臨時報告書

【提出】
2018/05/17 15:29
【資料】
PDFをみる

提出理由

当社は、平成30年5月16日開催の取締役会において、平成31年1月1日を効力発生日として、当社を株式交換完全親会社とし、日新製鋼株式会社(以下、「日新製鋼」といいます。)を株式交換完全子会社とする株式交換(以下、「本株式交換」といいます。)を行い、日新製鋼を当社の完全子会社とすることを決定し、本株式交換に関する株式交換契約(以下、「本株式交換契約」といいます。)を両社間で締結することを決議致しましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第6号の2の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。

株式交換の決定

(1)本株式交換の相手会社に関する事項
① 商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
(平成30年3月31日現在)
商号日新製鋼株式会社
本店の所在地東京都千代田区丸の内三丁目4番1号
代表者の氏名代表取締役社長 栁川 欽也
資本金の額30,000百万円
純資産の額(連結/単体)247,860百万円/157,320百万円
総資産の額(連結/単体)716,693百万円/565,696百万円
事業内容製鉄事業(鉄鋼製品の製造・販売)

② 最近3年間に終了した各事業年度の売上高、営業利益、経常利益及び当期純利益
(連結)
事業年度平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期
売上高(百万円)547,026525,563614,196
営業利益(百万円)10,0877,83417,801
経常利益(百万円)6,2065,99818,873
当期純利益(百万円)△6,6131,67213,014

(単体)
事業年度平成28年3月期平成29年3月期平成30年3月期
売上高(百万円)418,393397,764463,448
営業利益(百万円)5,3731,7067,584
経常利益(百万円)17,4412,7508,269
当期純利益(百万円)5,8863,3021,629

 ③ 大株主の氏名又は名称及び発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合
(平成30年3月31日現在)
大株主の氏名又は名称発行済株式の総数に占める大株主の持株数の割合(%)
新日鐵住金㈱51.0
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口)4.3
日本マスタートラスト信託銀行㈱(信託口)4.3
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口9)2.3
ACERINOX, S.A.1.0
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口5)0.9
住友金属鉱山㈱0.9
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口4)0.8
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口2)0.8
日本トラスティ・サービス信託銀行㈱(信託口1)0.7

④ 提出会社との間の資本関係、人的関係及び取引関係
資本関係平成30年3月31日時点で、当社は日新製鋼の発行済株式の51.0%に相当する56,020,563株を所有しております。
人的関係日新製鋼の取締役に当社の出身者が2名就任しております。また、日新製鋼の監査役に当社の従業員が1名就任しております。
取引関係当社は、日新製鋼に対して原板(鋼片・熱延鋼板・冷延鋼板)を供給しており、日新製鋼から製品(酸洗鋼板・電気亜鉛めっき鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、アルミめっき鋼板)を購入しております。

(2)本株式交換の目的
当社は、平成24年10月の新日本製鐵株式会社(昭和25年設立)と住友金属工業株式会社(昭和24年設立)との経営統合により発足いたしました。発足以降、「総合力世界No.1の鉄鋼メーカー」を目指し、経営統合による旧両社の技術融合や効率化によるコストダウン、設備集約、海外下工程の投資、グループ会社統合再編等を推進することにより、統合効果を着実に発揮してまいりました。
一方、日新製鋼は、平成26年4月に、日新製鋼ホールディングス株式会社(平成24年設立)、旧日新製鋼株式会社(昭和34年設立)及び日本金属工業株式会社(昭和7年設立)の合併により発足いたしました。表面処理鋼板、特殊鋼、ステンレス鋼などに特化しており、その特徴ある製品群ときめ細かな開発営業により、月星印のブランド名とともに、マーケットで高い評価を得ております。また、日新製鋼ホールディングス株式会社の設立以降、コストダウンによる事業競争力強化、コア製品戦略による収益の多層化、お客様中心主義の深化による新たな市場創造に取り組み、一定の成果を挙げてまいりました。
平成29年3月、当社と日新製鋼は、より良い製品・技術・サービスの国内外需要家への提供、グローバル競争を勝ち抜くコスト競争力の構築、資金・資産の効率的活用による強固な財務体質の構築など、企業価値最大化に資する諸施策の推進、相乗効果の創出を目的に、当社による日新製鋼の子会社化(以下、「本子会社化」といいます。)を実現いたしました。
本子会社化の実現以降、当社と日新製鋼は、両社のシナジー発揮に向け、当社の強みである世界トップレベルの技術先進性・商品対応力、鉄源を中心としたコスト競争力及びグローバル対応力に加え、日新製鋼の強みである需要家ニーズに則したきめ細かな開発営業等による顧客・市場対応力を活かしつつ、両社の経営資源を相互活用し、営業連携や最適生産体制の追求等により、着実に成果を挙げてまいりました。
製鉄事業を取り巻く環境については、世界鉄鋼需要は長期的に着実な拡大が見込まれる一方、国内人口減少、保護主義化の動き、新興国の自国産化等の鉄鋼需給構造の変化に加え、ITの急速な進歩、自動車メーカー各社の車体軽量化・高強度化ニーズの高まり、EV等新エネルギー車や自動運転の普及等、社会・産業構造の変化が生じており、更には、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが企業に期待されてきていること等、長期的・構造的変化の転換点にあるものと認識しております。
このような中、当社と日新製鋼は、今後の普通鋼、ステンレス事業を取り巻く事業環境への対応等を踏まえると、新日鐵住金グループにおける経営資源の相互活用を加速し、連携深化をさらに推進して、両社の強みを高めつつシナジーの最大化を早期に実現する必要があるとの判断に至り、今般、本完全子会社化を行うことといたしました。これにより、最適生産体制の追求、グループ会社の事業再編等、会社間を跨る施策について、両社の株主間でのコンフリクトの懸念を生じさせることなく、よりスピーディーに事業環境変化に合わせた機動的かつ柔軟な対応が可能となるものと考えております。日新製鋼においても、当社の完全子会社になることで、新日鐵住金グループの経営資源を最大限活用できることから、自らの企業価値の向上に資すると判断しており、完全子会社化後も、新日鐵住金グループにおけるさらなる連携深化を通じて、自らの強みである顧客・市場対応力をより一層発揮し、お客様中心主義に基づき構築してきたブランド力をさらに強化することができるものと確信しております。
(3)本株式交換の方法、株式交換に係る割当ての内容その他の株式交換契約の内容
① 本株式交換の方法
当社を株式交換完全親会社、日新製鋼を株式交換完全子会社とする株式交換になります。本株式交換は、当社については、会社法第796条第2項に基づき、株主総会の承認を必要としない簡易株式交換の手続きにより、また日新製鋼については、平成30年12月頃に開催予定の日新製鋼の臨時株主総会において本株式交換契約の承認を受けた上で、平成31年1月1日を効力発生日として行われる予定です。
② 本株式交換に係る割当ての内容
当社
(株式交換完全親会社)
日新製鋼
(株式交換完全子会社)
本株式交換に係る割当比率10.71

(注1)株式の割当比率
日新製鋼の普通株式1株に対して、当社の普通株式0.71株を割当て交付いたします。ただし、当社が保有する日新製鋼の普通株式56,020,563株(平成30年5月16日現在)については、本株式交換による株式の割当ては行いません。
(注2)本株式交換により交付する当社の株式数
当社は、本株式交換により、当社の普通株式38,161,032株を割当て交付いたしますが、交付する普通株式は保有する自己株式(平成30年3月31日現在66,436,595株)を充当する予定であり、新株式の発行は行わない予定です。
なお、日新製鋼は、本株式交換の効力発生日の前日までに開催する取締役会の決議により、本株式交換により当社が日新製鋼の発行済株式の全て(ただし、当社が保有する日新製鋼の普通株式を除きます。)を取得する時点の直前時(以下、「基準時」といいます。)において日新製鋼が保有する全ての自己株式(本株式交換に関して行使される会社法第785条第1項に定める反対株主の株式買取請求に係る株式の買取りによって取得する自己株式を含みます。)を基準時をもって消却する予定です。そのため、本株式交換により割当て交付する予定の上記普通株式数(38,161,032株)については、日新製鋼が保有する自己株式(平成30年3月31日現在75,427株)に対し当社の普通株式を割当て交付することを前提としておりません。また、同普通株式数(38,161,032株)は、日新製鋼による自己株式の取得・消却等の理由により今後修正される可能性があります。
(注3)単元未満株式の取扱い
本株式交換に伴い、当社の単元未満株式(100株未満の株式)を保有することとなる日新製鋼の株主が新たに生じることが見込まれます。特に、保有されている日新製鋼の株式が141株未満である日新製鋼の株主の皆様は、当社の単元未満株式のみを保有することとなる見込みです。金融商品取引所市場において単元未満株式を売却することはできませんが、当社の単元未満株式を保有することになる株主の皆様におかれましては、本株式交換の効力発生日以降、当社の株式に関する以下の制度をご利用いただくことができます。
①単元未満株式の買取請求制度(100株未満の株式の売却)
会社法第192条等の定めに基づき、当社の単元未満株式を保有する株主の皆様が、当社に対してその保有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる制度です。
②単元未満株式の売渡請求制度(100株への買増し)
会社法第194条及び当社の定款等の定めに基づき、当社の単元未満株式を保有する株主の皆様が、当社に対しその保有する単元未満株式の数と併せて1単元(100株)となる普通株式を売り渡すことを請求し、これを当社から買い増すことができる制度です。
(注4)1株に満たない端数の取扱い
本株式交換の結果、当社の普通株式1株に満たない端数が生じた場合には、会社法第234条その他の関連法令の定めに従い、当社が一括して売却し、その売却代金を端数が生じた日新製鋼の株主の皆様に対して、端数の割合に応じて交付いたします。
③ 本株式交換に伴う新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い
日新製鋼は、新株予約権及び新株予約権付社債をいずれも発行しておりません。
④ 本株式交換に係る株式交換契約の内容
本株式交換に係る株式交換契約の内容は、以下に記載のとおりです。
株式交換契約書
新日鐵住金株式会社(以下「甲」という。)及び日新製鋼株式会社(以下「乙」という。)は、2018年5月16日(以下「本契約締結日」という。)付で、以下のとおり株式交換契約(以下「本契約」という。)を締結する。
第1条(株式交換)
甲及び乙は、本契約の定めに従い、甲を株式交換完全親会社、乙を株式交換完全子会社として株式交換(以下「本株式交換」という。)を行う。
第2条(商号及び住所)
甲及び乙の商号及び住所は、それぞれ以下のとおりである。
(1) 甲(株式交換完全親会社)
商 号:新日鐵住金株式会社
住 所:東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
(2)  乙(株式交換完全子会社)
商 号:日新製鋼株式会社
住 所:東京都千代田区丸の内三丁目4番1号
第3条(株式交換に際して交付する株式の数及びその割当てに関する事項)
1 甲は、本株式交換に際して、本株式交換により甲が乙の発行済株式の全部を取得する時点の直前時(以下「基準時」という。)における乙の株式(甲の有するものを除く。)の合計に0.71を乗じて得た数の甲の株式を、基準時における乙の株主(甲を除く。)に対して交付する。
2 甲は、本株式交換に際して、基準時における乙の各株主(甲を除く。)に対して、その有する乙の株式1株につき甲の株式0.71株の割合をもって割り当てる。
3 前二項の規定に基づき、甲が乙の株主に対して割り当てる甲の普通株式の数に1株に満たない端数が生じる場合は、甲は会社法第234条その他関連法令の規定に従い処理する。
第4条(甲の資本金及び準備金の額に関する事項)
本株式交換により増加する甲の資本金、資本準備金及び利益準備金の額は、次のとおりとする。ただし、必要がある場合には、甲及び乙が協議し合意の上、これを変更することができる。
(1)資 本 金:金0円
(2)資本準備金:法令の定めに従い増加することが必要とされる最低額
(3)利益準備金:金0円
第5条(効力発生日)
効力発生日(本株式交換がその効力を生ずる日をいう。以下同じ。)は、2019年1月1日とする。ただし、必要がある場合には、甲及び乙が協議し合意の上、効力発生日を変更することができる。
第6条(本契約の変更及び解除)
本契約締結日以降効力発生日に至るまでの間に、甲又は乙の財産状態又は経営成績に重大な変動が発生し又は判明した場合、本契約に従った本株式交換の実行に重大な支障となりうる事象が発生し又は判明した場合その他本株式交換の目的の達成が困難となった場合には、甲及び乙は、誠実に協議し合意の上、本契約を変更し又は解除することができる。
第7条(協議事項)
甲及び乙は、本契約に定めのない事項又は解釈上疑義が生じた事項は、本契約の趣旨に従い、誠実に協議することにより、これを解決する。
本契約成立の証として、甲及び乙は、正本2通を作成し、それぞれ署名又は記名押印の上、各1通を保有する。
2018年5月16日
甲:東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
新日鐵住金株式会社
代表取締役社長 進藤 孝生
乙:東京都千代田区丸の内三丁目4番1号
日新製鋼株式会社
代表取締役社長 栁川 欽也

(4)本株式交換に係る割当ての内容の算定根拠
① 割当ての内容の根拠及び理由
当社及び日新製鋼は、本株式交換に用いられる上記(3)②「本株式交換に係る割当ての内容」に記載の株式の割当比率(以下、「本株式交換比率」といいます。)の算定に当たって公正性・妥当性を確保するため、それぞれ個別に、両社から独立した第三者算定機関に株式交換比率の算定を依頼することとし、当社は野村證券株式会社(以下、「野村證券」といいます。)を、日新製鋼は三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社(以下、「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」といいます。)を、それぞれの第三者算定機関に選定いたしました。
当社及び日新製鋼は、それぞれの第三者算定機関から提出を受けた株式交換比率の算定結果を参考に、両社それぞれが相手方に対して実施したデュー・ディリジェンスの結果等を踏まえて慎重に検討し、当社及び日新製鋼の財務状況、資産状況、将来の見通し等の要因を総合的に勘案した上で、両社間で交渉・協議を重ねてまいりました。その結果、当社及び日新製鋼は、本株式交換比率は妥当であり、それぞれの株主の利益を損ねるものではないとの判断に至ったため、本株式交換比率により本株式交換を行うことにつき、本日開催された当社及び日新製鋼の取締役会において、両社間で本株式交換契約を締結することをそれぞれ決議いたしました。
なお、本株式交換比率は、算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じた場合には、両社間で協議の上変更することがあります。
② 算定に関する事項
ア 算定機関の名称及び上場会社との関係
当社の第三者算定機関である野村證券及び日新製鋼の第三者算定機関である三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、いずれも当社及び日新製鋼から独立した算定機関であり、当社及び日新製鋼の関連当事者には該当せず、本株式交換に関して記載すべき重要な利害関係を有しません。
イ 算定の概要
野村證券は、当社については、当社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法を採用して算定を行いました。
日新製鋼については、同社が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから、市場株価平均法を、日新製鋼に比較可能な上場類似会社が複数存在し、類似会社比較法による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下、「DCF法」といいます。)を採用して算定を行いました。
各評価方法による当社株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の日新製鋼株式の評価レンジは、以下のとおりとなります。
株式交換比率の算定結果
市場株価平均法0.57~0.60
類似会社比較法0.50~0.63
DCF法0.35~0.87

なお、市場株価平均法においては、2018年5月15日を算定基準日として、東京証券取引所における算定基準日の終値、算定基準日から遡る1週間、1ヶ月間、3ヶ月間及び6ヶ月間の各期間の終値単純平均値を採用しております。
野村證券は、上記株式交換比率の算定に際して、両社から提供を受けた情報、一般に公開された情報等を使用し、それらの資料、情報等が全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、両社とその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の各資産及び各負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。野村證券の株式交換比率の算定は、2018年5月15日現在までの情報及び経済条件を反映したものであり、日新製鋼の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、当社の経営陣により現時点で得られる最善の予測及び判断に基づき合理的に検討又は作成されたことを前提としております。
なお、野村證券がDCF法による算定の前提とした日新製鋼の将来の財務見通しには、2020年度の営業利益において、前年度に対して3割以上となる大幅な増益を見込んでおります。これは主として、2017年3月の本子会社化に伴う新日鐵住金グループとのシナジー最大化及び同グループの技術やノウハウの活用による事業構造改革、コア製品群を見直しブランド化を進めることによるコア製品戦略の進化、バリューチェーンの強化に伴うCS(顧客満足度)追求戦略の推進等によるものです。なお、当該財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
当社は、下記④「公正性を担保するための措置」に記載のとおり、野村證券から2018年5月15日付にて、上記の前提条件その他一定の前提条件のもとに、合意された本株式交換比率が当社にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しています。
他方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、当社については、当社の普通株式が東京証券取引所市場第一部に上場されており、時価総額が日新製鋼の時価総額規模と比較して非常に大きく、取引市場での流動性も高いことから、本株式交換の対価としてその株式価値を評価する場合、市場株価分析により十分に適正な結果が得られると判断したため、市場株価分析を採用して算定を行いました。
日新製鋼については、日新製鋼の株式が金融商品取引所に上場しており、市場株価が存在することから市場株価分析を、また比較可能な上場類似企業が存在し、類似企業比較分析による株式価値の類推が可能であることから類似企業比較分析を、加えて将来の事業活動の状況を評価に反映するため、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー分析(以下、「DCF分析」といいます。)を採用いたしました。
当社株式の1株当たりの株式価値を1とした場合の株式交換比率の算定結果は、以下のとおりとなります。
採用手法株式交換比率の算定結果
市場株価分析0.57~0.60
類似企業比較分析0.43~0.64
DCF分析0.57~0.79

市場株価分析では、両社について、2018年5月15日を算定基準日として、東京証券取引所市場第一部における両社株式のそれぞれの算定基準日の終値、算定基準日までの直近1か月間、3か月間及び6か月間の各取引日における終値の単純平均値を採用しております。
類似企業比較分析では、日新製鋼について、日新製鋼と類似性があると想定される類似上場会社として、グローバル鉄鋼メーカー、国内特殊鋼メーカーのうち、事業内容、損益、財務状況等の類似性を考慮し、ジェイ エフ イー ホールディングス株式会社、株式会社神戸製鋼所、日立金属株式会社、大同特殊鋼株式会社、山陽特殊製鋼株式会社、ArcelorMittal S.A.、Baoshan Iron & Steel Co., Ltd.、Posco Co., Ltd.、Nucor Corporation、thyssenkrupp AG、Novolipetsk Steel PJSC 、voestalpine AG、Tata Steel Ltd.、Hyundai Steel Company、Gerdau S.A.、United States Steel Corporation、Steel Authority of India Ltd.を選定し、EBITDAマルチプルとして5.75倍~6.25倍、及びPERマルチプルとして9.75倍~10.25倍を用いて日新製鋼の株式価値を分析し、それらの結果を基に株式交換比率のレンジを0.43~0.64として算定しております。
DCF分析では、日新製鋼について、日新製鋼が作成した財務予測に基づく将来フリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことによって企業価値を評価しております。DCF分析における継続価値の算定については永久成長率法及びマルチプル(倍率)法を用いて算出しております。なお、割引率は、5.00%~5.50%を使用しております。また、永久成長率は、-0.25%~0.25%を使用し、マルチプル法ではEBITDAマルチプルとして5.75倍~6.75倍を使用しております。それらの結果を基に株式交換比率のレンジを0.57~0.79として算定しております。
なお、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が算定の前提とした日新製鋼の財務予測においては、営業利益に関して、2019年度、2020年度とも、前年度に対して3割以上の増加と大幅な増益を見込んでおります。これは主として、2017年3月の本子会社化に伴う新日鐵住金グループとのシナジー最大化及び同グループの技術やノウハウの活用による事業構造改革、コア製品群を見直しブランド化を進めることによるコア製品戦略の進化、バリューチェーンの強化に伴うCS(顧客満足度)追求戦略の推進等によるものです。また、日新製鋼の当該財務予測は、本株式交換の実施を前提としておりません。
(注) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の分析及びその基礎となる株式交換比率の分析は、日新製鋼の取締役会の参考に資するためのみに同取締役会に宛てたものです。当該分析は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券又はその関係会社による財務上の意見又は推奨を構成するものではなく、本株式交換に関する一切の株主総会に関する株主による議決権行使又はその他の行動につき、日新製鋼又は当社の株主に対して、意見を述べたり、また、推奨を行うものでもありません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、分析にあたり、既に公開されている情報又は日新製鋼若しくは当社によって提供等され入手した情報が正確かつ完全なものであることを前提としてこれに依拠しており、当該情報の正確性及び完全性につき独自の検証を行っておりません。また三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本株式交換により期待される戦略上、財務上及び事業運営上のメリットに関する情報を含む財務予測につき、日新製鋼の将来の財務状況に関する現時点で入手可能な最善の予測及び判断を反映するものとして、日新製鋼の経営陣によって合理的に用意・作成されたものであることを前提としております。三菱UFJモルガン・スタンレー証券は日新製鋼又は当社の資産及び負債について、独自の評価・査定は行っていません。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の分析は、その株式交換比率算定書の算定基準日現在における金融、経済、為替、市場その他の状況及び、同日現在において三菱UFJモルガン・スタンレー証券が入手している情報に基づくものです。同日以降に生じる事象が、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の分析及び同書の作成に用いられた前提に影響を及ぼす可能性はありますが、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、同書及び分析を更新し、改訂し、又は再確認する義務を負うものではありません。
株式交換比率算定書の作成及びその基となる分析は複雑な過程を経ており、必ずしも部分的な分析や要約した記載に適したものではありません。本書で記載されている特定の分析に基づく評価レンジを、日新製鋼又は当社の実際の価値に関する三菱UFJモルガン・スタンレー証券による評価であると捉えることはできません。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、本件に関し、日新製鋼のファイナンシャル・アドバイザーとして役務を提供し、当該役務の対価として手数料を受領する予定です。なお、手数料の一部の受領は、本株式交換の完了を条件としています。
③ 上場廃止となる見込み及びその事由
本株式交換により、その効力発生日(平成31年1月1日(予定))をもって、日新製鋼は当社の完全子会社となり、日新製鋼株式は平成30年12月26日付で上場廃止(最終売買日は平成30年12月25日)となる予定です。上場廃止後は、日新製鋼の株式を東京証券取引所において取引することができなくなります。
日新製鋼株式は上場廃止となりますが、本株式交換により日新製鋼株主の皆様に割り当てられる当社株式は東京証券取引所、名古屋証券取引所、福岡証券取引所及び札幌証券取引所に上場されており、本株式交換の効力発生日以後も金融商品取引所市場での取引が可能であることから、日新製鋼株式を141株以上保有し本株式交換により当社株式の単元株式数である100株以上の当社株式の割当てを受ける日新製鋼の株主の皆様に対しては、引き続き株式の流動性を提供できるものと考えております。
他方、141株未満の日新製鋼株式を保有する日新製鋼株主の皆様には、当社株式の単元株式数である100株に満たない当社株式が割り当てられます。そのような単元未満株式については金融商品取引所市場において売却することはできませんが、単元未満株式を保有することとなる株主の皆様は、当社に対し、その保有する単元未満株式を買い取ることを請求することが可能です。また、その保有する単元未満株式の数と併せて1単元となる数の株式を当社から買い増すことも可能です。かかる取扱いの詳細については、上記(3)②(注3)「単元未満株式の取扱い」をご参照下さい。また、本株式交換に伴い1株に満たない端数が生じた場合における端数の取扱いの詳細については、上記(3)②(注4)「1株に満たない端数の取扱い」をご参照下さい。
④ 公正性を担保するための措置
当社及び日新製鋼の両社は、当社が既に日新製鋼の議決権の51.27%を保有する支配株主であることから、本株式交換の公正性を担保するため、以下の措置を実施しております。
ア 独立した第三者算定機関からの算定書等の取得
当社は、第三者算定機関であるとして野村證券を選定し、平成30年5月15日付にて、野村證券から株式交換比率に関する算定書を取得しました。当該算定書の概要については上記(4)②「算定に関する事項」をご参照下さい。また、当社は、平成30年5月15日付にて、野村證券から、上記(4)②「算定に関する事項」記載の前提条件その他一定の前提条件のもとに、本株式交換比率が、当社にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しています。
他方、日新製鋼は、第三者算定機関として三菱UFJモルガン・スタンレー証券を選定し、平成30年5月16日付にて、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から株式交換比率に関する算定書を取得しました。当該算定書の概要については上記(4)②「算定に関する事項」をご参照下さい。なお、日新製鋼は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、本株式交換比率が日新製鋼にとって財務的見地から妥当である旨の意見書(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
イ 独立した法律事務所からの助言
本株式交換のリーガル・アドバイザーとして、当社は西村あさひ法律事務所を、日新製鋼は野村綜合法律事務所を選定し、それぞれ本株式交換の諸手続きを含む取締役会の意思決定の方法・過程等について、法的助言を受けております。なお、西村あさひ法律事務所及び野村綜合法律事務所は、当社及び日新製鋼から独立しており、当社及び日新製鋼との間に重要な利害関係を有しません。
⑤ 利益相反を回避するための措置
日新製鋼は、当社が既に日新製鋼の議決権の51.27%を保有する支配株主であることから、利益相反を回避するため、以下の措置を実施しております。
ア 日新製鋼における、利害関係を有する監査役を除く取締役及び監査役全員の承認
本日開催の日新製鋼の取締役会では、全ての取締役が出席し、本株式交換契約に関する議案について、出席取締役全員の賛同を得て承認可決されております。
また、上記取締役会の審議には、当社の従業員である上原学氏を除く全ての監査役が参加し、いずれも上記決議に異議がない旨の意見を述べております。
なお、本株式交換に関し、上記上原学氏は、利益相反を回避するため、日新製鋼の取締役会における本株式交換に関する審議には参加せず、何らの意見表明も行っておりません。
イ 日新製鋼における、利害関係を有しない第三者委員会からの答申書の取得
日新製鋼は、平成30年3月2日、本株式交換が日新製鋼の少数株主にとって不利益な条件で行われることを防止するため、支配株主である当社との間で利害関係を有しない独立した外部の有識者である廣渡嘉秀氏(公認会計士、株式会社AGSコンサルティング代表取締役)、日新製鋼の社外取締役・独立役員である遠藤功氏、及び日新製鋼の社外監査役・独立役員である片山達氏の3名で構成される第三者委員会(以下、「第三者委員会」といいます。)を設置し、本株式交換を検討するにあたって、第三者委員会に対し、(ⅰ)本株式交換の目的に合理性があるか、(ⅱ)本株式交換の手続きにおいて公正性が維持されているか(株式交換比率に係る算定機関選定の経緯、決定プロセスにおける社外取締役又は社外監査役の関与等)、(ⅲ)本株式交換における条件は公正・妥当であるか、(ⅳ)上記(ⅰ)乃至(ⅲ)を踏まえ、本株式交換が日新製鋼の少数株主にとって不利益なものではないかについて、諮問いたしました。
第三者委員会は、平成30年3月20日から平成30年5月14日までに、会合を合計5回開催したほか、情報収集を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、上記諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。第三者委員会は、かかる検討にあたり、(a) 日新製鋼及び当社から、それぞれ、本株式交換の目的、本株式交換に至る背景・経緯等について説明を受け、(b) 三菱UFJモルガン・スタンレー証券から、本株式交換における株式交換比率の評価に関する説明を受け、(c) 日新製鋼から、本株式交換に係る日新製鋼の意思決定の方法及び過程に関する説明を受けております。
第三者委員会は、三菱UFJモルガン・スタンレー証券が作成した株式交換比率に関する算定書その他の本株式交換に関連する各種資料及び上記関係者から受けた説明の内容を踏まえ慎重に検討した結果、本株式交換が日新製鋼の少数株主の皆様にとって不利益なものではないと認められる旨の答申書を、本日付で、本株式交換契約に関する議案の審議に先立ち、日新製鋼の取締役会に提出しております。
(5)当該株式交換の後の株式交換完全親会社となる会社の商号、本店の所在地、代表者の氏名、資本金の額、純資産の額、総資産の額及び事業の内容
商号新日鐵住金株式会社
本店の所在地東京都千代田区丸の内二丁目6番1号
代表者の氏名代表取締役社長 進藤 孝生
資本金の額419,524百万円
純資産の額現時点では確定しておりません。
総資産の額現時点では確定しておりません。
事業の内容製鉄、エンジニアリング、化学、新素材、システムソリューションの各事業

以 上