有価証券報告書-第60期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/27 16:24
【資料】
PDFをみる
【項目】
62項目

研究開発活動

当社はグループ内の経営資源の融合による新技術開発、新製品開発、新市場創造を図り、将来の核となる事業の創出に取り組んでいます。特に、今後の成長が見込まれる「情報通信市場」、「環境・エネルギー市場」並びに「自動車関連市場」等に対して、付加価値の高い新技術、新製品の研究開発に注力しています。
各レポーティングセグメントにおける活動は次のとおりです。
(1) ファインセラミック部品関連事業
創業以来培ってきたファインセラミックの材料技術やプロセス技術、設計技術を活かし、幅広い市場に対して新製品開発に取り組んでいます。シリコンウェハの大型化等、次世代の半導体製造装置をはじめとした産業機械市場向けの部品や燃料電池部品等の環境・エネルギー市場向けの部品、更に、照明用途の需要が拡大している LED関連製品等の開発を強化しています。
また、自動車関連市場向けには、米国での安全規制の法制化により需要の増加が見込まれる後方検知用や衝突防止用のカメラモジュールの開発を強化するとともに、二酸化炭素の削減や排気ガスの抑制に貢献するディーゼル車向けのセラミック部品の開発に注力しています。
スマートフォンやTV等のデジタルコンシューマ機器市場向けには、セラミックスの優れた圧電特性を活かしたスマートソニックレシーバーやスマートソニックサウンド等の開発を強化し、市場開拓を進めています。
(2) 半導体部品関連事業
デジタルコンシューマ機器市場においては、スマートフォンやタブレットPCに代表されるように機器の多機能化と同時に小型・薄型化のニーズが高まっています。これに伴い、機器に搭載される電子部品の小型化や半導体の微細化が進んでいます。また、情報通信ネットワーク市場においては、高速かつ大容量の通信インフラの構築が求められています。このような市場動向に対応し事業拡大を図るため、当社は独自の材料、設計、積層技術を活かし、付加価値の高い新製品の開発に努めています。
具体的には、セラミックパッケージ・基板事業において、微細配線が可能で、かつ高強度、高剛性の超小型・薄型のパッケージや、より高い周波数に対応した光通信用パッケージの開発に取り組んでいます。
また、有機多層パッケージ・基板事業においては、狭ピッチかつ薄型・高精細なフリップチップパッケージやモジュール基板、高周波対応基板や部品内蔵基板の開発を強化しています。
(3) ファインセラミック応用品関連事業
ソーラーエネルギー事業においては、多結晶及び単結晶シリコン太陽電池セルの変換効率やモジュールの出力向上を図るとともに、他方式の太陽電池の開発に取り組んでいます。また、発電された電気を家庭やオフィスで使用できるように変換するパワーコンディショナ等の太陽電池周辺機器に加え、発電した電気を蓄える蓄電システムやエネルギーを効率良く制御するエネルギーマネジメントシステム等の開発にも注力しています。
切削工具事業については、自動車や産業機械等の幅広い市場で使用される、高品質・高精度なユーザーの生産性向上に寄与する製品の開発を進めています。
(4) 電子デバイス関連事業
多機能化が進み、部品の小型化が要求されるスマートフォンやタブレットPC等のモバイル機器に対し、小型・薄型のセラミックコンデンサやモジュール、並びに水晶部品や狭ピッチ・低背のコネクタ等の開発を進めています。また、産業機械市場向け高耐圧セラミックコンデンサや、自動車関連市場向け高耐圧、大電流コネクタの開発を進めています。
液晶関連製品については、自動車関連及び産業機械市場向けにタッチパネルやカバーガラス等を組み合わせたTFT液晶ディスプレイをはじめ、高付加価値製品の開発を進めています。
また、主に商業印刷市場向けに展開しているインクジェットプリントヘッドでは、高速・高画質の印刷に適した製品の開発に取り組んでいます。
(5) 通信機器関連事業
当社は、これまで培ってきた薄型化や防塵、耐衝撃性設計に加え、独自の部品技術を活かし、機器のユーザーインターフェイスで差別化を実現する高付加価値端末の開発を強化しています。また、端末開発のプラットフォーム化を進め、開発期間の短縮と効率化に努めています。更に、端末事業に加え、テレマティクス、スマートグリッド等の分野において需要増が見込まれるマシン・ツー・マシン(M2M)モジュールの開発を進めています。
(6) 情報機器関連事業
ハードウェア事業においては、経済性と環境性の高いプリンター及び複合機の開発を行っています。また、感光ドラムの長寿命化や長期間高画質を維持する現像システムの研究開発や、低消費電力化を実現する機器の開発に取り組んでいます。加えて、多様な顧客ニーズに合った製品開発を進めると同時に、一層の低コスト化に向けた基幹部品の共通化を進めています。
需要が拡大するソリューションサービス事業においては、モバイル機器やクラウド等との連携を可能にする様々なアプリケーションの開発や、ユーザーのドキュメント環境の最適化及び継続的なサポートを行うマネージド・ドキュメント・サービス(MDS)をグローバルに展開するためのシステム構築等の新技術開発を強化しています。
(7) その他の事業
京セラコミュニケーションシステム㈱では、クラウドコンピューティングやモバイル通信の拡大により需要が増加しているビッグデータの収集・蓄積・分析への対応に加え、エネルギー管理システムや情報セキュリティソフトウェア等、幅広い産業でのインフラやソフトウェアの開発に取り組んでいます。
京セラケミカル㈱では、半導体を中心とする電子部品関連材料及び自動車関連材料の絶縁信頼性等の電気特性に加え、熱硬化・光反応性や形状・応力安定性等の多種多様な高機能化への要求に応えるため、新規材料の合成や新たな材料配合技術等の開発を強化しています。
(百万円)

研究開発費前連結会計年度当連結会計年度増減率(%)
ファインセラミック部品関連事業2,8782,553△11.3
半導体部品関連事業2,3532,206△6.2
ファインセラミック応用品関連事業5,7784,292△25.7
電子デバイス関連事業8,0586,351△21.2
部品事業計19,06715,402△19.2
通信機器関連事業4,4454,294△3.4
情報機器関連事業18,37320,35710.8
機器事業計22,81824,6518.0
その他の事業5,6348,77755.8
研究開発費計47,51948,8302.8
(売上高比率)(3.7%)(3.4%)-