有価証券報告書-第90期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/30 15:26
【資料】
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【項目】
158項目

研究開発活動

当連結会計年度における研究開発活動は、経営基本方針である「エンジニアリングアプローチによる製品事業の付加価値向上」、「受託事業からエンジニアリングサービス事業への転換」、「早い変化と多様性に対応できる経営基盤の整備」に従って進めてまいりました。
本社では、主に各種研磨フィルムと研磨加工技術・研磨プロセス技術に関する研究開発活動を顧客密着のもとに進め、いち早い需要の察知と対応により製品の付加価値向上に努めてまいりました。
連結子会社のMIPOX Malaysia Sdn. Bhd.では、主にハードディスク関連の精密洗浄剤・液体研磨剤の研究開発活動を現地顧客と密にコンタクトを取り、進めてまいりました。
連結子会社の日本研紙株式会社(以下NK)においては、売上実績につながるテーマに集中して活動しました。PCB(電子基板)向け不織布ホイールや砥石ホイールは高精細化するPCBの要望に応えることでその実績が拡大しました。また金属加工分野でも採用され、その用途範囲が広がりました。研磨紙では市場要求の応えた新製品「耐Q(taiQ)」を発売し販路拡大につながりました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの研究開発費は55百万円となりました。
主な研究開発活動は次のとおりであります。
(製品事業)
① ハードディスク関連
高記録密度化が進むハードディスクにおいて、より安定した、より高精度な精密研磨の提供を目指し、クリーン環境の「G-Line」にて、サブミクロンオーダーで表面形状をコントロールした高精細な研磨フィルムの製品化を進めてまいりました。
② 光ファイバー関連
様々な形状の光ファイバーコネクタを研磨する製品の開発を進めてまいりました。初期工程の粗研磨向け研磨フィルムから、最終工程の精密仕上げ向け研磨スラリー(液体)まで、幅広い研磨製品の開発に取り組んでまいりました。
③ ウェハ関連
難削ウェハを長時間研磨しても高い研磨力を維持可能な新しいタイプの研磨フィルムの開発を進めてまいりました。微小サイズ粒子をひとつの大きな粒子にまとめる「複合粒子」の技術をこの用途に適用した研磨フィルム製品の開発に取り組んでまいりました。
④ PCB向け研磨ホイールの開発
PCB研磨工程で使われる各種研磨材の開発に取り組んでまいりました。高精細化するPCB市場のニーズに合わせた研磨材を開発、提案することで高評価につながりました。このうち砥石タイプの研磨ホイールは当社製品の耐久性が評価され金属加工分野への実績につながりその用途分野が広がりました。
⑤ 柔軟研磨紙の開発
顧客ニーズの高い柔軟性のある研磨紙「耐Q(taiQ)」を開発しました。柔軟性を実現した接着剤処方により誰にも使いやすい研磨紙として評価を得ました。ブランディングを開発手法に取り入れることで販路拡大に貢献しました。
⑥ 電着ダイヤモンド砥粒研磨フィルムの開発
砥粒電着に関する基礎実験を基に電着ダイヤモンド砥粒研磨フィルムを開発し実績につなげることができました。製品粒度の拡大にむけて試作や検討を行いました。
この結果、当連結会計年度における製品事業の研究開発費は41百万円となりました。
(受託事業)
受託製造においては、ユーザーニーズに対応するための設備改良やプロセス設計に取り組んでまいりました。受託コーティング・スリットサービスについては、搬送や加工精度向上のためのプロセス改善に取り組み、91期以降の利益の源泉となる次世代ディスプレイ用部材の試作受注につなげてまいりました。
受託研磨用途については、従来からある精密研磨加工技術をより付加価値の高いものにするため、常温接合装置を導入し受託事業での運用を開始しました。次世代パワー半導体用途や、高周波デバイス、高出力・高機能LEDを中心に、今後ニーズが高まるとされているEngineered substrateの市場に向け、弊社の強みである精密研磨加工技術と常温接合技術を組み合わせ、取り組んでまいりました。
観察技術(結晶転位高感度可視化装置 XS-1)は、公的研究機関や大学との共同研究開発契約を締結し、2021年の製品リリースに向け順調に進んでおります。国内外から観察テスト依頼を受けており、良好な反応を得られております。
この結果、当連結会計年度における受託事業の研究開発費は14百万円となりました。