四半期報告書-第98期第3四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

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2016/11/14 9:48
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30項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間(平成28年1月1日~平成28年9月30日)においては、世界経済は、欧州では景気は緩やかに回復してきたものの、輸出や製造業の一部に弱さが見られました。米国では堅調な雇用情勢や個人消費を背景に景気回復が続きました。中国では輸出や固定資産投資が伸び悩む中、景気が減速しました。国内経済は、個人消費が底堅く推移する中、雇用環境の改善等により緩やかな回復が続きました。
このような中、当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高、利益とも前第3四半期連結累計期間(平成27年1月1日~平成27年9月30日)を下回りました。
電子・情報の分野においては、液晶ディスプレイ(LCD)用基板ガラスは、LCDパネルの需要回復を背景に、第2四半期連結会計期間(平成28年4月1日~平成28年6月30日)以降出荷が復調した一方で、価格は緩やかな下落が続きました。モバイル端末用カバーガラス(化学強化専用ガラス)は、スマートフォンなどの需要の伸び悩みにより販売は低調でした。電子デバイス用ガラスは新製品が販売増に寄与する一方で、光関連ガラスは一部の通信インフラ市場の減速により販売が減少しました。太陽電池用基板ガラスは堅調に推移しました。
機能材料・その他の分野においては、ガラスファイバは、自動車部品向け高機能樹脂用途において欧米の夏季休暇などが影響し、当第3四半期連結会計期間(平成28年7月1日~平成28年9月30日)の販売が減少したことや、第2四半期連結会計期間以降の円高による売上の目減りがあったものの、当第3四半期連結累計期間の売上は、前第3四半期連結累計期間を上回りました。耐熱ガラスは在庫調整の一巡などにより第2四半期連結会計期間以降、販売が回復しました。建築用ガラスや医薬用管ガラスは販売が低調でした。
これらの結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は1,766億80百万円(前年同四半期連結累計期間比6.2%減)となりました。
損益面においては、第2四半期連結会計期間において、中国・厦門子会社の立ち上げに伴う一時的費用などが利益を押し下げましたが、当第3四半期連結会計期間に入り同社の生産量の増加や全社の費用削減などが寄与した結果、営業利益は141億33百万円(同10.1%減)となりました。一方、中国人民元に対し円高が進行したため、当社から中国子会社への融資に係る債権及び債務の評価替えによる為替差損が発生し、経常利益は42億51百万円(同42.1%減)となりました。また、一部のガラス溶融炉の修理予定がなくなったことに伴う特別修繕引当金の取り崩しによる戻入益があったものの、法人税率等の引き下げに伴う繰延税金資産の取り崩しなどにより、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億86百万円(同80.2%減)となりました。
なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。
(注)1.当連結会計年度より、製品別売上高の開示区分の名称を、「電子・情報用ガラス」から「電子・情報」に、「その他用ガラス」から「機能材料・その他」に変更しています。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 財政状態の分析
[総資産]
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して408億14百万円減少し、6,861億23百万円となりました。流動資産では、PPG社の欧州事業の譲受や海外子会社に係る設備代金、配当金などの支払いにより現金及び預金が減少しました。固定資産では、前述の設備取得があったものの、一部の通貨において円高に振れたことによる外貨建て資産の目減りや減価償却などにより有形固定資産が減少しました。また、株式市況の悪化により投資有価証券が減少しましたが、PPG社の欧州事業の取得代金を一時的に投資その他の資産のその他に組み入れていることから、投資その他の資産が増加しました。
[負債]
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して179億71百万円減少し、1,891億65百万円となりました。流動負債では、前述の海外子会社の設備に係る支払いなどによりその他に含まれる未払金が減少したほか、1年以内に返済予定の長期借入金を返済しました。また、償還期限が決算日後1年以内になった社債を固定負債から流動負債に振り替えました。固定負債では、前述の返済に伴い長期借入金の借り換えを行ったほか、一部のガラス溶融炉の修理予定がなくなったことに伴う特別修繕引当金の取り崩しがありました。
[純資産]
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して228億42百万円減少し、4,969億58百万円となりました。配当などにより利益剰余金が減少したほか、一部の通貨において円高に振れたことから為替換算調整勘定が減少しました。また、株式市況の悪化によりその他有価証券評価差額金が減少しました。
これらの結果、当第3四半期連結会計期間末における自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から1.1ポイント上昇し、71.7%となりました。
(3) 対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題に重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当社グループは、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、製造プロセスと製品開発の統合的な進化を目指し、その成果を当社の中長期の成長のための経営戦略に反映させていきます。
当社の研究開発活動は、「基礎的研究開発」と「事業部門開発」から成っています。
「基礎的研究開発」は、基盤技術開発と戦略的開発で構成されます。基盤技術開発は、主としてスタッフ機能部門(技術本部、製造技術統括本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、新材料・新技術、製品化技術、分析評価技術、製造プロセス技術の研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、戦略的開発については、スタッフ機能部門とライン部門が、事業戦略に基づいて中期的開発課題について密接に連携して取り組んでいます。そのための情報解析や企画立案については、事業戦略部が支援しています。一方、「事業部門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業領域の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。
当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費は46億43百万円となりました。これは、基礎的研究開発に14億46百万円、事業部門開発に31億96百万円を使用したものです。
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(5) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に計画の変更があったものは、次のとおりです。
会社名所在地セグメント
の名称
設備の内容着手年月完了予定年月
変更前変更後
電気硝子(厦門)有限公司中華人民共和国福建省ガラス事業ガラス製造設備平成26年10月平成28年12月平成30年5月