有価証券報告書-第154期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 13:29
【資料】
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【項目】
121項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度における当社を取り巻く市場環境は、国内において年度前半は景気の緩やかな回復基調が続いていましたが、年度後半においては株式市場および為替市場ならびに資源市場の低迷から経済の先行き不透明感が増す状況にありました。海外においては原油をはじめとする資源市況低迷の影響および新興国経済の下振れリスク等が顕在化したことから、地域によっては不透明感が続く状況下にありました。
このような環境の下で当社グループは、平成25年度を初年度とする3ヶ年の中期経営計画の最終年度として、「環境・エネルギー分野への注力」と「海外ビジネスの拡大」、「全社的なコストダウン」をキーワードに事業活動を展開してまいりました。
水環境事業においては、国内上下水道案件の増設更新需要の取り込みや施設の運転管理、維持管理業務、補修工事等の営業活動を展開してまいりました。また、設備の建設と長期の維持管理業務が一体となったPFI(*1)、DBO事業(*2)やFIT(*3)を活用した発電関連分野への営業展開を進めてまいりました。
一方、産業事業においては、設備投資需要を取り込むために国内外におけるプラントおよび単体機器、さらには環境関連設備の営業活動を幅広く展開してまいりました。
また、手持工事の完成に向けて尽力するとともに、主要機器の一部を海外企業へ製造委託していくなどのコストダウン活動を引き続き展開してまいりました。
その結果、当連結会計年度における当社グループの業績は次のとおりとなりました。
受注高は802億63百万円(前期比20.2%増)、売上高は757億58百万円(前期比0.2%増)となりました。また、損益面につきましては、営業利益は54億85百万円(前期比4.0%増)、経常利益は55億27百万円(前期比3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は30億55百万円(前期比8.6%減)となりました。
*1:PFI(Private Finance Initiative)
施設整備を伴う公共サービスにおいて、民間の有する資金、技術、効率的な運用ノウハウなどを活用する仕組み
*2:DBO(Design Build Operate)事業
事業会社に施設の設計(Design)、建設(Build)、運営(Operate)を一括して委ね、施設の保有と資金の調達は行政が行う方式
*3:FIT(Feed-in Tariff)
再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度(固定価格買取制度)
当社グループは、事業の概要および業績について、上下水道設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学、鉄鋼、食品等の産業用設備および廃液や固形廃棄物処理等環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としておりますが、その主要な事業内容は以下のとおりであります。
事業区分主要な事業内容
水環境事業1)浄水場・下水処理場等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される脱水機、乾燥機、焼却炉等各種単体機器の設計・製造・販売
3)浄水場・下水処理場におけるPFI、DBO事業
4)浄水場・下水処理場設備の運転・維持管理・補修およびこれらに付随する業務
5)下水処理場における消化ガス発電事業
産業事業1)化学、鉄鋼、食品等プラントの設計・建設
2)上記プラントに使用される晶析装置、酸回収装置、ろ過機、分離機、乾燥機、ガスホルダ等各種単体機器の設計・製造・販売
3)廃液・廃水・固形廃棄物処理等プラントの設計・建設
4)バイオマスエタノール製造プラントの設計・建設
5)真空技術応用装置および関連部品の設計・製造・販売
6)一般・産業廃棄物処理事業
その他1)大型図面・各種書類等の印刷・製本
2)事務所ビル・駐車場等の不動産管理・賃貸

当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりであります。
(水環境事業)
水環境事業においては、公共投資は年度前半には底堅い動きを見せていたものの年度後半にかけて緩やかな減少傾向が続く状況にありました。また、複数年および包括O&M業務(*4)や設備建設と長期の維持管理業務を一体化したPFI、DBO事業等の発注は引き続き増加しております。
このような状況の下で当社グループは、国内の上下水道用汚泥処理設備の増設・更新需要を取り込むために、下水処理場向け汚泥消化ガス関連設備、次世代型汚泥焼却設備の営業を強化、推進してまいりました。また、O&M業務においても補修工事および包括O&M業務の営業活動を展開してまいりました。その結果、汚泥処理設備においては次世代型汚泥焼却設備の連続受注を果たしました。またO&M業務においては、施設の長寿命化対策などを反映した大型補修工事の受注を獲得するとともに、下水処理場および複数の周辺設備の維持管理およびユーティリティ調達を含んだ大型包括O&M業務の受注を獲得するなど、受注の確保を推進してまいりました。さらにFITを活用した汚泥消化ガス発電事業においても、優先交渉権を獲得するなど長期安定収益事業の比率を一層拡大する取り組みを推進してまいりました。
その結果、当連結会計年度における水環境事業の受注高は430億25百万円(前期比8.9%増)、売上高は431億5百万円(前期比4.0%減)、営業利益は31億30百万円(前期比27.5%減)となりました。
*4:包括O&M業務
設備の運転管理業務だけでなく、設備の補修工事や薬品等の供給も含めた包括的な維持管理業務
(産業事業)
産業事業においては、国内において年度前半は景気の緩やかな回復基調が続いていましたが、年度後半においては株式市場および為替市場ならびに資源市場の低迷から経済の先行き不透明感が増してくる状況にありました。一方、海外においては、原油をはじめとする資源市況低迷の影響および新興国経済の下振れリスク等が顕在化したことから地域によっては不透明感が続く状況下にありました。
このような状況の下で当社グループは、国内外における各種プラント設備および乾燥機、分離機、ろ過機、ガスホルダ等の単体機器の営業活動を展開してまいりました。特に国内外の化学分野および食品分野における設備投資需要や更新需要の取り込みに注力してまいりました。また、環境関連においては、国内および海外向けに廃液燃焼システムや廃酸処理設備、固形廃棄物焼却設備等の営業活動を展開してまいりました。
その結果、当連結会計年度における産業事業の受注高は372億3百万円(前期比36.5%増)、売上高は326億18百万円(前期比6.3%増)、営業利益は23億13百万円(前期比161.9%増)となりました。
(その他)
その他においては、当連結会計年度における受注高は34百万円(前期比30.9%減)、売上高は34百万円(前期比30.9%減)、営業利益は41百万円(前期比42.0%減)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は175億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ、1億58百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、29億48百万円となりました(前連結会計年度は7億4百万円の支出)。これは主に、法人税等の支払額21億70百万円、仕入債務の減少額25億42百万円等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益の計上50億65百万円、たな卸資産の減少額13億円および売上債権の減少額12億40百万円等の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、18億3百万円となりました(前連結会計年度は48億54百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出14億47百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、20億78百万円となりました(前連結会計年度は9億4百万円の支出)。これは主に、配当金の支払額9億79百万円および短期借入金の返済による支出8億20百万円等があったことによるものであります。