有価証券報告書-第111期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 11:40
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【項目】
79項目

対処すべき課題

(1) 当社は品質第一主義の経営方針に基づき、お客様に満足頂く製品の開発や品揃えを中長期的経営の重点目標としております。また、販路の拡大と粗利益の改善を図る一方、販売費及び一般管理費の削減に努め合理的かつ効率的な経営を推進し、ROE(自己資本利益率)の向上を目指し、株主利益の拡大に努めてまいります。
会社が対処すべき課題として、現在展開中の具体的な取り組みは以下のとおりであります。
①当社の主力製品であるショベル・スコップについては、海外からの廉価品との競合等、厳しい環境下にあるが、ユーザー志向に沿った製品の品揃えを目指し、名実共に業界トップの維持・確保に全力を尽くす。
②土農工具・園芸用品については、新製品の開発、既存商品の改善、改良を重視し更なる拡充を図る。
③物流システム関連商品については、新規販路の拡大に加え、納入実績のあるユーザーに対するサービスの強化・掘起しを重点に顧客の満足度を満たす営業活動と技術の向上に力を注ぐ。
④少子高齢化時代に即応した安全で使いやすい商品の提供をはじめ防災関連用品等、時代の変化にマッチした斬新な商品企画・商品改革に全力を尽くす。
⑤その他人材の育成については、安全教育の徹底及びモラールの向上と規律正しい活力ある組織作りを目指し経営の効率性を図ると共にコンプライアンスの徹底、適時適正開示、リスク管理等を含め内部統制の更なる充実に力を注ぐ。
(2) 株式会社の支配に関する基本方針について
①基本方針の内容
当社取締役会は、上場会社として当社株式等の自由な売買を認める以上、当社取締役会の賛同を得ずに行われる特定の者の大規模買付行為(議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為)を受け入れるか否かは、最終的には当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えますが、当社株主の皆様が、その有する権利に関して重大な影響を持ちうる大規模買付行為に際して適切な判断を行うためには、大規模買付者からの情報提供のみならず、当社取締役会を通じた適切かつ十分な情報の提供および大規模買付行為に対する当社取締役会の評価や意見等の提供が必要不可欠なものであると考えます。
②当社の財産の有効な活用、適切な企業集団の形成その他の基本方針の実現に資する特別な取組み
当社は寛文元年(1661年)に創業いたしました。その後、明治24年にショベル、スコップの国産化に成功して以来、「良品声無くして人を呼ぶ」という経営理念に沿った品質第一主義の製品・商品創りに徹し、象印のシンボルマークをもって業界をリードするメーカーとしての地位を築いてまいりました。昨今の品質を度外視した海外からの廉価品が溢れる市場の中で、プロが作り、プロが使用する品質本位のモノ作りをする技術の伝承とともに、自然環境との共生、少子高齢化時代を見据えた新たな商品開発に徹することが、当社の社会的使命であり、これを実現していくことが、長期にわたり当社の企業価値を向上させ株主共同の利益確保に資するものであると考え、企画開発室を中心に新製品の開発、既存商品の改善等に取り組んでおります。
③会社支配に関する基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社株式等に対する大規模買付行為を行う場合の手続きとして、大規模買付者に対して、買付行為の前に、当社取締役会に対し十分な情報提供をすること、その後、当社取締役会がその買付行為を評価・交渉・代替案を提出する期間を設けることとするルール(以下「大規模買付ルール」といいます。)を定めました。この大規模買付ルールが遵守されない場合、株主の皆様の利益を保護する目的で、会社法その他の法律および当社定款により認められている対抗措置を講じます。
イ.大規模買付ルールの内容
当社取締役会が設定する大規模買付ルールとは、大規模買付者が事前に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報を提供し、それに基づいて当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大規模買付行為を開始するというものです。なお、大規模買付ルールに基づいて書面等の作成を要する場合には日本語によるものとし、また、資料等を提供する必要がある場合において、当該資料中に日本語以外の言語により作成されたものが存する場合には、提出者は日本語訳を添付していただきます。
(a)意向表明書の提出
大規模買付者には、大規模買付行為に先立って、当社宛に、大規模買付ルールを遵守する旨の意向表明書を提出していただきます。
意向表明書には、大規模買付者の名称、住所、設立準拠法、代表者の氏名、現在保有する当社株式等の数、国内連絡先および提案する大規模買付行為の概要を明示していただきます。
大規模買付行為の提案があった場合には、当社は、適時開示に関する法令および金融商品取引所の規則に従い開示します。
(b)情報提供
大規模買付者には、当社取締役会に対して、当社株主の皆様の判断および当社取締役会としての意見形成のために必要かつ十分な情報(以下、「大規模買付情報」といいます。)を提供していただきます。
当社は、上記意向表明書を受領した日の翌日から起算して10営業日以内に、提供いただくべき大規模買付情報のリストを意向表明書記載の大規模買付者の国内連絡先に宛てて発送します。
大規模買付情報の主な項目の概要は次のとおりです。
Ⅰ 大規模買付者およびそのグループの概要
Ⅱ 大規模買付行為の目的および内容
Ⅲ 当社株式の買付対価の算定根拠および買付資金の裏付け
Ⅳ 大規模買付行為完了後に最終的に経済的利益を得ることを目的として、当該買付資金を大規模買付者およびそのグループに供給している個人、法人等の概要
Ⅴ 大規模買付行為完了後に意図する当社の経営方針、事業計画等
なお、当初提供していただいた大規模買付情報を精査した結果、それだけでは不十分と認められる場合には、当社取締役会は、大規模買付者に対して必要な大規模買付情報が揃うまで追加的に情報提供を求めます。大規模買付行為の提案があった事実および当社取締役会に提供された大規模買付情報は、当社株主の皆様の判断のために必要であると認められる場合には、適切と判断する時点で、その全部または一部を開示します。
(c)大規模買付情報の検討および意見表明等
当社取締役会は、大規模買付行為の評価等の難易度に応じて、大規模買付者が当社取締役会に対し大規模買付情報の提供を完了した後、60日間(対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社全株式等の買付の場合。初日を含みません。)または90日間(その他の大規模買付行為の場合。初日を含みません。)を当社取締役会による評価、検討、交渉、意見形成、代替案立案のための期間(以下、「取締役会評価期間」といいます。)として与えられるべきものと考えます。
従って、大規模買付行為は、取締役会の意見公表後、または取締役会評価期間の経過後にのみ開始されるものとします。
取締役会評価期間中、当社取締役会は、特別委員会に諮問し、必要に応じ独立した外部専門家等(弁護士、公認会計士、ファイナンシャル・アドバイザー等を含みます。)の助言を受けながら、提供された大規模買付情報を十分に評価・検討し、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。
また、必要に応じて、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉し、当社取締役会として当社株主の皆様に対して代替案を提示することもあります。
ロ.大規模買付行為がなされた場合の対応方針
(a)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したものと判断される場合には、当社取締役会が、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。もっとも、大規模買付ルールが遵守されているものと判断される場合であっても、当該大規模買付行為が当社の企業価値または株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断した場合(以下、かような大規模買付行為を「濫用的買収」といいます。)、当社取締役会は当社の企業価値および株主共同の利益を守るために適切と考える対策を講じることがあります。具体的には次に掲げるいずれかの類型に該当すると判断される場合に、濫用的買収に該当するものと考えます。
Ⅰ 真に当社の企業経営に参加する意思がないにもかかわらず、株価を吊り上げて高値で株式を当社または当社関係者に引き取らせる目的であると判断される場合
Ⅱ 当社の経営を一時的に支配し当社の事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社に移譲させる目的で、当社の株式の買収を行っていると判断される場合
Ⅲ 当社の経営を支配した後に当社の資産を買収買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する目的があると判断される場合
Ⅳ 当社の経営を一時的に支配して、当社の不動産、有価証券等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかまたは一時的な高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けを目的としていると判断される場合
当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益を損なうか否かの検討および判断については、その客観性および合理性を担保するため、当社取締役会は、大規模買付者の提供する買付後における経営方針等を含む大規模買付情報に基づいて、独立の外部専門家等や特別委員会の助言を得ながら当該大規模買付者および大規模買付行為の具体的な内容(目的、方法、対象、取得対価の種類・金額等)や当該大規模買付行為が当社の企業価値および株主共同の利益に与える影響を検討し、監査役全員の賛同を得たうえで決定することとします。
なお、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守したと判断される場合であって、かつ、当該大規模買付行為が濫用的買収に該当しない場合であっても、当社取締役会として当該大規模買付行為についての反対意見を表明し、あるいは代替案を提示すること等により、当社株主の皆様を説得する行為を行うことがあります。
その場合、大規模買付者の提案に応じるか否かは、当社株主の皆様において、当該提案および当該提案に対する当社が提示する意見、代替案等をご考慮のうえ、ご判断いただくことになります。
(b)大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合
大規模買付者が、大規模買付ルールを遵守しない場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、株式分割、新株予約権の発行等、会社法その他の法律および当社定款の認めるものを行使し、大規模買付行為の開始に対抗する場合があります。
具体的にいかなる対抗策を講じるかについては、当社取締役会が、その時点で最善であると判断したものを選択いたします。
(c)具体的対抗策発動時に株主および投資者の皆様に与える影響等
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守られることを目的として、会社法その他の法律および当社定款により認められている対抗策をとることがあります。
しかしながら、当該対抗策の仕組上、当社株主の皆様(大規模買付ルールに違反した大規模買付者を除きます。)が法的権利または経済的側面において格別の損失を被るような事態が生じることは想定しておりません。
当社取締役会が具体的対抗策をとることを決定した場合には、法令および金融商品取引所規則等に従って、適時適切な開示を行います。
なお、対抗策として考えられるもののうち、株式分割および新株予約権の発行についての当社株主の皆様に関わる手続きについては、次のとおりとなります。
株式分割を行う場合には、当社株主の皆様にとりまして必要となる手続きは特にありませんが、別途当社取締役会が決定し、公告する株式分割基準日までに株主名簿に記載または記録の手続きを完了していただく必要があります。
新株予約権の発行または行使につきましては、新株予約権または新株を取得するために所定の期間内に一定の金額の払込をしていただく必要があります。かかる手続きの詳細につきましては、実際に新株予約権を発行することになった際に、法令に基づき別途お知らせいたします。ただし、当社取締役会が決定し、公告する新株予約権割当基準日における当社の株主名簿に記載または記録された株主に新株予約権が割当てられますので、当該基準日までに株主名簿に記載または記録の手続きを完了していただく必要があります。
(d)大規模買付ルールの廃止および変更
本対応方針を決定した当社取締役会においては、全取締役の賛成により決議されましたが、当取締役会には、社外監査役2名を含む当社監査役4名全員が出席し、いずれの監査役も、本対応方針の具体的運用が適正に行われることを条件として、本対応方針に賛成する旨の意見を述べました。
なお、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益の向上の観点から、会社法その他企業防衛に関わる法改正、司法判断の動向や分析等を踏まえ、今後必要に応じて本対応方針を変更し、または新たな対応策等を導入することがあります。
本対応方針の有効期限は、平成28年6月開催予定の定時株主総会終結後に最初に開催される取締役会の終了時点までとします。
また、有効期限満了前であっても、本対応方針は、当社取締役会の決議により廃止または変更されることがあります。当社取締役会は、本対応方針を継続、廃止および変更することを決定した場合には、その旨を速やかにお知らせいたします。
④本対応策が会社の支配に関する基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことおよびその理由
イ.本対応策が会社支配に関する基本方針に沿うものであること
本対応策は、経済産業省および法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保または向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を全て充足しています。
ロ.本対応策が当社株主の共同の利益を損なうものではないこと
本対応策は、①基本方針の内容に記載したとおり、当社の企業価値や株主共同の利益を確保し、向上させることを前提としております。
また、本対応策は、平成19年4月13日開催の当社取締役会にて決定し、同年定時株主総会において、平成22年6月開催の定時株主総会終結後の最初に開催される取締役会の日までを有効期限とし、当社の株式等大規模買付行為への対応方針としてまいりました。
その後、この対応策の一部に修正を加えながら、実質的に同一の内容にて更新することを平成22年6月29日開催の当社第106期定時株主総会および平成25年6月27日開催の当社第109期定時株主総会において、本対応策の継続に関し、株主の皆様のご承認をいただきました。これにより株主の皆様のご意向が反映されておりますので、本対応策は当社株主の共同の利益を損なうものではないと考えております。
ハ.本対応策が当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
大規模買付行為の対応策を適正に運用し、当社取締役会に恣意的な判断がなされることを防止するための独立機関として、引き続き特別委員会を設置いたします。
特別委員会の委員は3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするために、当社社外監査役および社外有識者(弁護士、公認会計士、税理士、学識経験者等)の中から選任します。
当社の大規模買付行為の対応策が、当社役員の地位の維持目的ではなく、当社の企業価値および株主共同の利益の確保ないしその向上という目的を達成するためには、客観的かつ合理的な判断を行うことが求められるため、重要な判断に際しては、原則として特別委員会に諮問することとし、当社取締役会は当委員会の勧告を最大限に尊重するものとしております。