四半期報告書-第78期第2四半期(平成26年7月1日-平成26年9月30日)

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2014/11/11 13:38
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、米国では回復傾向が続いたものの、アジア地域においては、中国は景気拡大の速度が緩やかとなり、韓国は景気持ち直しの動きが緩やかとなりました。台湾は回復傾向が続きました。欧州は、全体として緩やかな持ち直し傾向が続くものの、政府債務問題や政情不安といったいわゆる地政学リスクによる懸念が残りました。一方、日本経済は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動により、第1四半期連結会計期間前半は個人消費が低調だったものの、海外需要の堅調な推移や国内生産の増加、これに伴う設備投資の増加等もあり、全体として堅調に推移しました。
当社グループの関連業界では、自動車は、国内は当第2四半期連結累計期間前半に、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動があったものの、生産持ち直しに転じました。当第2四半期連結累計期間後半には、受注残解消等による減産の動きが見られたものの、米国を中心とした海外需要等により、全体として堅調に推移しました。携帯電話は、スマートフォンの需要が海外を中心に好調に推移しました。家電やパソコンは、国内は個人消費の低迷による影響から総じて弱い動きとなりましたが、海外需要は堅調に推移しました。国内住宅建設の需要は減少しましたが、公共投資は堅調に推移しました。鉄鋼は、国内需要は産業機械向けが堅調に推移したものの、自動車販売や建設需要減少の影響もあり、生産は減少しました。
このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、平成25年7月1日付での日立電線株式会社との合併による影響もあり、前年同期に比べて売上高は、28.5%増の450,477百万円、営業利益は、10,857百万円増の33,981百万円、経常利益は、11,361百万円増の34,068百万円となりました。四半期純利益は、売上、利益の増加に加え、特別利益として事業譲渡益3,937百万円、固定資産売却益228百万円を計上したことから、前年同期比18,967百万円増の28,602百万円となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高または振替高を含んでおります。
なお、当社は、航空機・エネルギー材料事業の強化を目的とし、平成26年7月1日付で三菱マテリアル株式会社の完全子会社であるMMCスーパーアロイ株式会社(現 日立金属MMCスーパーアロイ株式会社)の発行済株式の51%に相当する株式を取得しました。これにより、同社は当社連結子会社として高級金属製品セグメントに属し、同社業績は当第2四半期連結会計期間から同セグメント業績に反映しております。
①高級金属製品
当セグメントの売上高は、前年同期比9.0%増の127,488百万円となりました。また、営業利益は前年同期比2,522百万円増加し、14,799百万円となりました。
特殊鋼については、工具鋼は、国内向けは好調な設備投資需要等を背景に堅調に推移したことに加え、海外向け需要も総じて堅調に推移したことから、前年同期比で増加しました。電子材料は、ディスプレイ関連材料の需要が堅調に推移するとともに、半導体等パッケージ材料もスマートフォンやタブレット端末を中心とした需要が好調に推移し、増加しました。産業機器材料は、自動車関連材料については環境親和製品への需要が国内、海外ともに堅調に推移しましたが、エネルギー関連材料は、旺盛な需要動向が続いた前年同期比では減少しました。一方、航空機関連材料については、好調な需要動向が続いたことに加え、当第2四半期連結会計期間から日立金属MMCスーパーアロイ株式会社が連結子会社となったことに伴う業績反映もあり、増加しました。
ロールにおいては、各種ロールについては、海外向け需要が堅調に推移し増加しました。射出成形機用部品については、スマートフォンやタブレット端末を中心とした需要好調を背景に、国内向け、海外向けともに好調に推移し増加しました。
アモルファス金属材料においては、当第2四半期連結累計期間後半に主要市場である中国の需要が調整局面となり生産量が減少したものの、北米における需要が堅調に推移したことに加え、円安による効果もあり、全体として前年同期並みとなりました。
切削工具については、産業機械等の国内需要が好調に推移し、海外向けも輸出改善を背景に堅調に推移し増加しました。
②磁性材料
当セグメントの売上高は、前年同期比6.1%増の68,394百万円となりました。また、営業利益は前年同期比3,706百万円増加し、7,533百万円となりました。
マグネットにおいては、希土類磁石は、ハイブリッド車や電動パワーステアリングなど自動車用電装部品の需要が好調に推移し、家電関連およびFA関連の需要も好調に推移したことから、前年同期比で増加しました。フェライト磁石は、国内、海外とも自動車用電装部品および家電用部品の需要が好調に推移し、増加しました。
軟質磁性材料およびその応用品については、フェライト応用品は太陽光発電用部品向けの需要が好調に推移し、フェライトコアも自動車用電装部品およびスマートフォン向けを中心に需要が堅調に推移しました。ファインメットは、汎用インバータ向けおよびエアコン向け等の需要が堅調に推移しました。
③高級機能部品
当セグメントの売上高は、前年同期比3.3%増の94,152百万円となりました。また、営業利益は前年同期比56百万円減少し、5,946百万円となりました。
自動車用鋳物については、耐熱鋳造部品は、主要市場である欧州において需要持ち直しの兆しが見え始め、米国における需要も堅調に推移したことから、前年同期並みとなりました。高級ダクタイル鋳鉄製品は、米国をはじめとする、海外の自動車における旺盛な需要が続き、国内も消費税率引き上げに伴う需要反動減の影響が限定的となり、全体として好調に推移したことから増加しました。アルミホイールは、国内は当社製品の搭載車種の一部に減産の動きがあったものの、米国の需要が堅調に推移し、前年同期比で増加しました。
配管機器については、各種管継手は、国内は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動による住宅着工戸数減少の影響があったものの、米国における需要が堅調に推移し、前年同期並みとなりました。ステンレスおよびプラスチック配管機器は、住宅着工戸数減少の影響はあったものの、ガス用製品に対する施工性・耐震性の高評価を受け需要が堅調に推移したことから、前年同期並みとなりました。
建築部材は、国内における民間設備投資、公共投資等による需要が堅調なものの、工事進行基準の適用範囲拡大等、一時的な増加要因があった前年同期と比較すると減少しました。
④電線材料
当セグメントは、平成25年7月1日付けで日立電線株式会社と合併したことにより新設されました。当セグメントの業績は平成26年3月期第2四半期連結会計期間から当社グループ業績に反映しております。
当セグメントの売上高は、前年同期比104.1%増の161,545百万円となりました。また、営業利益は前年同期比5,463百万円増加し、9,849百万円となりました。
電線については、電力・産業システムおよび電子・通信材料は、国内建設関連の需要が堅調に推移したことに加え、工作機械向けを中心とした需要が堅調に推移しました。また、注力分野である鉄道車両用電線や医療機器関連分野の医療用プローブケーブルも需要が好調に推移しました。電機材料は、巻線が自動車用および産業用など国内需要を中心に好調に推移しました。
自動車部品においては、注力分野であるハイブリッド車用ハーネスや電動パーキングブレーキ用ハーネス、車載センサーなど電装部品を中心とした旺盛な需要が、国内、海外ともに続きました。
情報デバイスについては、スマートフォンの普及による通信事業者の設備増強投資が旺盛に推移したことから、ネットワーク機器およびワイヤレスシステムの需要が好調に推移しました。
⑤その他
当セグメントの売上高は、前年同期比43.7%増の2,374百万円となりました。また、営業利益は前年同期比209百万円減少し、149百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金および現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金が財務活動および投資活動で使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ7,374百万円増加し、102,917百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、47,852百万円となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益が37,894百万円、売上債権等の運転資金の減少が4,909百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、11,996百万円となりました。これは主に事業譲渡による収入9,678百万円、一方で有形固定資産の取得による支出が16,982百万円、事業譲受による支出が1,900百万円、無形固定資産の取得による支出が1,829百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、30,387百万円となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が25,507百万円、配当金の支払いが4,678百万円あったこと等によるものです。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について、当社は、開発型企業として、継続的に基盤技術の高度化を図り、新技術に挑戦することによって新製品及び新事業を創出し、新たな価値を社会に提供し続けることを事業活動の基本としております。これを推進するため、株式会社日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、同社との関係において事業運営及び取引では自律性を維持しつつ、研究開発協力等を通じて同グループ各社と緊密な協力関係を保ち、その経営資源を有効に活用することで、高品質の製品及びサービスの提供を図ることとしております。
また、当社は、上場会社として、常に株主、投資家及び株式市場からの期待及び評価を認識し、情報の適時かつ適切な開示に努めるとともに、持続的成長の実現に資する経営計画の策定、企業統治の強化等を通じて、合理的で緊張感のある経営を確保することが重要であると認識しております。これらにより、当社は、企業価値の向上及び親会社のみならず広く株主全般に提供される価値の最大化を図ってまいります。
(4)研究開発活動
当社の研究開発はマーケットイン志向のディビジョンラボ制を採っております。各カンパニーはそれぞれの事業戦略に沿って、各カンパニーの研究開発部門で開発を推進しております。さらに、次世代の主力となる新製品・新技術や基盤技術は、株式会社日立製作所の各研究所と強い連携体制を組んで開発を進めております。また、日立グループ関連事業部門と連携して新用途も開拓しております。一方、将来の新製品に繋がる新材料・新技術シーズの発掘には、海外を含めた大学等の社外機関との共同研究を積極的に活用しております。これらの中で、全社的に重要な新製品・技術については、経営トップも参画した制度で開発を進めております。
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は10,145百万円であります。
各事業分野別の研究主要課題は次のとおりであります。
①高級金属製品
金型・工具、産業機器・エネルギー等の分野に向けた高級特殊鋼、アモルファス金属材料・ナノ結晶軟磁性材料、各種圧延用ロール、構造用セラミックス部材、排ガス浄化用セラミックフィルタ(セラキャットフィルタ)、切削工具等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は3,070百万円であります。
②磁性材料
高性能磁石、情報端末用高周波部品部材、軟磁性材料の応用製品等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,563百万円であります。
③高級機能部品
自動車用高級鋳物製品とその製造技術・設計評価システム、管継手・バルブその他の配管用部材及び工法等周辺技術を含めた配管トータルシステム、建築部材等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,334百万円であります。
④電線材料
産業用・車輌用・通信用電線に関連する電線・接続技術、機器用電線、自動車用電線及び巻線に関連する電線・接続技術、自動車用電装部品・ホース、工業用ゴム、情報ネットワーク機器、携帯電話基地局用アンテナ、化合物半導体等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は4,178百万円であります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社グループを取り巻く事業環境は、欧州における景気回復の遅れや、新興国における景気減速懸念等があるものの、米国は緩やかな景気回復が続くと見込まれます。また国内においては、消費増税後の需要反動減の影響は大きく、今後更なる消費増税が決定され需要減が拡大する可能性が存在することが懸念されるものの、円安による輸出環境の改善が続くとともに、これに伴う国内生産の増加や、本格的な震災復興需要、東京オリンピックへ向けての旺盛な公共・民間投資が堅調に推移するものと見込まれます。
当社グループは、2015年度(平成28年3月期)を最終年度とする中期経営計画を策定し、着実に計画を実行しております。本計画では、グローバル成長戦略の強化・加速、新製品創出・新技術開発力の強化、国内事業の精選、固定費削減および統合新会社としてのシナジー早期実現等を基本方針に掲げ計画を実行しておりますが、今後は航空機・医療等の注力分野へ積極的な経営資源を投入し、高機能材料メーカーとして更なる持続的成長をめざしてまいります。
(6)資金の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金が財務活動および投資活動で使用した資金を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ7,374百万円増加し、102,917百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは47,852百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益が37,894百万円、売上債権等の運転資金の減少が4,909百万円あったこと等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは11,996百万円の支出となりました。これは主に事業譲渡による収入が9,678百万円、一方で有形固定資産の取得による支出が16,982百万円、事業譲受による支出が1,900百万円、無形固定資産の取得による支出が1,829百万円あったこと等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは30,387百万円の支出となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が25,507百万円、配当金の支払が4,678百万円あったこと等によるものです。
また、当第2四半期連結会計期間末の総資産は873,231百万円で、前連結会計年度末に比べ32,489百万円増加しました。流動資産は532,643百万円で、前連結会計年度末に比べ24,865百万円増加しました。これは主に仕掛品が11,148百万円増加したこと等によるものです。固定資産は340,588百万円で、前連結会計年度末に比べ7,624百万円増加しました。これは主に機械装置及び運搬具が2,395百万円、有形固定資産のその他が5,883百万円増加したこと等によるものです。なお、その他の増加は主に建設仮勘定の増加によるものです。
負債合計は458,945百万円で、前連結会計年度末に比べ8,599百万円減少しました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が24,640百万円減少、一方で短期借入金が8,468百万円、長期借入金が5,358百万円増加したこと等によるものです。純資産合計は414,286百万円で、前連結会計年度末に比べ41,088百万円増加しました。これは主に利益剰余金が24,307百万円増加したこと等によるものです。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、株主・投資家、ビジネスパートナーなど当社グループをとりまくステークホルダーの皆様との信頼関係を築きながら、より良い社会の実現に貢献するために、社会的責任を自覚した企業活動を行うことを基本方針としております。そのために、基盤技術の高度化と新技術への挑戦によって新製品・新事業を創出し、新たな価値を社会に提供してまいります。製品の開発、製造に当たっては、次世代に引き継ぐ環境に配慮した企業活動を促進いたします。さらに、企業情報の適時かつ適切な開示、地域社会への貢献などを通じて社会とのコミュニケーションを推進して、より広範な社会の視点を経営に反映し、社会との信頼関係を築きます。当社グループは、これらの企業活動によって、「最良の会社」を具現して、企業価値の向上につなげてまいります。
当社グループを取り巻く事業環境は、短期的には上記(5)に記載のとおりですが、世界規模で経済構造が変化する中、市場のグローバル化が加速し、今後ますます国内外での競争が激しくなっていくことが予想されます。かかる事業環境の変化に対し、意思決定の迅速化と利益を生み出せる分野への経営資源の「選択と集中」で、地域別・事業セグメントごとにバランスのとれた持続的な成長をめざしてまいります。また、持続的な成長は「安全な職場」と「コンプライアンス」の基盤の上に成り立つものであるため、中期経営計画の着実な実行と併せ、これら二つの根付けもめざしてまいります。