有価証券報告書-第96期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/24 12:36
【資料】
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【項目】
144項目

事業等のリスク

当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクとしては、当社事業の大部分を占めるフェロニッケル製品に限定され、以下のものがあります。
なお、文中の将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 収益に影響する要因
① 販売価格に影響する要素
当社グループ事業の売上高の大部分をフェロニッケル製品の売上高が占めており、当製品価格の動向が当社グループ収益に大きな影響を及ぼしますが、当製品価格へ影響する主な要素としてLMEニッケル価格と外国為替相場があります。
② 各要素と販売価格との関係
LMEニッケル価格との関係では、当該価格が上昇すれば、フェロニッケル製品価格は上昇し、逆の場合は当製品価格が下降する関係にあります。
外国為替相場との関係では、US$と円との相場に関係しており、円安に進めば当製品価格は上昇し、逆の場合は当製品価格が下降する関係にあります。
どの要素も、当製品の国内外向けを問わず、当製品価格に影響いたします。
③ 変動リスクへの対応
当社は、一定期間の収益を安定させるため、その収益を確保すべく変動リスク対応策を実施する方針であります。LMEニッケル価格の変動リスクに対しては、販売数量の一部について、当リスクヘッジを考慮に入れた売買契約を締結しております。
外国為替相場の変動リスクについては、販売金額の一部について、為替変動リスクヘッジを実施する方針であります。
当社のリスクヘッジとしてのデリバティブ取引等は実需の範囲以内としております。
当社は、収益の安定と確保のため、両要素の変動に最大限の注力を払っておりますが、市場の急激な大幅変動により、予想収益を確保出来ない可能性があります。
(2) 販売数量に関する事項
当社グループ事業の売上高の大部分をフェロニッケル製品の売上高が占めており、当製品販売数量の動向は当社グループ収益に大きな影響を及ぼしますが、主需要先であるステンレス鋼業界の厳しい環境に伴うステンレス生産者の稼働率低迷、並びに海外ステンレス生産者の原料調達が比較的価格優位性の見られるニッケル銑鉄等へシフトしたこと等もあって厳しい販売環境となっており、当該環境の進行及び収益性を鑑みた営業戦略の見直し等によっては、計画された販売数量を維持できない可能性があります。
(3) 資材調達に関する事項
原料の調達先の確保
主原料のニッケル鉱石につきましては、現在、フィリピン及びニューカレドニアより輸入しておりますが、当社は安定調達を目的として、各調達先鉱山会社とは長期購入契約を締結、フィリピンの鉱山会社には、資本参加並びに各社に対して鉱山開発及び探鉱開発等に係るアドバイスまた随時技術援助並びに資金援助等を行っております。
当社は、資源ナショナリズム進展等に伴った各諸国の動向により、計画された資源調達量を確保できない可能性があります。
(4) 棚卸資産の評価
当社グループは、棚卸資産の評価について、主として将来に販売が見込まれる棚卸資産の正味売却価格に基づき行っており、LMEニッケル価格の大幅な下落等により、棚卸資産の収益性の低下が認められた場合には、棚卸資産の簿価切り下げ額を売上原価に計上することにより、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(5) 固定資産の減損
当社グループは、将来的にも当社グループの固定資産の時価が著しく下落した場合や事業の収益性が悪化した場合には、固定資産減損会計の適用により固定資産について減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。
(6) 災害、事故等による影響
当社グループは、会社、関連会社及び従業員等に重大な影響を及ぼす危機を未然に防ぐ体制を構築することを目的とした危機管理規定を設け、そのもとに「危機対策会議」を組織し、災害及び事故等についての事前防止活動、定期的な設備の点検等を行っており、有事において緊急対策を講ずるため「危機対策本部」を設置することにしておりますが、重大な労働災害、設備事故及び自然災害が発生した場合には、生産活動の停止又は制約等により、業績に重大な影響を被る可能性があります。
(7) 気候変動に関するリスク
当社グループは、気候変動に伴い、気象災害等の物理的な変化に起因するリスク及び排出に関する規制等の脱炭素経済への移行に起因するリスクが考えられ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。気候変動による事業リスクについては、取締役社長を議長、経営の執行責任者を委員としたサステナビリティ推進会議を設け、2022年5月にTCFDの提言へ賛同を表明し、重要課題の解決へ向けて対策を積極的に進め、目標の達成に向けた取り組みを継続して参ります。
(8) 新型コロナウイルス感染症(以下、「感染症」という。)のリスクによる影響
国内外に影響を及ぼしている感染症に対して、当社グループでは、取引先及び従業員の安全を第一に考え、「感染拡大防止に関する行動指針」を策定し、出張の自粛、在宅勤務及びWeb会議の活用、手洗い、うがい等の徹底による感染予防等に努めております。また、販売先及び調達先の各国と密にコミュニケーションを取りながら、事業活動等に与える感染症の影響について、低減を図っております。
しかしながら、感染症の流行が長期化する場合、国内外の稼働低迷及び物流の停滞等によって、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。
(9) ウクライナ情勢による影響
ウクライナ情勢の緊迫化により、エネルギー価格高騰の影響は、当社グループの製造コストを上昇させる可能性はあります。数量に関して、生産面については、原燃料は安定したソースから調達しており、今後の生産数量への影響はないものと見込んでおり、販売面に関しては、直接的な影響はありませんが、製品の流通が変化する可能性は考えられます。このように、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性はあります。