四半期報告書-第80期第2四半期(平成28年7月1日-平成28年9月30日)

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2016/11/10 13:34
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、先進国を中心に緩やかな回復基調が続きました。米国・欧州では企業部門の一部指標で弱い動きが見られましたが、雇用環境の改善等により景気の緩やかな回復が続きました。中国では政府による景気てこ入れ策により、一部に持ち直しの気配も見られましたが、経済成長は依然として鈍化した状態が続きました。これに伴い新興国経済も減速感が継続しました。こうした中、我が国の経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移しましたが、企業収益や設備投資の改善の動きに足踏みが見られ、為替の円高基調の継続や中国を始めとする新興国経済の動向による影響が懸念される状況が続きました。
当社グループの関連業界では、自動車は、国内において軽自動車の不振が継続したほか、米国もピックアップトラックは好調だったものの乗用車が減少しました。しかし、中国・欧州の需要が伸長した結果、全体としては前年同期と比較して増加しました。鉄鋼は、新興国経済の減速等の影響により世界の鉄鋼需要が停滞する中、中国の高水準な鋼材輸出に伴い需給の緩んだ状態が続きました。住宅着工戸数は、米国・国内ともに増加傾向が続きました。エレクトロニクス関連では、携帯端末が新興国での伸びが鈍化したほか、家電も夏以降に需要が伸び悩みました。
このような状況のもと、当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は原材料価格の下落(価格スライド制)や為替相場の円高基調が継続したことおよび需要減少の影響等により、前年同期に比べ売上収益は15.0%減の446,051百万円となりました。また、営業利益は32,768百万円減の28,813百万円となりました。営業利益の減少は主に、売上総利益の減少に加え、前第2四半期連結累計期間において、日立ツール株式会社(現 三菱日立ツール株式会社)の発行済株式総数の51%に相当する株式を三菱マテリアル株式会社に2015年4月1日付で譲渡したこと等により、その他の収益として事業再編等利益29,280百万円を計上したことによるものです。税引前四半期利益は前年同期比35,893百万円減の24,807百万円、親会社株主に帰属する四半期利益は前年同期比25,433百万円減の18,340百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。各セグメントの売上収益は、セグメント間の内部売上収益を含んでおります。当第2四半期連結累計期間において、当社グループが営む事業の内容について、重要な変更はありません。
なお、当社グループは、第1四半期連結会計期間から、報告セグメントに関する事業および連結子会社の社内管理区分を一部変更するとともに、調整額に含めていた全社の一般管理費のうち研究費等を、予算に基づいて、各報告セグメントへ配賦する方法に変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 注4.セグメント情報」をご確認ください。
以下の前第2四半期連結累計期間との比較においては、前第2四半期連結累計期間の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
①高級金属製品
当セグメントの売上収益は、前年同期比12.1%減の115,862百万円となりました。また、営業利益は、売上収益が減少した影響のほか、前第1四半期連結会計期間に日立ツール株式会社(現 三菱日立ツール株式会社)の株式を譲渡したことに伴う事業再編等利益25,931百万円を計上したことから、前年同期比30,204百万円減少し、9,962百万円となりました。
特殊鋼については、工具鋼は、第1四半期連結会計期間においてアジアを中心とする経済減速の影響を受けた在庫調整があり、前年同期を下回りました。産業機器材料は、自動車関連の環境親和製品等が売り上げを伸ばしたほか、その他産業部材も堅調に推移しました。航空機関連材料およびエネルギー関連材料は需要の端境期となりました。電子材料は、ディスプレイ関連材料が低調でした。
ロールについては、高付加価値製品に経営資源を集中することを目的に、2016年9月1日をもって宝鋼日立金属軋輥(南通)有限公司の生産を打ち切りました。また、射出成形機用部品は、携帯端末の需要減少の影響を受けました。この結果、ロール全体としては前年同期と比べて減少しました。
軟質磁性材料およびその応用品については、中国向けの減少により、前年同期を下回りました。
②磁性材料
当セグメントの売上収益は、前年同期比11.7%減の48,499百万円となりました。また、営業利益は、前年同期比119百万円増加し、3,685百万円となりました。
希土類磁石については、電動パワーステアリングおよびハイブリッド自動車向け等の自動車用電装部品の需要が好調に推移しましたが、産業機器および家電関連の需要は前年同期並みとなりました。フェライト磁石については、自動車用電装部品、家電用部品ともに好調でした。しかしながら、当セグメント全体としては原材料価格の下落(価格スライド制)や為替相場の円高基調が継続した影響で前年同期を下回りました。
③高級機能部品
当セグメントの売上収益は、前年同期比14.0%減の162,468百万円となりました。また、営業利益は、前年同期比3,042百万円減少し、9,140百万円となりました。
自動車用鋳物については、北米において、ピックアップトラック向けは好調を維持しましたが、新興国経済の減速や穀物・原油価格の下落等の影響を受け、農業機械・建設機械向けの需要が減少したため、全体としては前年同期と比較して減少しました。耐熱鋳造部品は、欧州向けが堅調に推移したほか、米国・アジア向けも大きく伸長し、前年同期を上回りました。アルミホイールは、需要は堅調でしたが為替相場の円高基調が継続した影響により、前年同期を下回りました。
配管機器については、継手類は、住宅向けは国内・海外とも住宅着工戸数の増加に伴い伸長しましたが、国内で大規模建設工事の遅れの影響があり、全体としては前年同期と比較して減少しました。
④電線材料
当セグメントの売上収益は、前年同期比19.6%減の118,656百万円となりました。また、営業利益は、前第1四半期連結会計期間に事業再編等利益2,249百万円を計上していたことから、前年同期比950百万円減少し、5,394百万円となりました。
電線については、巻線や建設向けが減少しましたが、注力分野である鉄道車両用電線が中国向けを中心に大きく伸長しました。
機能品については、自動車部品は、自動車用電装部品、ブレーキホースとも堅調となりました。医療用プローブケーブルは、海外向けの需要減により、前年同期を下回りました。
情報システムについては、通信事業者の設備投資の調整が継続しました。
⑤その他
当セグメントの売上収益は、前年同期比42.7%減の1,474百万円となりました。また、営業利益は、前年同期比17百万円減少し、134百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動の結果得られた資金が投資活動および財務活動で使用した資金を上回ったものの、現金及び現金同等物に係る為替変動による影響があったことにより、前連結会計年度末に比べ1,059百万円減少し、119,241百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、35,219百万円となりました。これは主に四半期利益が18,278百万円、減価償却費及び無形資産償却費が21,153百万円あったこと等によるものです。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は、26,008百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が27,312百万円あったこと等によるものです。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
財務活動に使用した資金は、5,072百万円となりました。これは主に短期借入金の純増が6,204百万円あった一方、配当金の支払が5,678百万円、長期借入債務の償還が5,597百万円あったこと等によるものです。
(3)対処すべき課題
①事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
②当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、開発型企業として、継続的に基盤技術の高度化を図り、新技術に挑戦することによって新製品及び新事業を創出し、新たな価値を社会に提供し続けることを事業活動の基本としております。これを推進するため、株式会社日立製作所を親会社とする日立グループの一員として、同社との関係において事業運営及び取引では自律性を維持しつつ、研究開発協力等を通じて同グループ各社と緊密な協力関係を保ち、その経営資源を有効に活用することで、高品質の製品及びサービスの提供を図ることとしております。また、当社は、上場会社として、常に株主、投資家及び株式市場からの期待及び評価を認識し、情報の適時かつ適切な開示に努めるとともに、持続的成長の実現に資する経営計画の策定、企業統治の強化等を通じて、合理的で緊張感のある経営を確保することが重要であると認識しております。これらにより、当社は、企業価値の向上及び親会社のみならず広く株主全般に提供される価値の最大化を図ってまいります。
(4)研究開発活動
当社の研究開発はマーケットイン志向のディビジョンラボ制を採っております。各カンパニーはそれぞれの事業戦略に沿って、各カンパニーの研究開発部門で開発を推進しております。さらに、次世代の主力となる新製品・新技術や基盤技術は、株式会社日立製作所の各研究所と強い連携体制を組んで開発を進めております。また、日立グループ関連事業部門と連携して新用途も開拓しております。一方、将来の新製品に繋がる新材料・新技術シーズの発掘には、海外を含めた大学等の社外機関との共同研究を積極的に活用しております。これらの中で、全社的に重要な新製品・技術については、経営幹部も参画した研究開発制度で開発を進めております。
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は9,475百万円であります。
各事業分野別の研究主要課題は次のとおりであります。
①高級金属製品
金型・工具、産業機器、航空機・エネルギー、エレクトロニクス等の分野に向けた高級特殊鋼、アモルファス金属材料・ナノ結晶軟磁性材料、各種圧延用ロール、構造用セラミックス部材等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は2,578百万円であります。
②磁性材料
高性能磁石、情報端末用高周波部品部材、その他各種磁石および応用製品等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,215百万円であります。
③高級機能部品
自動車用高級鋳物製品と輸送機器向け鋳鉄製品、排気系耐熱鋳鋼部品、アルミホイール、その他アルミ二ウム部品、自動車用鋳造部品と、管継手・バルブその他の設備配管機器の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は1,282百万円であります。
④電線材料
産業用・車輌用・通信用・機器用・自動車用等の各種電線及び巻線に関連する電線製造技術と接続技術、自動車用電装部品・ホース、工業用ゴム、情報ネットワーク機器、放送/携帯電話基地局用アンテナ等の開発を行っております。当事業に係る研究開発費は4,400百万円であります。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当第2四半期連結累計期間における世界経済は、先進国を中心に緩やかな回復基調が続きました。米国・欧州では企業部門の一部指標で弱い動きが見られましたが、雇用環境の改善等により景気の緩やかな回復が続きました。中国では政府による景気てこ入れ策により、一部に持ち直しの気配も見られましたが、経済成長は依然として鈍化した状態が続きました。これに伴い新興国経済も減速感が継続しました。こうした中、我が国の経済は、雇用環境の改善を背景に個人消費は底堅く推移しましたが、企業収益や設備投資の改善の動きに足踏みが見られ、為替の円高基調の継続や中国を始めとする新興国経済の動向による影響が懸念される状況が続きました。
当社グループの関連業界では、自動車は、国内において軽自動車の不振が継続したほか、米国もピックアップトラックは好調だったものの乗用車が減少しました。しかし、中国・欧州の需要が伸長した結果、全体としては前年同期と比較して増加しました。鉄鋼は、新興国経済の減速等の影響により世界の鉄鋼需要が停滞する中、中国の高水準な鋼材輸出に伴い需給の緩んだ状態が続きました。住宅着工戸数は、米国・国内ともに増加傾向が続きました。エレクトロニクス関連では、携帯端末が新興国での伸びが鈍化したほか、家電も夏以降に需要が伸び悩みました。
このような事業環境のもと、当社グループは、世界トップクラスの高機能材料会社の実現に向け、2018年度(平成31年3月期)を最終年度とする中期経営計画を遂行してまいります。本中期経営計画においては、勝てる事業体へ「変革」、そして新しい目標に「挑戦」をキーワードに基盤強化と成長戦略を推進していく中で、世界トップクラスの高機能材料会社を実現し、長期にわたり持続的な発展をめざしてまいります。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第2四半期連結会計期間末における当社グループの財政状態として、要約四半期連結財政状態計算書における増減を分析すると、以下のとおりであります。
資産合計は991,208百万円で、前連結会計年度末に比べ42,103百万円減少しました。流動資産は466,060百万円で、前連結会計年度末に比べ17,795百万円減少しました。これは主に売上債権が7,876百万円、棚卸資産が5,961百万円減少したこと等によるものです。非流動資産は525,148百万円で、前連結会計年度に比べ24,308百万円減少しました。これは主にのれん及び無形固定資産が14,046百万円、有形固定資産が7,753百万円減少したこと等によるものです。
負債合計は498,157百万円で、前連結会計年度末に比べ30,479百万円減少しました。これは主に長期債務が11,217百万円、買入債務が10,171百万円減少したこと等によるものです。資本合計は493,051百万円で、前連結会計年度末に比べ11,624百万円減少しました。これは主に利益剰余金が12,944百万円増加した一方、その他の包括利益累計額が24,069百万円減少したこと等によるものです。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループは、株主・投資家の皆様、ビジネスパートナーの皆様等当社グループを取り巻くステークホルダーとの関係を築きながら、より良い社会の実現に貢献するために、社会的責任を自覚した企業活動を行うことを基本方針としております。そのために、基盤技術の高度化と新技術への挑戦によって新製品・新事業を創出し、新たな価値を社会に提供してまいります。製品の開発、製造に当たっては、次世代に引き継ぐ環境に配慮した企業活動を促進いたします。さらに、企業情報の適時かつ適切な開示、地域社会への貢献などを通じて社会とのコミュニケーションを推進して、より広範な社会の視点を経営に反映し、社会との信頼関係を築きます。当社グループは、これらの企業活動を通して、企業価値の向上につなげてまいります。
当社グループを取り巻く事業環境は、短期的には上記(5)に記載のとおりですが、長期的にはグローバル戦略の実行を加速させ、事業領域の拡大・創出を行うとともに、より強固な経営基盤の確立をめざしてまいります。