有価証券報告書-第144期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/30 10:41
【資料】
PDFをみる
【項目】
144項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①景気変動について
当社グループの主要製品は、各分野における生産拠点で広く使用されており、また各種工作機械等に付属して出荷されております。このため、当社グループの受注量は設備投資の動向をはじめ景気動向全般に大きく影響を受け易い傾向にあります。
最近における当社グループの製品の売上構成は、情報産業用刃物を始め、鉄鋼用刃物、精密機械部品の構成が主力となっており、こうした分野においては景気の変動や技術革新とも関連し仕様の変更や量の変動も激しく、当社グループの業績も当該業界の動向に左右される可能性があります。
リスクへの対応策として、第12次中期経営計画に基づく重点施策を遂行し、日系企業も含め海外市場への積極的な営業活動や新鋼種による差別化製品の販売増、研究開発の製品化などの事業展開に取り組んでまいります。
②為替変動の影響について
当社グループにおける海外売上高比率は7.9%であり、このうち外貨建てによる売上高は28.3%となっているため、全売上高に占める割合は比較的少ないものの、今後も為替動向によっては当社グループの業績は影響を受ける可能性があります。
リスクへの対応策として、適宜社内為替レートの見直しを実施しており、必要に応じ為替予約や価格修正にも取り組んでまいります。
③金利の変動について
当社グループは運転資金及び設備投資資金を借入金に依存してきたため、総資産に対する借入金残高の割合が高くなっております。今後の金利の変動を含む経営環境の変化等によっては当社グループの業績に影響を受ける可能性があります。
リスクへの対応策として、支払金利の変動リスクを回避する目的で、一部の借入金において金利を実質的に固定化する金利スワップ取引を実施しております。
④材料価格の変動について
当社グループの主要なセグメントである機械刃物及び機械・部品の主原材料として使用する普通鋼および特殊鋼については、鉄鉱石・スクラップならびに合金要素などの原料価格上昇に伴い、鋼製品の購入価格が変動する可能性があり、対象となる鋼製品の購入価格の値上がりが、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
リスクへの対応策として、調達のグローバル化を進めることに加え、第12次中期経営計画に基づき情報産業用刃物を主とした重点品種の施策を遂行し、付加価値の向上を目指した品種構成により、材料価格の上昇分を吸収する事業展開を図ってまいります。
⑤繰延税金資産について
当社グループは、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測が変更され、将来の課税所得に基づいて繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。なお、繰延税金資産の計上は現行の税制度を前提として行っており、税制の改正が行われた場合にも影響を受ける可能性があります。
リスクへの対応策として、第12次中期経営計画に基づき情報産業用刃物を主とした重点施策を遂行し、安定的な収益を確保することにより持続的な課税所得の計上に取り組んでまいります。
⑥財務制限条項について
当社は、事業上必要な資金調達のため、金融機関との間でシンジケートローン契約を締結しており、これらの借 入契約には、純資産の維持及び経常利益の確保等に関して財務制限条項が付加されております。今後、当社グループの経営成績が著しく悪化するなどして財務制限条項に抵触した場合、借入先金融機関の請求により当該借入について期限の利益を喪失し、一括返済を求められるなどして、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
リスクへの対応策として、第12次中期経営計画に基づき情報産業用刃物を主とした重点施策を遂行し、安定的な収益を確保することにより持続的な利益の計上に取り組んでまいります。財務制限条項に抵触する可能性が生じた場合には、金融機関との話し合いを通して条項の見直し交渉を行ってまいります。
⑦新型コロナウイルス感染症について
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、客先稼働減少による受注減少など当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、詳細は「第2「事業の状況」 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(4)会社を取り巻く経営環境及び対処すべき課題」をご参照ください。
⑧自然災害等について
地震等の自然災害や火災等の事故によって、当社グループの生産拠点等の設備が壊滅的な損害を被る可能性があります。この場合は当社グループの操業が中断し、生産及び出荷が遅延することにより売上高が低下し、生産拠点等の修復のために多額の費用を要することとなる可能性があります。さらに、社会的な生産活動の停滞、原材料の供給不足、日本市場の消費意欲の低下といった間接的な影響を受ける可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
リスクへの対応策として、海外からの調達も含めサプライチェーンの拡大にも取り組んでおり、BCPの策定を検討してまいります。
⑨継続企業の前提に関する重要事象等の解消について
当社グループは財務制限条項の判定対象となる第1四半期連結会計期間末において、米中の貿易摩擦および感染症拡大の影響により受注が減少し、営業利益が減少したことによって、当社の長期借入金に係る四半期レバレッジ・レシオの財務制限条項に抵触し、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりました。また、同じく財務制限条項の判定対象となる第2および第3四半期連結会計期間末においても当該財務制限条項に抵触している状況が継続しておりました。金融機関からは、長期借入金の契約更新時期となる令和3年7月末日までは、期限の利益喪失による一括返還請求権は放棄する旨の同意を得られており、当連結会計年度以降の事業計画等をもとに契約更新の判断がなされることになっておりました。
この度、令和3年3月31日付で長期借入金に係るシンジケートローン契約の更新を行っておりますが、当該契約におきましては財務制限条項への抵触の事実はありません。このため、当連結会計年度末時点で継続企業の前提に関する重要事象等は解消しております。