有価証券報告書-第112期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 16:00
【資料】
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【項目】
123項目

研究開発活動

当社グループは、産業の発展と社会貢献を通じて収益に結びつくオンリーワン技術の開発をめざして、自動車向け特殊鋼の開発、ステンレス鋼の開発、特殊鋼を素材とする自動車部品用鍛造品の開発、さらには電磁品の開発等を中心に積極的な研究開発活動を行っております。
当連結会計年度の研究開発費は、3,282百万円、研究開発人員は約230名であります。
なお、セグメント別の研究の目的、研究成果及び研究開発費は、次のとおりであります。
(1) 鋼材事業
自動車部品用の新しい特殊鋼やステンレス鋼の研究及び製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
特殊鋼における製造プロセスの革新として、
①新連続鋳造機活用による品質ロス低減活動の深化
②分塊大形圧延工程のリエンジ実施(鋼片と鋼材のライン分離及び中間寸法の型格統一等による生産性向上)
③精整検査工程の物流改善に着手(出荷リードタイムを短縮し、新設する精整ラインでは高度化する市場の要求品質に対応する最新の検査設備の導入)
自動車向け特殊鋼の開発として、
④エンジンの軽量化や燃費向上に貢献するクランクシャフトやコンロッド用鋼の研究開発
⑤駆動伝達ユニットの軽量化や高出力化に貢献する高強度歯車用鋼及び低コスト化に貢献する省合金歯車用鋼(モリブデン含有量を低減)の研究開発
ステンレス鋼の開発及び市場創出として
⑥将来の需要増が見込まれるエネルギー・インフラ分野を狙ったステンレス鉄筋バーや二相系ステンレス形鋼の商品レパートリーの拡大及びステンレス部材ビジネスの強化
⑦水素社会に対応する高圧水素用ステンレス鋼“AUS316L-H2”の省合金化、低コスト化をはかる高圧水素用ステンレス鋼の更なる研究開発
当事業に係わる研究開発費は2,154百万円であります。
(2) 鍛造品事業
自動車部品用の鍛造品製造プロセス開発、製造方法の開発を行っております。当連結会計年度の主な成果は次のとおりであります。
鍛造プロセスの高効率製造・低コスト化として、
①CVTシャフトのショットブラスト工程及び機械加工工程の改善による生産性向上
②小型クランクシャフト専用4500Tプレスでの適用拡大と大型クランク用6000Tプレスの集約
③グローバル展開を見据えた、アップセッタ代替工法であるスクリュー成形によるリアアクスルシャフトの適用拡大
④熱処理炉の炉内断熱強化による省エネルギー・低CO2化
鍛造品の高精度・低コスト化として、
⑤高精度パーキングロックギヤ成形のラインナップ拡大
⑥鍛造金型の長寿命化を目的とした表面処理技術開発と適用部品拡大
当事業に係わる研究開発費は57百万円であります。
(3) 電磁品事業
MIセンサの開発、モータ用磁石の開発、歯科用磁性アタッチメントの開発、車載電子機器用放熱部品の開発等を行っております。当連結会計年度の主な成果は、9月にDyフリーボンド磁石マグファインの一体射出成形技術を確立し、充電式草刈機の新製品に採用されました。また次世代自動車向け高効率モータ用磁性材料技術開発(NEDO委託業務研究組合)にも参画し、次世代の磁石開発に鋭意取り組んでおります。
一方、MIセンサの開発では、ローム株式会社との技術連携は計画どおり進んでおり、両社のシナジーを発揮したMI素子の販売拡大やMIセンサの特長である高精度・省電力を活かした次世代に向けた商品開発に取り組んでおります。
当事業に係わる研究開発費は1,071百万円であります。