有価証券報告書-第88期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/29 13:12
【資料】
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【項目】
135項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、創業以来一貫して、人類共通の財産である地下資源の有効活用に取り組んでまいりました。地下資源のもつ秘められた可能性にますます大きな期待がかけられている現在、当社グループは、長年培ってまいりました「品質と技術」をさらに研鑽し、多様化するニーズにグループ各社が一丸となって、積極果敢に挑戦して、企業価値の一層の向上を図り、社会に貢献していくことを経営の基本としております。
(2) 目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、創業以来70年以上にわたり、地下資源の有効活用における知見と技術を蓄積してまいりました。2021年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画では、ベントナイト本来の性能を最大限に活かした高付加価値製品の開発、生産販売の省人化、デジタル化を通じて、社会課題の解決、顧客の価値創造を実現し、高収益事業構造を構築してまいります。
具体的な戦略としては、次のとおりであります。
① 脱炭素関連・福島復興関連・静脈産業への取組み
・復興関連事業/放射性廃棄物処理事業への注力
・インフラ整備事業(国土強靭化)の取込み推進
② 資源の高度利用化
・ガスバリア材料(化成品事業)
・食品添加物(ライフサイエンス分野)
③ 海外市場展開・海外鉱探査
・鋳物分野、化成品事業のアセアン市場展開推進
・高品質原鉱の安定調達に向けた海外鉱利用
④ 企業体質強化
・ESG経営及びDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進
・新鉱区開発、採鉱技術開発
(3) 当社グループの現状の認識について
2021年度から2022年度における当社グループを取り巻く環境は、急激な円安進行、原油価格、海上運賃の高止まり等、海外原鉱を多く取り扱う当社グループにとって大変な向い風であると認識しております。更に、世界的なインフレ進行による原材料、エネルギー価格の高騰、ロシアによるウクライナ侵攻による欧州経済の減速懸念等、不確実性の高い状況が続く事が予想されます。
このような見通しの下、当社グループは2021年度にスタートした中期経営計画について、見直しを行う事といたしました。当期は、中期経営計画達成に向けた諸施策を堅実に実行するともに、脱炭素社会を目指す取り組みとして、当社グループの二酸化炭素排出量削減を進めてまいります。さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)化に向けた人材教育や、研究開発投資、デジタル投資に、より一層注力することで企業体質の強化を図ってまいります。
(4) 経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の我が国経済は、新型コロナウイルスとの共生が求められる経済状況のもと、世界的なインフレ進行、ウクライナ情勢の悪化により、中長期的に原材料、エネルギー価格の高騰が予想されます。このような見通しのもと、当社グループは、より一層のコストダウンへの取組みを進めるとともに、各種コストの上昇に対しては、より付加価値の高い製品、サービスの提案を進める事で、収益確保を図ってまいります。一方で成長戦略の実現のため、研究開発・人材教育に注力するとともに、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けた体制の整備に努めてまいります。
各事業部門の経営環境及び事業上の課題については、下記の通りであります。
ベントナイト事業、鋳物部門につきましては、世界的な脱炭素化への潮流を受けて自動車の国内生産台数の減少が懸念されております。土木部門につきましては、一部大型公共工事において、自治体の財源不足、地域との調和不足による工期遅延等が発生しております。
アグリ事業部門につきましては、農業就業人口の減少による農薬市場の縮小等が懸念されております。
化成品事業部門につきましては、ファインケミカル分野において、持続的な新規用途開発が求められております。
(5) 対処方針、具体的な取組状況等
ベントナイト事業、鋳物部門につきましては、引き続きアセアンを中心とした海外市場への販売拡大を図ってまいります。KUNIMINE (THAILAND) CO.,LTD.を通じてアセアンへ進出する日系企業との連携を強め、海外ユーザーへ対応していくとともに、国内においても継続したシェア拡大に向けて、有益な製品と技術サービスの充実を図ることにより、顧客満足度の向上に努めてまいります。
土木部門につきましては、復興関連事業、地熱発電事業の取り込みを推進するとともに、放射性廃棄物処理事業に対して積極的な営業活動を展開してまいります。
アグリ事業部門につきましては、製剤技術力、特に造粒技術の高度化にさらに磨きをかけるとともに、ITを活用した省人・省力化を行うことにより、人手不足の解消や生産性向上に繋げ、顧客満足度を高めてまいります。
化成品事業部門につきましては、ファインケミカル分野において国内外、新市場へ一層の拡大を図るとともに、先端機能材料分野等での新用途開発に向けた研究を産学官連携で継続してまいります。
生産関連につきましては、継続した省人・省力化投資を推し進めることによって生産体制を強化し、人手不足の問題解消や生産性向上を実現することで、事業機会を確実に捉えるよう努めてまいります。またベントナイト資源確保の観点から、鉱量の確保や新鉱区開発のための積極投資も行ってまいります。輸入原鉱の急激な為替変動によるリスクへの対策としては、為替予約、外貨預金等を活用する事でヘッジを行ってまいります。