有価証券報告書-第73期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/29 9:36
【資料】
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【項目】
141項目

事業等のリスク

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルス感染症拡大
現在、新型コロナウイルス感染症が世界規模で流行し、経済にさまざまな影響を及ぼしております。当社グループにおいても、大連工場では、春節休暇明けの従業員の工場復帰までに、感染予防対策として14日間の観察期間が必要となったため、当工場や外注先において人員不足が発生し、本社工場への輸出品の一部に遅延が発生しました。また、フィリピン工場は、移動制限措置により従業員の出勤が困難となり、本年5月4日まで操業を停止しました。当社グループでは、サプライヤーの協力と本社工場のバックアップにより生産体制を維持することができましたが、この状況は当社の売上原価を上昇させます。現在、大連工場とフィリピン工場は稼働していますが、再度の感染拡大により、バックアップによる生産が長く続くような状況になった場合や、原材料部品商品等の調達が困難となった場合、従業員の感染により工場が操業できなくなった場合、及び経済の停滞に伴い消費マインドが大きく後退し売上が減少した場合は、当社の経営成績を悪化させる可能性があります。
(2) 経済動向による影響
当社グループの営業収入の大部分は、国内需要に大きく影響を受けております。法律・制度の規制緩和や住宅政策の転換、金利動向により、新築・リフォーム需要が大きく変動した場合、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競争の激化
水栓市場は、同業他社との競争下にあり、厳しい価格競争が繰り広げられております。為替相場や原材料価格の変動による製造コストの上昇を販売価格に転嫁することは容易ではありません。当社グループの商品の優位性が保てず、価格競争が激化していった場合は、当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社グループは、商品の企画・開発・生産・営業・アフターサービスまで一貫して行う水栓金具専業メーカーであります。お客様の声を聞き、課題解決に向けた提案を行うことで、価格競争とは一線を画した営業に努めております。
(4) 製品の不良
当社グループの製品は水栓金具であります。水漏れを引き起こすような不良を発生させますと、当社の製品をご利用いただいているお客様の家屋や家財に大きな損害を及ぼす可能性があります。万が一、大量に不良品が発生した場合は、リコール費用や損害賠償等の発生や、信用低下による販売不振により当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社では、製造物責任賠償保険に加入し、万が一の発生に備えておりますが、品質が会社の生命線であると考えており、品質マニュアルに品質方針を定めて、品質マネジメントシステムを構築し、体系的な品質管理活動を展開しております。
(5) 原材料価格の高騰
当社グループは、製品製造のため、原材料、部品等さまざまな資材を調達しております。たとえば水栓の本体部分は銅合金から鋳造しております。銅は発電、建築、通信、基盤などにかかわるさまざまな製品に利用されているため、価格が景気動向に敏感に反応し、大きく変動する場合があります。需給環境の変化により原材料部品等の価格が高騰した場合は、当社グループの経営成績を悪化させる可能性があります。
当社グループでは、こうした環境の変化のなかにあっても安定した収益が確保できるよう、一貫生産体制のなかで、あらゆる無駄をなくし、コストダウンに努めております。また、日本、中国、フィリピンの3つの生産拠点で、どこで何を調達し、何をつくるのかを常に見直しながら、最適な生産体制の確立に努めております。
(6) 海外での事業活動
当社グループは、中国、フィリピンにおいても事業活動を行っており、法律・規制や租税制度の変更、テロ・内乱などによる政治的社会的混乱や予期し得ない経済情勢の悪化、グループ間取引における海外輸送中の事故やそれに伴う納期遅延等により、当社グループの経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
(7) 為替相場の変動
当社グループは、中国とフィリピンに子会社を有しているため、為替相場の変動リスクを負っており、相場の変動により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 自然災害等
当社グループは、製造ラインの中断による影響を最小化するために、生産設備などにおける定期的な災害防止点検、BCP計画の策定及び訓練の定期的な実施を行っております。しかし、生産施設で発生する人的あるいは自然災害などによる影響を完全に防止あるいは軽減できる保証はありません。当社グループの工場は岐阜県(加茂郡・飛騨市)、中国大連、フィリピンと分散しているものの、当社グループのサプライチェーンは中部地区に集中しており、当地区における大規模な地震やその他操業に影響する災害などが発生した場合、当社グループの経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
(9) 減損会計
当社グループは、「固定資産の減損にかかる会計基準」の適用に伴い、今後の地価の動向や事業展開などに伴う減損損失の計上により、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 退職給付債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。このため、実際の金利水準の変動や年金資産の運用利回りが悪化した場合、当社グループの経営成績・財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 人材の確保
当社グル-プの本社及び国内工場は岐阜県にありますが、岐阜県の人口は減少傾向にあり、生産年齢人口の割合をみると全国と比較して低くなっており、人材を確保しづらい環境にあります。将来において、適切な費用で必要な人材を確保できなくなった場合は、当社の事業運営に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、社員寮を準備するなど福利厚生の充実に努めるほか、適正な賃金水準の維持、教育制度の充実により必要な人材確保に努めております。
(12) 環境関連法規
当社グループは、さまざまな環境関連法規の制約を受けております。環境規制における特定有害物質が、基準を超えて社外へ漏洩した場合、または、環境規制の厳格化に適切に対応できなかった場合は、行政による査察・指導等により生産業務が停止する可能性があり、法的な賠償責任を負う可能性もあります。環境意識が高まりをみせる昨今では、こうした事態の発生は当社の企業イメージを著しく低下させることが予想され、当社の経営成績や財政状態を悪化させる可能性があります。
当社グループは、「環境関連法規の遵守」、「事業活動・製品及びサービスが環境に及ぼす影響に対する施策」、「社員・地域住民の安全・健康の推進を通じて会社の健全な発展を図る」ことを目的に環境管理規程を制定し、環境マネジメントシステムを運営しています。2000年7月には、環境管理の国際規格である「ISO14001」の認証を取得しており、省資源・省エネルギー、環境に配慮した製品開発、社会との協調・共生に取り組んでおります。