有価証券報告書-第93期(平成29年1月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/29 13:08
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【項目】
63項目

研究開発活動

当社グループでは、経営方針AGC plus として“投資家の皆様に「企業価値」をプラスする”ことを掲げ、その実現のために売上の拡大と資産効率の向上を進めています。研究開発領域においても「2025年のありたい姿」の実現に向けて、ガラス、化学品、ディスプレイ、セラミックスといった「コア事業」における研究開発で安定的な収益の基盤づくりに貢献するとともに、モビリティ、エレクトロニクス、ライフサイエンスをターゲット領域とする「戦略事業」についての開発活動にも重点的に注力して、技術力の向上、売上高の拡大に努めてまいります。
具体的には、携帯端末のカバーガラス等に用いられる化学強化用特殊ガラスの開発とディスプレイ以外(自動車内装や建築、照明等)への用途展開、地球温暖化への影響を大幅に抑制する空調機器向け新冷媒等の開発、ガラス・化学・セラミックス技術の融合による高付加価値商品(ディスプレイ関連部材や省エネ効果の高い自動車用調光ガラス等)の開発、フッ素・化学分野における医農薬原体の開発等、今後拡大が見込まれる分野での研究開発活動をより強化して進めております。
こうした活動を推進するため、2016年1月に、コーポレートの研究開発活動の担い手である技術本部について、従来組織の抜本的な見直しを行いました。具体的には、革新的な基盤技術の創出と、最先端のIT技術や高度な解析技術等の共通基盤技術を担当する先端技術研究所、マーケット視点からの新商品の創出、商品技術課題の解決を推進する商品開発研究所、設備の投資執行と維持管理、生産技術の開発・課題解決・改良を実践する生産技術部を新設し、知的財産の調査・分析・出願・権利化・権利行使と知財戦略策定・推進を主たる業務とする知的財産部とあわせて再編しました(2018年1月に知的財産部は技術本部から独立)。この再編により、競争力のある革新的な基盤技術の開発に集中し、マーケット視点に立って多様性を融合した新商品開発を推進するとともに、プロセス技術、設備技術といった広義の生産技術を開発・設計段階から一体化させ、競争力のある本質・コストの実現を推進することにしています。また、各事業部には現行事業及びその周辺における新商品・新品種開発、生産技術改良、お客様への技術サービス等を担当する研究開発部署を設置しており、実際の活動においては、各組織が相互連携のもとに一体化することによって、効果的かつ効率的な研究開発活動を進めています。なお、2017年2月、これまで分散していた基盤技術開発、新商品開発、プロセス開発拠点を集約し新研究棟を建設することを決定し、新たな研究開発体制の構築により、研究開発スピードの大幅向上とオープンイノベーションの実現を図ります。新たな研究開発体制は2020年6月よりスタートする予定です。
また当社では、必要に応じ、共同研究や委託研究、または国が行う大型プロジェクトへの参画等を活用することで、効率的な開発推進を図っております。例えば、2017年4月、東京大学工学系研究科の化学生命工学専攻全体と包括的共同研究を行う社会連携講座「フッ素および有機化学融合材料・生命科学講座」を開設しました。また、ユニークな産学連携システムとして、共同研究テーマを公募する「リサーチコラボレーション制度」も導入し、国内の大学・公的研究機関との共同研究を継続的に進めています。
さらに北米、欧州及び東南アジアに駐在員を配置し、海外大学や研究機関等への積極的な情報収集活動を行うとともに、当社グループとのシナジーが期待できる技術を保有するベンチャー企業の探索を行っております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は43,912百万円でした。当連結会計年度における各事業部門別の研究開発課題と研究成果及び研究開発費は次のとおりです。
(1) コーポレート
コーポレートが担当している研究開発には、技術プラットフォームの強化拡大を目指した長期的・基礎的な研究開発と、新規事業の創出を目指した研究開発があります。また上記の戦略に基づいた全社的研究開発体制の構築もコーポレートが策定・調整しております。コーポレートが担当しているテーマとしては、高度な解析技術等の共通基盤技術の開発、既存事業及び新事業に資する材料技術の開発等があります。
当連結会計年度における、コーポレートの研究開発費は16,774百万円でした。
(2) ガラス
当事業の研究開発部門では、板ガラスや自動車用ガラスに関する商品設計や新技術開発、生産技術開発を行っております。また、省エネ効果の高い建築用ガラスや自動車用ガラスに関する技術開発を行っております。
当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,464百万円でした。
(3) 電子
当事業の研究開発部門では、全ての薄型ディスプレイ商品に対応する表示デバイス用ガラスを提供している世界で唯一のガラスメーカーとしてお客様のご期待に沿うべく、ガラス溶解・成形・研磨・検査等の生産技術開発に注力しております。さらに、その他にも多岐にわたる研究開発テーマがあり、主に半導体製造装置用部材、ディスプレイ関連部材、光電子部材等に関する新商品・新技術・生産技術の開発を行っております。
当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は9,575百万円でした。
(4) 化学品
当事業の研究開発部門では、AGC plusが掲げる“世の中に「安心・安全・快適」をプラスする”素材・ソリューションを提供すべく、フッ素化学、高分子化学、無機化学、電気化学等の基盤技術を生かした新商品・新技術の開発を行っております。特に、環境に配慮した製品やプロセスの開発に注力している他、医農薬中間体・原体分野の開発も進めております。
当連結会計年度における、当事業部門に係る研究開発費は7,278百万円でした。
(5) セラミックス・その他
上記以外の事業部門における当連結会計年度の研究開発費は2,818百万円でした。