有価証券報告書-第124期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/31 10:48
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【項目】
163項目

研究開発活動

当社グループ(当社及び連結子会社)は、「中期経営計画2019」(2017~2019年度)において、『着実な成長』『高収益企業体』『たゆみなき業務品質改善』『組織統合、M&A及び他社との事業提携』『CSRの積極推進』を基本方針として掲げ、一流の商品とサービスの提供を通して社会に貢献することを目指してきております。具体的には「商品一流化活動」を推進し、顧客の収益性向上に貢献する「知性に富んだ魅力的な商品(スマート商品)」の開発など、当社グループ一丸で取り組んでおります。
当連結会計年度の研究開発投資総額は188億円であり、セグメントごとの主な研究開発成果は次のとおりであります。
(1) 機械コンポーネント
減・変速機につきましては、今までにないコンパクト・高トルク・高剛性を実現した精密制御用Eサイクロ減速機「ECYシリーズ」を市場投入しました。許容ピークトルクが一般的な波動歯車装置(同等サイズ)の約1.5倍(代表値)あるため、産業用ロボットなどの小型・軽量化に貢献します。
当該部門に係る研究開発費は18億円であります。
(2) 精密機械
プラスチック加工機械につきましては、全電動小型射出成形機「SEEV-A」のラインアップに「SE30EV-A」が加わりました。超高精度のカメラレンズやコネクタをはじめとする小物精密成形品に対応します。また、超高速全電動射出成形機「SEEV-A-SHR」を市場投入しました。モバイル端末のディスプレイや筐体の大画面化、薄肉化に対応します。さらに、全電動中型射出成形機「SEEV-A-HDシリーズ」に容器成形向けハイサイクル装備の仕様を追加した「CT-6 spec.」が加わり、容器関連業界の高い生産要求に対応しました。また、成形現場への付加価値提案として、既存のIoT商品である「i-Connect」と検査装置などを組み合わせたトレーサビリティシステムの開発にも取り組み、従来は膨大な労力を必要としていた管理工数を削減します。
精密機器につきましては、超電導マグネット冷却用途向けに高効率4K-GM冷凍機「RDE-418」を市場投入しました。従来機と同一サイズ、同じ圧縮機ユニットとの組み合わせにおける、4.2Kでの冷凍能力を15%以上向上させ、より高い熱負荷への対応を実現しました。
圧延ロールにつきましては、LMD(レーザメタルデポジション)による大型鉄鋼搬送ローラを市場投入し、鉄鋼圧延ロールや蒸気タービン翼などへの展開を進めています。
制御システムにつきましては、フィルム搬送市場向けにIoTゲートウェイサーバ「GW010」を追加し、リモートモニタと品質管理機能を提供しました。また、製品検査市場向けにAI搭載型3次元追従外観検査システム「KITOV.one」を市場投入しました。多様な欠陥を検出可能とし直感的な操作性を実現しました。
精密ステージシステムにつきましては、マスク描画装置向けに「CA230L5」を追加し、精度とメンテナンス性を改善しました。
レーザ加工システムにつきましては、パワーデバイス用レーザーアニール装置「SWA93シリーズ」を追加し、従来の加工プロセスを維持しつつ300mmウェハへの対応により高生産性を実現しました。また、汎用レーザ加工装置向けにレーザ発振器「Z'wsシリーズ」を追加し、コンパクトかつ高いメンテナンス性を実現しました。
研削盤につきましては、立軸円テーブル形平面研削盤「SVRシリーズ」に新たなテーブルサイズが加わりました。協働ロボットとの連携による省力化・省人化を提案します。また、門形平面研削盤の「自動プログラム機能」を改良し、作業者の負担軽減などを実現しました。
当該部門に係る研究開発費は65億円であります。
(3) 建設機械
建設機械分野では、作業性、経済性、環境保全性、安全性を追求した新商品開発及び研究に継続して取り組んでおります。 油圧ショベルにつきましては、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録された「お知らせ機能付周囲監視装置『FVM2』搭載油圧ショベル」が市場から高い評価を得ております。また、さらに安全性と作業効率を両立させた衝突軽減システム「FVM2+」を開発し、市場導入を開始しました。 建設用クレーンにつきましては、「SCX-3シリーズ」化を継続実施中で、国内向けに55tつりの「SCX550-3」、国外向けとしては一般海外向け80t・275tつり、北米向け300UStつり、韓国向け180tつりを市場投入しました。同シリーズは施主・オーナー・オペレータすべてに安心を提供するというコンセプトに基づき、従来機の優れた作業性能はそのままにシリーズ共通の新機能や省エネ性能、優れた分解組立性を実現しております。 当該部門に係る研究開発費は55億円であります。
(4) 産業機械
産業機器につきましては、加速器を用いたBNCT(ホウ素中性子捕捉療法)治療システムに関して、厚生労働省より世界で初めてBNCTに使用する医療機器として承認を取得しました。承認を取得した「BNCT治療システムNeuCure(ニューキュア)」並びに「BNCT線量計算プログラムNeuCureドーズエンジン」は、切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がんに対して使用することができます。
蒸気タービンにつきましては、電力の小規模分散化に対応し、高効率化要求の中型機では高圧段へ反動翼を搭載した復水タービンを市場投入しました。また、低価格要求の小型機では国内向けに2~3MWクラスの小型標準機を市場投入しました。
イオンビーム利用サービスにつきましては、マスク照射用のマスク自動アライメント装置の一部利用サービスを開始しました。
当該部門に係る研究開発費は31億円であります。
(5) 船舶
船舶につきましては、中期的なタンカー市場の変化に対応し、かつ、厳しい新環境規則や新燃料にも適合した顧客収益性の高い「中型タンカー」が好評を得ております。また、塗装技術や溶接技術のほか、生産管理の高度化にも取り組み、更なる品質と生産性の向上を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は3億円であります。
(6) 環境・プラント
水環境プラントにつきましては、民間向けでは、担体を用いた生物膜処理装置の「エアロインパクト」を市場投入しました。排水処理設備のリノベーションにおいて、既設水槽を有効活用した処理能力増強や、汚泥発生量の低減などの機能強化を図ることが可能となります。また、自治体向けでは、下水処理場の沈殿池向け汚泥かき寄せ機「SRノッチ」の形状を改善して耐久性を強化し、建設技術審査証明を取得しました。
化工機につきましては、中~高粘度液の微粒子製造装置「NANOVisK」が、ファインケミカル分野等で着実に使用拡大しております。
産業機械「バリホーマ」のホイール加工機につきましては、「MWシリーズ」を市場投入し、フルラインアップ化を実現しました。心押電動化により、さらなる省エネ、省メンテを実現しています。
空調機器につきましては、「超低露点ドライブース」を次世代全固体電池市場に投入しました。除湿ユニット「ドライサーマル」の性能向上させることで、室内露点温度-70℃以下を実現しました。
当該部門に係る研究開発費は16億円であります。
(サイクロは、住友重機械工業㈱の登録商標です) (i-Connectは、住友重機械工業㈱の登録商標です)
(FVMは、住友重機械工業㈱の登録商標です)
(NeuCureは、住友重機械工業㈱より商標出願中です)
(エアロインパクト/AEROIMPACTは、住友重機械エンバイロメント㈱より商標出願中です)
(SRノッチは、住友重機械エンバイロメント㈱の登録商標です)
(バリホーマは、日本スピンドル製造㈱の登録商標です)