有価証券報告書-第82期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/25 15:31
【資料】
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【項目】
90項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは「お客さまとともに発展する」、「事業を通じた国際社会への貢献」、「創造と挑戦を実践する人づくり」、「高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行う」、「人と地球環境を大切にする」という5つの経営理念の下、市場環境の変化とともに急速に多様化するユーザーニーズに迅速・的確に対応し、社内外の経営資源を戦略的・効率的に活用することにより、金属加工機械、金属工作機械及びこれらに関連するソフトウエア・情報ネットワークシステム・技術サービスの各事業分野で最高のソリューションを提供し続けることで、長期的な成長と社会に貢献できる会社づくりを進め、持続的な企業価値の向上に努めています。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、2016年9月に創業70周年を迎え、次の10年そしてその先の100年企業を見据えた改革に取り組むため、2016年度から中期経営計画「Task321」を策定しています。
「Task 321」で目指すべき3つの水準(日本基準にて策定しています。)は次のとおりです。
経営指標目標値
・売上高30%増加(2015年度比)
(金額:4,000億円)
・経常利益率20%
(金額:800億円)
・ROE10%

(3)経営環境、経営戦略及び対処すべき課題
今後の外部環境については、新型コロナウイルスの感染拡大により世界的に経済成長率はマイナスになり、これにより設備投資も同様に推移することが想定され、当社への負の影響も避けられない状況が続くことが見込まれます。各国、各地域で景気後退緩和の為の景気刺激策等が打ち出されておりますが、感染の収束時期が見通せていないこともあり、その効果は不透明な状況です。
一方で、当社グループの主要な販売先である金属加工業界では、世界的な課題である環境問題による省エネ、省資源化需要の高まりに加え、予てから少子高齢化や労働賃金の上昇による製造現場での人手不足や後継者問題、技術伝承への課題等により、自動化、省人化需要が高まる中、新型コロナウイルスの感染拡大により、これらの自動化、省人化需要は一層高まっていくことが予想されます。
このような状況の中、当社グループでは中期経営計画「Task 321」の実現に向けて、戦略投資を着実に実施し、販売ネットワークの拡大や商品力の強化、新たなビジネスモデルの確立による成長戦略の実行、開発・製造一体となったモノづくり改革の推進やIoTを活用したサプライチェーン・マネジメント(SCM)構築によるさらなる収益性と効率性の向上、バランスシート改革による資本生産性の向上を図っていきます。またコーポレート・ガバナンス体制の強化をはじめ、環境活動や社会貢献活動にも積極的に取り組んでいきます。
具体的な施策といたしましては、次のとおりであります。
① 成長戦略の実行(売上高30%増加)
・革新的な技術の開発に基づくレーザビジネスの拡大
・ロボットやソフトウエアの技術を駆使した自動化ビジネスの推進
・「V-factory」によるIoTを活用した生産性向上の提案
・新素材加工技術の追求による非金属市場での事業拡大
② 強固な収益体質の確立(経常利益率20%)
・製造と開発が一体となったモノづくり改革の推進による品質・コスト・納期の追求
・製造IoT改革によるヒトに優しい最先端のモノづくりの実現
・ビッグデータ解析を活用した予防保全・予知保全によるサービス品質の向上と効率化
③ 資本の生産性向上による企業価値向上(ROE10%)
・現地生産化の推進によるリードタイム短縮や、地域SCM体制構築による棚卸資産の最適化
・遊休不動産等のノンコア資産の整理・売却
・有価証券等の政策保有株式の縮減
④ ESGへの積極的な取り組み
・"AMADA GREEN ACTION"に基づく環境に配慮した商品の企画と生産体制の推進
・地域社会、文化、教育、スポーツなど幅広い分野での社会貢献活動を通じて社会に必要とされる会社を目指

・高い倫理観と公正性に基づいた健全な企業活動を行うためのコーポレート・ガバナンス体制の強化
・仕事の進め方から見直す「働き方改革」の推進、女性活躍を後押しする人事制度の整備
また当社は、2020年4月1日、当社は主力の板金事業を担う子会社を統合し、「株式会社アマダ」となりました。これまで当社グループは、金属加工機械の総合メーカーとして確固たる地位を築いてまいりましたが、新しい時代のニーズに対応するため、素材やそこから生み出される製品にフォーカスし、新たな加工技術や工法などの開発に軸足を移していきます。また、お客さまの生産工程の全体を最適化するプログラムやソフトウエアといったアプリケーション技術を磨いていくことが新たな価値創造につながると考えています。さらに、将来のモノづくりのあり方を見据え、AIやIoTといった先端技術を活用しながら未知の領域での事業創出にも取り組んでまいります。
当社グループといたしましては、以上のような諸施策を着実に推進・実行することにより、強固な体制構築とさらなる企業価値の向上を図るとともに、金属加工機械の世界トップメーカーとしての地位を不動のものとしてまいります。