四半期報告書-第163期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)

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2016/02/05 13:01
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間の我が国経済は、消費増税に伴う駆け込み需要の反動減があった前年同期から回復し、個人消費や企業の設備投資などは緩やかな増加が継続しました。また、海外では、米国や欧州において、緩やかながら景気回復基調が継続しました。一方、中国や東南アジアにおいては、景気の減速基調が継続しました。
このような経済環境のもと、当社グループにおいて、鋼材の販売数量は、造船向けの需要が堅調に推移したものの、自動車向け需要が減少したことなどから、前年同期並となりました。アルミ圧延品の販売数量は、飲料用缶材の需要が堅調に推移したことなどから、前年同期を上回りました。銅圧延品の販売数量は、銅板条・銅管とも需要が減少したことから、前年同期を下回りました。油圧ショベルの販売台数は、景気減速の影響が大きい中国や東南アジアにおいて需要が大幅に減少したことから、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期並の1兆3,535億円となりましたが、営業利益は、前年同期に比べ314億円減益の566億円となりました。経常利益は、上記に加え、中国の建設機械事業において貸倒引当金を計上したことなどから、前年同期に比べ446億円減益の330億円となりました。また、特別損失として、主に、中国における建設機械分野の急速な事業環境悪化に伴い、投資有価証券評価損や保証債務の損失引当などについて関係会社事業損失を計上しました。その結果、親会社株主に帰属する四半期純損益は、繰延税金資産を積み増した前年同期に比べ、779億円減益の138億円の損失となりました。
当第3四半期連結累計期間のセグメント毎の状況は以下のとおりであります。
[鉄鋼事業部門]
鋼材の販売数量は、造船向けの需要が堅調に推移したものの、国内新車販売で前年割れが続いたことなどから、自動車向けで減少となり、前年同期並となりました。また、販売価格は、主原料価格が値下がりした影響などから、前年同期を下回りました。
鋳鍛鋼品の売上高は、国内造船向けの需要が堅調に推移したことから、前年同期を上回りました。また、チタン製品の売上高は、需要増加に伴い前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比5.2%減の5,567億円となり、経常利益は、国内外の自動車向け需要減少に伴う品種構成の変化があったこと、主原料価格の大幅な下落に伴い、在庫評価影響が悪化したことや原料権益投資において評価損を計上したことなどから、前年同期に比べ106億円減益の97億円となりました。
[溶接事業部門]
溶接材料の販売数量は、国内では、造船向けの需要は堅調に推移しましたが、建築向けの需要回復が遅れており、また、海外では、景気減速や原油安影響から、中国や東南アジア、米国において需要が減少したことから、前年同期を下回りました。一方、溶接システムの売上高については、引き続き需要が堅調に推移したことから、前年同期を上回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期並の689億円となり、経常利益は、前年同期に比べ13億円減益の61億円となりました。
[アルミ・銅事業部門]
アルミ圧延品の販売数量は、飲料用缶材の需要が堅調に推移したことや、輸出を中心に自動車向けの拡販に取り組んだことなどから、前年同期を上回りました。アルミ鋳鍛造品の売上高は、米国における自動車向けの需要が堅調に推移したことなどから、前年同期を上回りました。
銅圧延品の販売数量は、銅板条においては半導体、銅管においてはエアコン向けの需要が減少したことなどから、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.4%増の2,625億円となり、経常利益は、前年同期に比べ12億円増益の119億円となりました。
[機械事業部門]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、石油精製・石油化学業界向け圧縮機は減少したものの、海外向けの大型樹脂機械案件などを受注したことなどから、前年同期比4.5%増の1,096億円となり、当第3四半期連結累計期間末の受注残高は、1,426億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、大型圧縮機案件などを計上したことから、前年同期比2.7%増の1,135億円となりましたが、経常利益は、圧縮機や樹脂機械を中心とした競合の激化による採算低下などから、前年同期に比べ24億円減益の53億円となりました。
[エンジニアリング事業部門]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、アルジェリアにおいて大型還元鉄プラント案件を受注したことなどから、前年同期比161.6%増の459億円となり、当第3四半期連結累計期間末の受注残高は、860億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、既受注の大型還元鉄プラント案件の建設工事が進捗したことなどから、前年同期比9.1%増の329億円となり、経常損益は、前年同期に比べ17億円増益の9億円の利益となりました。
[神鋼環境ソリューション]
当第3四半期連結累計期間の受注高は、廃棄物処理関連事業での受注量減少により、前年同期比2.0%減の572億円となり、当第3四半期連結累計期間末の受注残高は、550億円となりました。
また、当第3四半期連結累計期間の売上高は、廃棄物処理関連事業での既受注大型案件の工事進捗などにより、前年同期比17.6%増の511億円となり、経常利益は、前年同期並の13億円となりました。
[コベルコ建機]
油圧ショベルの販売台数は、国内においては更新需要が一巡していることに加え、海外においても、景気減速の影響が大きい中国や東南アジアにおいて需要が大幅に減少したことから、前年同期を下回りました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比12.9%減の2,088億円となり、経常損益は、需要減退による販売台数の減少に加えて、事業環境の急速な悪化を背景に、主に中国における売掛金回収の可能性について精査を進めて多額の貸倒引当金を計上したことなどから、前年同期に比べ300億円減益の94億円の損失となりました。
[コベルコクレーン]
クローラクレーンの販売台数は、国内において需要が堅調に推移しましたが、景気減速の影響が大きい東南アジアにおいて需要が減少したことから、前年同期並となりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比7.1%増の554億円となりましたが、経常利益は、製品の品質維持・改善のための費用の増加により、前年同期に比べ16億円減益の28億円となりました。
[その他]
神鋼不動産(株)においては、分譲事業において引渡戸数が増加するとともに、賃貸事業も堅調に推移しました。(株)コベルコ科研においては、試験研究事業において自動車関連の需要が堅調に推移しました。
以上の状況から、その他の事業全体の当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比8.6%増の518億円となり、経常利益は、前年同期に比べ7億円増益の45億円となりました。
(注) 売上高・受注高には消費税等は含まれておりません。
(2) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(「会社支配に関する基本方針」)は以下のとおりであります。
1. 基本方針の内容
当社は上場会社として、株式の自由な取引の中で、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資する形であれば、支配権の移動を伴う大規模な株式買付行為であっても、当然是認されるべきであると考えております。
しかしながら、一方、昨今のわが国の資本市場においては、株主・投資家等に十分な情報開示が行なわれることなく、突如として株式等の大規模買付けが行なわれる事例が少なからず見受けられます。こうした大規模な株式買付行為および提案の中には、当社に回復し難い損害をもたらすおそれのあるものを内容として含むものや、株主の皆様に大規模買付行為を受け入れるか否かを検討するのに必要な情報と時間を提供しないものも想定されます。このような行為は、いずれも当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を著しく損なうおそれのあるものです。
特に、当社は素材関連や機械関連等様々な事業を行なっており、事業の裾野が広い分、多様なステークホルダーや、様々な事業により生み出されるシナジーが存在しますが、これら全てが当社独自の企業価値の源泉であると考えております。また、平成25年5月に策定した「中期経営計画」で掲げた「収益の『安定』と事業の『成長』に向けた布石」としての取組み、すなわち「鋼材事業の構造改革」、「機械系事業の戦略的拡大」と「電力供給事業の拡大」を推進し、「素材系事業と機械系事業の2本柱に加え、電力供給事業を安定収益基盤とした独自の複合経営」という当社の将来像を実現し、中長期的に企業価値の向上を図っていくことが、多様なステークホルダーの方々に対して企業としての社会的責任を果たすことにつながると認識しております。
このような観点から、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を向上させる上で必要不可欠な、当社の経営理念、企業価値を生み出す源泉、当社を支えるステークホルダーとの信頼関係等を十分に理解し、その結果として当社の企業価値、ひいては株主共同の利益を確保、向上させる者でなければならないと考えております。これに反して、上述のような大規模な株式買付行為および提案を行なう者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考えます。
当社をとりまく事業環境をみると、国際的な競争激化の中、企業買収は依然として活発な状況にあり、当社の経営方針に影響を与えるような当社株式の大規模な買付行為が将来行なわれる可能性は否定できません。
一方、こうした大規模買付行為の際に利用される公開買付制度については、少なくとも現在の制度に基づく限り、株主が大規模買付行為の是非を判断するための情報と検討期間が十分に確保できない場合もありえるといわざるをえません。
すなわち、国内外で行なわれている大型のM&A案件を見ると、友好的に行なわれる場合であっても、合意に至るまでに相当期間の交渉を行なう事例も少なくありません。企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するためには、経営陣との事前の合意なく行なわれる大規模買付行為においても、友好的に行なわれるのと同等の情報開示と評価検討期間が確保されることが必要であり、これを確保するための手続きが、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者を株主が選ぶにあたって必要であると当社は考えます。
以上を考慮した結果、当社といたしましては、大規模買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供することを大規模買付者に求め、株主の皆様および当社取締役会のための一定の検討評価期間が経過した後にのみ当該大規模買付行為を開始するというルールを設定する必要があると考えております。
2. 当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の会社支配に関する基本方針の実現に資する特別な取組み
(1) 経営戦略の展開による企業価値向上への取組み
当社グループでは、中長期の経営指針として平成22年4月に策定した「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』~新しい価値の創造とグローバルな成長を目指して~」の実現に向け、現在、様々な取組みを続けています。このビジョンは、多様な素材系、機械系のビジネスで培った神戸製鋼グループならではの知識・技術を更に融合することにより、
・ グローバル市場において存在感のある企業グループ
・ 安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ
・ 株主・取引先・従業員・社会と共栄する企業グループ
の3つを5年~10年後の神戸製鋼グループ像として目指すものです。当社グループでは、このようなグループ像の実現に向けて、まず、安全・コンプライアンスへの取組みを徹底し、その上で、以下の基本方針のもと、新しい価値の創造とグローバルな成長を目指してまいります。
『KOBELCO VISION“G”』の基本方針
(ⅰ)オンリーワンの徹底的な追求
(ⅱ)「ものづくり力」の更なる強化
(ⅲ)成長市場への進出深化
(ⅳ)グループ総合力の発揮
(ⅴ)社会への貢献
※「中長期経営ビジョン『KOBELCO VISION“G”』」の内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp)プレスリリース欄 平成22年4月14日付「神戸製鋼グループ『中長期経営ビジョン』」をご覧ください。
(2) コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化による企業価値向上への取組み
当社は、内部統制システムに基づき、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の充実と、万全なコンプライアンス体制の確立に全力を挙げ、企業価値の向上に取り組んでおります。
3. 会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
平成27年6月24日開催の当社第162回定時株主総会において、不適切な者によって当社の財務および事業の方針が決定されることを防止するための取組みとして、次のプラン(以下、「本プラン」といいます。)のご承認をいただきました。
<本プランの概要>本プランは当社株券等に対する大規模買付行為が行なわれる場合に、以下の手順を定めております。
(1) 本プランの趣旨
当社株券等に対する持株割合が20%以上となる当社株券等に対する大規模買付行為が行なわれる場合に、株主の皆様がこのような買付行為を受け入れるか否かを検討するために必要かつ十分な情報を事前に提供することを大規模買付者に求めるとともに、提供された情報に基づき、当社取締役会が当該大規模買付行為について検討評価を行なうための期間を設け、かかる期間が経過するまでの間、および、当該期間が経過した後であっても、対抗措置の発動の可否等を問うための株主の皆様のご意思を確認する総会(以下、「株主意思確認総会」といいます。)が招集された場合には、株主意思確認総会において対抗措置の発動等に関する決議がなされるまでの間、当該大規模買付行為が開始されないことを確保するものです。
(2) 独立委員会の設置および株主意思確認総会の利用
当社は、当社取締役会による恣意的な判断を防止し、本プランに則った手続きの客観性、公正性および合理性を担保するため、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置しております。独立委員会の委員は、3名以上とし、社外の弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者等および社外の経営者と最低1名の社外取締役によって構成いたします。
独立委員会が株主意思確認総会の招集を勧告した場合には、当社取締役会は、当該勧告を最大限尊重した上で、相当と判断される場合には、対抗措置の発動の可否等を問うために株主意思確認総会の招集手続きを実務上可能な限り速やかに実施するものとします。
(3) 必要情報の提供
大規模買付者の提案が企業価値、ひいては株主共同の利益を高めるものか否かについて判断するため、大規模買付者に対し、株式取得の目的、買付対価の算定根拠、買付資金の裏付け、株式取得後の経営方針等について、情報提供を求めます。
ただし、提供される情報は、株主ならびに当社取締役会および独立委員会が大規模買付行為の是非を適切に判断するために必要かつ十分な範囲に限定されるものとし、独立委員会は、大規模買付者に延々と情報提供を求めるなどの濫用的な運用は行ないません。
(4) 当社取締役会および独立委員会による検討評価
独立委員会が大規模買付行為の是非を判断するのに必要かつ十分な情報提供を受けたと判断した旨を当社が開示した日から、円貨の現金のみを対価とする全部買付けの場合は60日間、これ以外の場合は90日間を当社取締役会および独立委員会の検討評価期間として確保いたします。
独立委員会は、この間、大規模買付行為の妥当性や対抗措置の発動の是非および株主意思確認総会の招集の是非を判断し、その検討の結果を取締役会に勧告いたします。
独立委員会が当社取締役会に対して対抗措置を発動すべき旨の勧告をする場合には、当社社外取締役を務める委員のうち、少なくとも1名が賛成していることを必要とするものといたします。
※検討評価期間は、独立委員会が必要と判断した場合、最大30日延長可能といたします。
(5) 大規模買付行為がなされたときの対応
独立委員会の勧告を最大限に尊重し、取締役会が以下の基準のもとで判断いたします。
a.大規模買付者が本プランの手続きを遵守しない場合、原則として対抗措置を発動します。
b.大規模買付者が本プランの手続きを遵守した場合、取締役会は、仮に反対であっても、大規模買付行為に対する反対意見の表明や代替案の提示等を行なうにとどめ、原則として対抗措置はとりません。ただし、大規模買付行為が当社に回復し難い損害をもたらすと認められる場合や当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には対抗措置をとることがあります。
もっとも、独立委員会が、対抗措置を発動する条件として、株主意思確認総会を開催して株主の皆様のご意思を確認することが相当であると判断した場合等においては、株主意思確認総会の招集を当社取締役会に勧告します。独立委員会が株主意思確認総会の招集を勧告した場合には、取締役会は、当該勧告を最大限尊重した上で、相当と判断される場合には、対抗措置の発動の可否等を問うために株主意思確認総会の招集手続きを実務上可能な限り速やかに実施します。
(6) 対抗措置の内容
大規模買付者は行使することができないなどの条件を付した新株予約権の無償割当ての方法をとります。ただし、大規模買付者に新株予約権の対価として現金を交付する旨の取得条項を付することはできないものといたします。
(7) 本プランの発効日と有効期限
本プランの発効およびそれに基づく対抗措置の発動については、株主の皆様にも一定の影響を与えるため、本プランについては当社第162回定時株主総会において株主の皆様のご意思を確認させていただき、ご承認を頂きました。
したがって、本プランは同定時株主総会の終了後に開催された最初の取締役会の終了時に発効いたしました。本プランの有効期限は平成29年6月に開催予定の当社定時株主総会の終了後最初に開催される取締役会終了のときまでといたします。ただし、平成29年6月に開催予定の当社定時株主総会の終了後最初に開催される取締役会の開催日において、現に大規模買付行為がなされ、または本プランの手続きが既に開始されている場合には、当該行為への対応または本プランの運用のために必要な限度で、かかる有効期間は延長されるものとします。
また、本プランは、その有効期間中であっても、当社取締役会によりこれを廃止する旨の決議が行なわれた場合は、その時点で廃止されるものとします。
※ 本プランの内容の詳細は、当社ホームページ(http://www.kobelco.co.jp) プレスリリース欄 平成27年4月28日付「当社株券等の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)の継続について」をご覧ください。
4.経営者の取組みが会社支配に関する基本方針に沿い、当社の株主共同の利益を損なうものではないこと、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでないことについて
当社グループにおける取組みは、会社支配に関する基本方針にいう「当社の企業価値、ひいては株主共同の利益の確保・向上」のための現在の経営者による取組みです。
当社の現在のコーポレート・ガバナンス(企業統治)体制およびその強化のための様々な取組みは、会社法の規律に基づき、取締役の職務執行に対する監督機能を確保し、経営の透明性を高め、もって企業価値、ひいては株主共同の利益の向上に資する点で会社支配に関する基本方針に準拠するものです。
また、本プランは、「大規模買付行為に応じるか否かは、最終的には株主の皆様が判断する」という基本精神に基づき作成されております。本プランに定める手続きのいずれも、大規模買付行為に応じるか否かを当社株主の皆様が判断するために必要な情報を提供していただくため、あるいは代替案の提示を受ける機会を株主の皆様に保障するための手段として採用されたものです。よって、本プランは、会社支配に関する基本方針の考え方に沿って設計されたものであり、当社株主共同の利益に資するものであると考えます。
さらに、本プランの発効は、株主総会における当社株主の皆様の承認が条件となっております。また、有効期間が明確に規定されていることから、本プランの更新を株主総会の決議により承認しないことが可能です。加えて、本プランは、取締役会決議によりいつでも廃止が可能であることから、当社株主の皆様が本プランの維持により株主共同の利益を損なうこととなると判断する場合、取締役の選解任権を行使することにより、いつでも株主の皆様のご意思によって本プランを廃止することが可能となっております。また、本プランは、大規模買付者が本プランに定められた手続きに従うことなく大規模買付行為を開始した場合において、独立委員会が対抗措置を発動する条件として、株主意思確認総会を開催して株主の皆様のご意思を確認することが相当であると判断した場合には、当社取締役会は、当該判断を最大限尊重し、大規模買付者による大規模買付行為に対する対抗措置の発動の是非等について株主意思確認総会を開催することによって、株主の皆様のご意思を直接確認することとしております。このような仕組みにより、本プランが当社株主共同の利益を損なうことがないように配慮されております。
本プランに定める当社取締役会による対抗措置の発動は、かかる本プランの規定に従って行なわれます。さらに、当社取締役会が大規模買付行為の是非を検討評価し、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、外部専門家などの助言を得るとともに、当社の業務執行を行なう経営陣から独立している委員で構成される独立委員会へ諮問し、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされています。このように、本プランには、当社取締役会による適正な運用を担保するための手続きも盛り込まれています。以上から、本プランは当社役員の地位の維持を目的とするものでないと考えております。
(3)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は、212億円であります。
また、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況の変更の内容は、次のとおりであります。
[鉄鋼事業部門]
鉄鋼事業部門では、公益社団法人発明協会主催の平成27年度全国発明表彰において、「疲労特性に優れたばね用線材の発明」にて発明賞を受賞しました。今回受賞した発明は、高い信頼性と軽量性が要求される自動車用懸架ばねに必要不可欠なばね用鋼材の鋼材成分や製造方法に関する独創的な技術です。この新開発のばね用鋼材を用いた懸架ばねでは、大気疲労特性と腐食疲労特性を高い信頼性で確保し、ばね設計応力の高強度化やばね重量の軽量化を実現する事が可能となりました。
また、一般財団法人日本海事協会が「特別承認材」として採用していた当社独自開発の高強度の船舶エンジン用中間軸が、国際船級協会連合(以下、IACS)に国際規格の『IACS統一規則』として世界で初めて採用されました。中間軸とはエンジンの動力をプロペラシャフトに伝える重要な部品で、最近の大型船舶用エンジンの高出力・高効率化に対応するために、中間軸には高強度化が求められています。今回の高強度中間軸のIACS統一規則化により、エンジンのさらなる高出力化、軽量化が可能となります。
[溶接事業部門]
溶接事業部門では、火力発電ボイラ等に適用される高フェライト系耐熱鋼P91鋼の業界規制厳格化に対応した被覆アーク溶接棒「TRUSTARCTM CM-95B91」「TRUSTARCTM CM-96B91」を開発しました。化学成分と機械的性質の厳しい規格を満足するのに加え、溶接金属の拡散性水素量、耐棒焼け性、再アーク性も従来材と比較して改善を図り、顧客の高い評価を得ています。その特長を活かし、日本だけでなく、中国、インドの火力発電ボイラ市場での拡販が期待されます。
また、鋼橋溶接継手部の耐疲労性改善を図った「TRUSTARCTM MX-4AD」及び「TRUSTARCTM LB-3AD」を開発しました。溶接金属の相変態膨張を利用して、溶接止端部における引張残留応力低減もしくは圧縮化による疲労強度の改善に加え、従来の組成に対して、Niを低減することにより、安価かつ耐高温割れ性の改善を実現しました。
さらに、建築土木工事の現場溶接ニーズをとらえ、シールドガスが不要なセルフシールドワイヤ「FAMILIARCTM OW-S50H」の1.6mmφを開発しました。従来ワイヤ径2.4mmφでは溶接が難しかった薄板の溶接も可能となり、現場溶接における幅広い適用が期待されます。
[アルミ・銅事業部門]
アルミ・銅事業部門では、当社従来品に対して耐応力腐食割れ性を維持しつつ、約30%高強度化した耐力400N/㎟級アルミニウム合金7K55を開発しました。自動車分野では、近年の環境規制の強化により車体の軽量化ニーズが高まっており、軽量化の有効な手段として、バンパービーム、骨格材などでアルミ押出材の需要が拡大しています。開発した7K55は既に日系自動車メーカーでバンパービーム用押出材として採用が決まっており、更なる採用拡大を目指します。
[機械事業部門]
機械事業部門では、東京瓦斯(株)、三菱重工業(株)、三浦工業(株)との4社で、ガスエンジンの廃温水を蒸気として高効率に回収するコージェネレーションシステムを開発しました。また、早稲田大学、一般財団法人エネルギー総合工学研究所と共同で、長寿命で信頼性・環境性に優れる「断熱圧縮空気蓄電システム(商品名:空圧電池)」の開発に着手しました。
また、高いメンテナンス性や装置拡張性を持つ新型スパッタロールコータ生産機「W60S」の販売を開始し、桃浦かき生産者合同会社と共同でカキむき専用の横型HPP超高圧処理装置を開発・納入しました。
さらに、旭海運(株)、三浦工業(株)との共同で開発を進めていた、「舶用バイナリー発電システム」について、陸上での試験が完了し、一般財団法人日本海事協会の承認を取得しました。平成28年度に実船搭載、船上での性能評価を実施し、同年度中の開発完了・商品化を目指します。
[神鋼環境ソリューション]
(株)神鋼環境ソリューションでは、同社技術研究所内に設置した閉鎖型の1㎥培養槽を用い、従属栄養培養方式(生育に必要な炭素を有機化合物の形で生物に与える培養方法)によるユーグレナ(光合成を行なう植物的性質と“すじりもじり”運動をする動物的性質を兼ね備えた生物)の培養を、回分培養(1回毎に新たな培地を用いる培養方法)から流加培養(培養中に培地成分を追加供給し、生産性を維持・向上させる培養方法)に改良することで、バイオマス生産性が約2倍(同社比)となることを確認しました。
ユーグレナ由来バイオマスの製造設備を、食品原料としての安定的な品質及び安全性の維持を目的とした設備へと改造したうえで、「営業開始届書」を神戸市保健所に提出し、届出済証を受領しました。食品原料として食品関係の企業にバイオマスサンプルを提供し、来年度の商品化を目指して取り組んでいます。
[コベルコ建機]
コベルコ建機(株)では、広島大学とともに平成27年7月より広島大学大学院工学研究院に共同研究講座「コベルコ建機次世代先端技術共同研究講座」を設置することとしました。複数のテーマを有機的に連携させ、「疲れない」、「使い易い」といった快適性や感性を数値化して技術開発に反映し、次期モデルでの実装を予定しています。
また、独自の低騒音技術「iNDr(エンジン冷却システム)」を発展させて開発した下方排気式の「iNDr+E」を装備し、低騒音性能とメンテナンス性を向上させるとともに、燃費をさらに向上させた3~5トン級の超小旋回ミニショベルACERA GEOSPEC「SK30UR」「SK38UR」「SK50UR」と4~5トン級の後方超小旋回ミニショベル「SK45SR」「SK55SR」を開発し販売を開始しました。4トン以上の3機種はオフロード法2014年基準に適合しています。
[コベルコクレーン]
コベルコクレーン(株)では、つり上げ能力300トン以上の大型クローラクレーン事業強化方針に基づいた機種開発のため、海外市場調査、長期商品戦略立案の拠点として平成27年7月にドイツ・フランクフルトに駐在員事務所を開設しました。
また、本格基礎土木向けクローラクレーン「BM1500G(型式BM1500G)」(最大つり上げ能力150トン)を開発し、平成27年8月より国内向けに販売を開始しました。当機は、より安全に余裕を持ってハンドリングでき、より大きなパワーを持つハンマーグラブ作業などを行なえる重作業用クレーンのニーズが高まるなか、国内最大の基礎土木ベースマシンとなります。
(4) 主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった重要な設備の新設について、当第3四半期連結累計期間に完成したもの及び重要な変更があったものはありません。
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設計画は次のとおりであります。
会社名
事業所名
セグメントの名称設備の内容工事予算額工期
着工
(年月)
完成
(年月)
コウベ アルミナム
オートモーティブ
プロダクツ LLC
アルミ・銅
事業部門
溶解鋳造ライン
鍛造プレス他
56,600千米$27.929.12

(注)今後の所要資金の調達方法は、自己資金を予定しております。
また、経常的な設備更新のための除却等を除き、前連結会計年度末において計画中であったもの以外に重要な設備の除却等の計画はありません。