臨時報告書

【提出】
2022/07/08 11:31
【資料】
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提出理由

当社は、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第179条第1項に規定する特別支配株主であるクナウフ・インタナショナル・ゲーエムベーハー(以下「クナウフ・インタナショナル」といいます。)から、同法第179条の3第1項の規定による株式売渡請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)の通知を受け、2022年7月8日開催の当社取締役会において、本株式売渡請求を承認する旨の決議をいたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の2に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

特別支配株主から株式等売渡請求の通知がされた場合又は当該株式等売渡請求を承認するか否かが決定された場合

1.株式売渡請求の通知に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年7月8日
(2)当該特別支配株主の商号、本店の所在地及び代表者の氏名
商号クナウフ・インタナショナル・ゲーエムベーハー
(Knauf International GmbH)
本店の所在地ドイツ連邦共和国97346イプホーフェン、アム・バンホフ7
(Am Bahnhof 7, 97346 Iphofen, Federal Republic of Germany)
代表者の氏名Alexander Heinrich Knauf
Jörg Kampmeyer
Uwe Knotzer


(3)当該通知の内容
当社は、クナウフ・インタナショナルより、2022年7月8日付で、当社の特別支配株主として、当社の株主(但し、クナウフ・インタナショナル及び当社を除きます。)の全員(以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社の普通株式(以下「当社株式」といい、本売渡株主が所有する当社株式を、以下「本売渡株式」といいます。)の全部をクナウフ・インタナショナル売り渡すことの請求に係る通知を受けました。当該通知の内容は、以下のとおりです。
① 特別支配株主完全子法人に対して本株式売渡請求をしないこととするときは、その旨及び当該特別支配株主完全子法人の名称(会社法第179条の2第1項第1号)
該当事項はありません。
② 本株式売渡請求により本売渡株主に対して本売渡株式の対価として交付する金銭の額及びその割当てに関する事項(会社法第179条の2第1項第2号・第3号)
クナウフ・インタナショナルは、本売渡株主に対し、本売渡株式の対価(以下「本売渡対価」といいます。)として、その有する本売渡株式1株につき605円の金銭を割当交付します。
③ 新株予約権売渡請求に関する事項(会社法第179条の2第1項第4号)
該当事項はありません。
④ 特別支配株主が本売渡株式を取得する日(以下「取得日」といいます。)(会社法第179条の2第1項第5号)
2022年7月29日
⑤ 本売渡対価のための資金を確保する方法(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第1号)
クナウフ・インタナショナルは、本売渡対価の全てを、クナウフ・インタナショナルが保有する現預金により支払うことを予定しております。クナウフ・インタナショナルは、2022年4月26日に提出した公開買付届出書の添付書類として2022年4月25日時点のクナウフ・インタナショナルの預金残高証明書を提出しており、また、同日以降、クナウフ・インタナショナルにおいて、本売渡対価の支払に支障を及ぼす事象は発生しておらず、また今後発生する可能性も認識しておりません。
⑥ その他の本株式売渡請求に係る取引条件(会社法第179条の2第1項第6号、会社法施行規則第33条の5第1項第2号)
本売渡対価は、取得日後合理的な期間内に、取得日の前日における最終の当社の株主名簿に記載又は記録された本売渡株主の住所又は本売渡株主が当社に通知した場所において、当社による配当財産の交付の方法に準じて交付されるものとします。ただし、当該方法による交付ができなかった場合には、当社の本店所在地にて当社が指定する方法により(クナウフ・インタナショナルが別途指定したその他の場所及び方法があるときは、当該場所及び方法により)、本売渡株主に対する本売渡対価の支払を実施するものとします。
2.株式売渡請求を承認する旨の決定に関する事項
(1)当該通知がされた年月日
2022年7月8日
(2)当該決定がされた年月日
2022年7月8日
(3)当該決定の内容
クナウフ・インタナショナルからの通知のとおり、本株式売渡請求を承認いたします。
(4)当該決定の理由及び当該決定に至った過程
本株式売渡請求は、クナウフ・インタナショナルが2022年4月26日から当社株式に対して実施した公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)に関して当社が提出した意見表明報告書(以下「本意見表明報告書」といいます。)の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、クナウフ・インタナショナルが当社株式の全部(但し、クナウフ・インタナショナルが所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を一時的にクナウフ・インタナショナルの完全子会社にした上で、最終的にクナウフ・インタナショナル及び株式会社平田興産(以下「平田興産」といいます。)の合弁会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として行われるものであり、本売渡対価は、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同一の価格に設定されております。
当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、以下のとおり判断し、2022年4月25日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対しては、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。なお、当該取締役会決議は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
(a) 検討体制の構築の経緯
当社は、2022年2月2日にクナウフ・インタナショナルより公開買付けの手法により本取引を行うことを提案されるとともにクナウフ・インタナショナル及び当社の間で、本取引の実施の有無及び条件について協議を開始したい旨の初期的な打診を受け、同日、クナウフ・インタナショナルと協議を進めることで合意いたしました。その後、本公開買付価格及びその他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、クナウフ・インタナショナル及びその関係会社(以下「クナウフ・グループ」といいます。)並びに当社及び子会社11社(連結子会社8社、非連結子会社3社)並びに関連会社2社で構成される当社のグループ(以下、総称して「当社グループ」といいます。)から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社三菱UFJ銀行(以下「三菱UFJ銀行」といいます。)を、クナウフ・グループ及び当社グループから独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を、それぞれ2022年2月下旬に選任いたしました。そして、当社は、クナウフ・インタナショナル、株式会社晴山(以下「晴山」といいます。)、平田興産、平田晴久氏及び平田一久氏が当社の発行済み株式の過半を有し、本取引が構造的な利益相反及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題に対応し、本取引の公正性を担保するため、TMI総合法律事務所の助言を踏まえ、クナウフ・グループ及び当社グループから独立した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置し、本取引に関する提案を検討するための体制を整備いたしました。その上で、当社は、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性、(ⅱ)本取引に係る交渉過程の手続の公正性、(ⅲ)本取引により当社の少数株主に交付される対価の妥当性、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)その他の事項を前提に、当社の取締役会が本取引を実施(本公開買付けに係る当社の意見表明を含みます。)することが当社の少数株主にとって不利益であるか否かについて諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会に対し、ア.本取引に係る調査を行うことができる権限、イ.(ア)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問をクナウフ・インタナショナルに伝達すること、及び(イ)本特別委員会自らクナウフ・インタナショナルと協議・交渉する機会の設定を当社に対して要望する権限並びにウ.当社の費用にて、弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを独自に選任することができる権限等を与えることを決議いたしました。さらに、本特別委員会への諮問にあたり、当社取締役会は、当社は、当社取締役会において本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引について妥当でないと判断した場合には、本取引を行わないことを決議いたしました。なお、本特別委員会は、弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを独自に選任しておりません。
当該取締役会における決議の方法については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。
また、当社は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会において、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である三菱UFJ銀行並びに当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所について、その独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、その選任の承認を受けております。
さらに、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、クナウフ・インタナショナルから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行うための体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)を当社の社内に構築するとともに、かかる検討体制に独立性及び公正性の観点から問題がないことについて本特別委員会の承認を受けております。
(b) 判断内容
当社は、TMI総合法律事務所から受けた本取引における手続の公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言及び三菱UFJ銀行から受けた当社株式の価値算定結果に関する報告、クナウフ・インタナショナルとの交渉方針に関する助言その他の財務的見地からの助言を踏まえつつ、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議及び検討を行ってまいりました。
なお、当社における協議及び検討並びにクナウフ・インタナショナルとの交渉過程において、本特別委員会は、クナウフ・インタナショナルと直接協議・交渉は行っていないものの、適宜、当社や当社のアドバイザーから報告を受け、確認及び意見の申述等を行いました。当社のファイナンシャル・アドバイザーは、クナウフ・インタナショナルとの交渉にあたっては、事前に当社内で検討し、本特別委員会の意見を踏まえた交渉方針に従って対応を行っており、また、クナウフ・インタナショナルから本公開買付価格についての提案を受領した際には、その都度、直ちに本特別委員会に対して報告を行い、その助言を踏まえて当社内にて検討を行い、対応を行いました。
また、本特別委員会は、クナウフ・インタナショナルとの間で、本公開買付価格を含む本取引の条件について継続的に協議・交渉を重ねました。具体的には、当社は、2022年4月1日に、クナウフ・インタナショナルから本公開買付価格を1株あたり540円とする提案を受けた後、2022年4月7日に、クナウフ・インタナショナルに対し、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー分析(以下「DCF分析」といいます。)その他の価値分析手法を用いて算定し、当社株式の市場価格の動向、当社ビジネスの将来見通し及び過去の類似する取引において付与されたプレミアムの実例等を総合的に勘案の上、本公開買付価格を1株当たり810円とする旨の提案を行いました。その後、当社は、同年4月12日に、クナウフ・インタナショナルから本公開買付価格を1株当たり560円とする旨の再提案を受けました。これに対し、当社は、2022年4月13日に、クナウフ・インタナショナルに対し、本公開買付価格を1株当たり710円とする旨の提案を行いました。その後、当社は、同年4月15日に、クナウフ・インタナショナルから本公開買付価格を1株当たり600円とする旨の再提案を受けました。2022年4月18日、当社は、クナウフ・インタナショナルに対し、DCF分析その他の価値分析手法を用いて算定し、当社株式の市場価格の動向、当社ビジネスの将来見通し及び過去の類似する取引において付与されたプレミアムの実例等を総合的に勘案の上、本公開買付価格を1株当たり680円とする旨の提案を行いました。当社は、2022年4月19日、クナウフ・インタナショナルから2022年4月15日の再提案は最終提案でありその内容を変更するつもりがない旨の意向を伝えられました。2022年4月21日、当社はクナウフ・インタナショナルに対し、本公開買付価格を1株あたり600円の水準から引き上げることの打診を行いました。その後、当社は、2022年4月22日に、クナウフ・インタナショナルから本公開買付価格を1株あたり605円とする旨の提案を受けました。このように、当社は、クナウフ・インタナショナルとの間で、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2022年4月22日まで継続的に本公開買付価格の交渉を行ってまいりました。
そして、当社は、2022年4月25日、本特別委員会から、当社取締役会が本取引を実施(本公開買付けに係る当社の意見表明を含みます。)することは、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考える旨の答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
その結果、以下のとおり、当社としても、本取引は当社の企業価値の向上に資するとの結論に至りました。
当社が属する石膏ボード業界の業況は、特に住宅の着工数の増減に大きく影響を受ける傾向があり、日本国内における新設住宅着工戸数は、人口減少、平均築年数の伸長、名目GDPの成長減速等により中長期的に大幅に減少することが予想され(注1)、それに伴い、現在の石膏ボードの用途を前提にすると、石膏ボード市場も縮小していくことが予想されています。そのような事業環境の中、当社の石膏ボード事業を安定して収益を稼ぐことが可能なベース事業として軌道に乗せ、中長期的に維持発展させていくためには、吉野石膏株式会社及び当社による二社寡占状態にある国内石膏ボード市場におけるシェアを一層拡大するのみならず、石膏ボードの新たなニーズの発掘や主力の建材分野以外の、断熱材、天井金具のフレーム材等隣接市場の開拓が必要不可欠です。そのためには、①石膏原料の調達方法の多様化やコストダウンによる価格競争力の強化、製品配送における機動力や配送能力と技術サポート面における顧客向けサービスの充実や製品の研究開発の一層の向上を可能とする②人材の獲得・教育や評価体制の充実、③会社横断的な業務プロセス効率化を実現するためのシステム構築、④ノウハウ・特許等の知的財産権の強化、及び⑤それらを実現するための安定した財務基盤の確立が不可欠です。新型コロナウィルス感染症拡大に伴う景気変動、世界的なエネルギー価格の上昇、木材不足に起因するウッドショック等により、住宅市場の先行きの不透明感が一層高まっている昨今の状況下では、このような施策を実施する必要性はさらに強まっています。
(注1)株式会社野村総合研究所が2021年6月8日に公表した資料(https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/news/newsrelease/cc/2021/210608_1.pdf)によると、日本国内の新設住宅着工戸数は2020年の81万戸から、2040年度には約46万戸まで減少することが予想されています。
このような問題意識のもと、当社は、2019年12月に、2006年4月より包括的な資本提携及び業務提携を行ってきたクナウフ・グループのクナウフ・インタナショナルとの間で新たに資本業務提携契約を締結し、クナウフ・グループとの間において資本関係及び業務提携関係の更なる強化を図りました。具体的には、当社は、クナウフ・グループの支援のもと、マーケティング力の強化や業務プロセスの効率化等に取り組んで参りました。しかしながら、クナウフ・グループの直接的な株式所有比率が50%未満で、クナウフ・インタナショナルが「その他の関係会社」の地位にとどまる現状の資本関係のもとでは、クナウフ・グループと当社の利害関係が完全には一致しないこと、また、クナウフ・グループと当社の不特定多数の少数株主との間の利益相反の問題に配慮が必要となることから、クナウフ・グループの技術力や運営管理方法、並びに特許等に関する情報の共有に制限が課され得るなど、クナウフ・グループの経営資源の相互利活用及び人材交流等に一定の制約が存在しております。これらの問題を緩和させるにはクナウフ・グループの当社に対する出資比率を上昇させて、クナウフ・グループの「子会社」となる選択肢も考えられます。しかしその場合には、コーポレートガバナンス意識の高まりとともに上場子会社と支配株主との間の取引についての規制が年々強化されていく中で、当社の少数株主との間の利益相反問題への対処が課題として生じてまいります。そのため、支配株主となるクナウフ・グループとの取引に際してその有用性及び取引としての客観的な公正性について慎重に検討する必要が迫られるなど、迅速な意思決定や機動的な施策の実行に制約が生じ、クナウフ・グループとの間の提携により期待されるシナジーを最大限発揮することが困難となる可能性が高まるものと考えます。
こうした昨今の諸情勢にも鑑み、当社は、当社株式を非公開化して当社とクナウフ・インタナショナルが属するクナウフ・グループが石膏ボード事業を完全に一体運営できるようにし、①価格競争力の強化、②人材の獲得・教育や評価体制の充実、③会社横断的な業務プロセス改革、④ノウハウ・特許等の知的財産権の強化、及び⑤安定した財務基盤の確立を推し進め、国内石膏ボード業界におけるシェアの一層の拡大や、石膏ボードの新たなニーズ発掘とともに隣接市場の開拓を図ることによる新たな成長機会を探ることが、中長期的な観点から当社の企業価値最大化を目指していくうえで不可欠であるとの判断に至りました。
また、近年の資本市場に対する規制の強化等により、社外役員の招致や内部統制体制の充実・強化のための管理人員の増員等に伴うコストをはじめ、上場を維持するために必要なコストは増加しており、当社の大きな負担になりつつあります。加えて東京証券取引所の市場区分見直しによりスタンダード市場を選択しましたが、上場維持基準の一つである流通株式比率を満たすことは現在の当社株式の売買出来高(2022年3月31日時点における売買出来高:3,200株)からすると達成は容易ではなく、上場を維持するためには流通株式比率の対策(法人株主に対する株式売却の要請、投資家向け情報発信の充実等)に一定のコストを要することが予想されるところであり、当社株式を非公開化し、これら上場を維持するためのコストを上記施策の実行に振り向けることで、当社の中長期的な成長をより迅速に実現することが可能になると考えております。
なお、当社株式の非公開化により、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを喪失することになります。しかしながら、当社の現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、当面の間、エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、当社のブランド力や社会的な信用は事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きく、人材採用面においても必ずしも上場企業であることが人材確保の源泉となっている訳でもないことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的であると考えております。
以上を踏まえ、当社としても、当社の株主の皆様に発生する可能性がある悪影響を回避しつつ、中長期的な視点から当社の企業価値の更なる向上を図るためには、本取引により当社株式を非公開化することが有効な手段であると考えるに至りました。
また、本公開買付価格に関し、当社は、以下の点等から、本公開買付価格である1株当たり605円は当社の少数株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の少数株主の皆様に対して適切なプレミアムを付した価格での合理的な当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a) 当該価格が、当社において、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、クナウフ・インタナショナルとの間で十分な交渉を重ねた結果合意された価格であること。
(b) 当該価格が、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 当社における独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載の三菱UFJ銀行から2022年4月25日付で提出を受けた当社株式の価値算定結果に関する株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)における三菱UFJ銀行による当社株式の価値算定結果のうち、市場株価分析による算定結果の範囲を上回っており、また、DCF分析及び類似会社比較分析による算定結果の範囲内であること。
(c) 当該価格が、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2022年4月22日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値519円に対して16.57%(小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、プレミアム率の計算において同じです。)、2022年4月22日から直近1ヶ月間の終値単純平均値481円(小数点以下を四捨五入しております。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して25.78%、同直近3ヶ月間の終値単純平均値429円に対して41.03%、同直近6ヶ月間の終値単純平均値414円に対して46.14%のプレミアムが加算されたものであり、経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表されたマネジメント・バイアウト(MBO)案件のうち、2022年2月28日までに公開買付けが成立した事例28件におけるプレミアム水準(公表日の前営業日の終値に対して平均38.3%、直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対して平均38.9%、直近3ヶ月の終値の単純平均値に対して平均44.4%及び直近6ヶ月間の終値の単純平均値に対して平均45.3%)と比較しても、公表日の前営業日の終値及び直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムは過去事例の平均を下回っており、また公表日の直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムも過去事例の平均と同等の水準ながらわずかに平均を下回っているものの、本公開買付価格におけるプレミアムを下回っている事例も複数(上記28件のうち、公表日の前営業日の終値に対するプレミアムが本公開買付価格における公表日の前営業日の終値に対するプレミアムを下回っている事例が3件、直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムが本公開買付価格における直近1ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムを下回っている事例が6件、直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムが本公開買付価格における直近3ヶ月間の終値の単純平均値に対するプレミアムを下回っている事例が14件)存在すること、直近6ヶ月間の終値の最高値528円(2022年4月20日の終値)を超えていること及び直近での当社株式に係る市場株価の上昇傾向等を総合的に考慮すると、プレミアムは合理的な水準の範囲内にあるものと評価できること。
(d) 当該価格は、本意見表明報告書の「3 当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、妥当であると認められると判断されていること。
以上から、当社は、本取引が当社の企業価値の向上に資するものであるとともに、本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件は妥当なものであると判断し、2022年4月25日開催の当社取締役会において、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し、本公開買付けへの応募を推奨することを決議いたしました。
その後、当社は、2022年6月11日、クナウフ・インタナショナルより、本公開買付けの結果について、当社株式11,164,167株の応募があり、買付予定数の下限(4,987,001株)以上となり、本公開買付けが成立したことから、応募株式の全てを取得することとなった旨の報告を受けました。その結果、2022年6月17日(本公開買付けの決済開始日)付で、クナウフ・インタナショナルの所有する当社株式の所有割合(注)は93.16%となり、クナウフ・インタナショナルは、当社の特別支配株主に該当することとなりました。
(注)「所有割合」とは、当社が2022年5月13日に公表した「2022年3月期決算短信[日本基準](連結)」に記載された2022年3月31日現在の当社の発行済株式総数(23,318,397株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(0株)を控除した株式数(23,318,397株)に占める割合をいいます(小数点以下第三位を四捨五入しております。)。
このような経緯を経て、当社は、クナウフ・インタナショナルより、本日付で、本意見表明報告書の「3.該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本取引の一環として、本株式売渡請求をする旨の通知を受けました。そして、当社は、かかる通知を受け、本株式売渡請求を承認するか否かについて、慎重に協議及び検討を行いました。
その結果、当社は、本日開催の当社取締役会において、(ⅰ)本株式売渡請求は本取引の一環として行われるものでありますが、当社は、当社が一時的にクナウフ・インタナショナルの完全子会社となった上で、最終的にクナウフ・インタナショナル及び晴山のみを株主とする、クナウフ・インタナショナル及び平田興産の合弁会社となることが当社の企業価値向上から有益であると判断しており、当該判断を変更すべき特段の事情が見受けられないこと、(ⅱ)本売渡対価は、本公開買付価格と同額で行われますが、本公開買付価格の決定に際しては、本特別委員会から本答申書を取得する等、本取引の公正性を担保するための措置が講じられていること等に鑑みれば、本売渡株主にとって合理的な価格であり、本売渡株主の利益を害することのないよう十分留意されていると考えられること、(ⅲ)本公開買付けに係る公開買付届出書の添付書類として提出された2022年4月25日時点のクナウフ・インタナショナルの預金残高に係る残高証明書を確認した結果、クナウフ・インタナショナルが本売渡対価の支払のための資金を確保できると合理的に認められること、及び、クナウフ・インタナショナルによれば、2022年4月25日以降、本売渡対価の支払に影響を及ぼす事象は発生しておらず、今後発生する可能性も現在認識していないとのこと等から、クナウフ・インタナショナルによる本売渡対価の交付の見込みはあると考えられること、(ⅳ)本売渡対価の交付までの期間及び支払方法について不合理な点は認められず、本株式売渡請求に係る取引条件は相当であると考えられること、(ⅴ)本公開買付けの開始日以降本日に至るまで当社の企業価値に重大な変更は生じていないこと、(ⅵ)本特別委員会が、本株式売渡請求についても検討をした上で、本取引は少数株主に不利益ではない旨の本答申書を提出していること等を踏まえ、本売渡対価を含む本株式売渡請求の条件等は妥当であると判断し、クナウフ・インタナショナルからの通知のとおり、本株式売渡請求を承認することを決議いたしました。
以上