」を開発し、販売しております。
上記のほか、化学架橋性ポリ塩化ビニルを用いた機能性ケミカル製品の開発も行っております。
当連結会計年度の研究開発費の金額は、491百万円であります。 また、事業のセグメント別の研究開発費は、バイオマトリックス研究所において各セグメントの総合的、横断的研究開発活動を行っていること、また、経営資源の配分の決定及び業績を評価するための検討対象としていないことから区分しておりません。