有価証券報告書-第52期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/28 15:28
【資料】
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【項目】
63項目

業績等の概要

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当連結グループが判断したものです。
(1) 業績
当連結グループは、グローバルなサポート体制の確立とシェア向上、原価低減を進め収益確保に努めると共に、事業・コスト構造改革を進め、体質強化と経営の効率化に取り組んでいます。また、地域市場に最適な製品やお客様のライフサイクルコスト低減に繋がるソリューションの提供を促進すべく、グローバルな研究・開発体制の構築と開発マーケティングの強化を推進しています。
建設機械については、需要環境が厳しい中、代理店の販売力・アフターサービス力の強化を図っています。お客様の機械を総合的にサポートするサービスメニュー「ConSite(コンサイト)」のグローバル展開や、部品供給体制の拡充等により、部品・サービス事業の拡大に努めています。また、ホイールローダ事業に関しては、2015年10月に株式会社KCMを連結子会社化し、製品のシリーズ化及び更なるグローバルでの販路拡大に努め、同事業の強化を図っています。
マイニング機械については、高度な車体安定化制御を実現したリジッドダンプトラックAC-3シリーズをベースにしたトロリー仕様機や高地仕様機の拡販に努め、鉱山機械の運行管理システムの提供や鉱山運営の効率化への取り組み等、日立グループの力を合わせてより高度なレベルの顧客サポート体制の構築を進めています。
以上の結果、当連結会計年度の売上収益については、建設機械及びマイニング機械需要の低迷を受け、前連結会計年度比93%の7,583億3千1百万円となりました。営業利益は需要の減少に伴う物量減に加え、円高による為替影響と事業・コスト構造改革に伴う特別費用の影響により前連結会計年度比54%の340億5千2百万円となりました。税引前当期利益については営業利益の減少に加えて金融収支及び為替差損により前連結会計年度比42%の245億1千7百万円、親会社株主に帰属する当期利益は税負担率の影響により前連結会計年度比34%の88億4百万円となりました。
[日本]
日本の建設機械需要については、排ガス規制前の駆け込み需要でホイールローダ・ミニショベルは前年度より増加しましたが、油圧ショベルは排ガス規制に伴う駆け込み需要の反動を受け前年度に続き大幅に落ち込みました。
このような状況下、日立建機日本株式会社ではRSS(レンタル・セールス・サービス)が一体となり、ワンストップでお客様のニーズに最適なソリューションを提供する事で顧客満足を拡大し、RSS複数部門とお取引いただけるお客様の増大を推進すると共に、小型建機の営業活動に注力し売上の確保を図りました。また、株式会社KCMを第3四半期から連結子会社化しました。
[米州]
北米の建設機械需要は、住宅着工が堅調に推移したことに伴い、ミニショベル・小型ショベルの需要は増加しましたが、一方で原油安に伴いエネルギー関連投資が減少したことにより、全体として油圧ショベルは前年度から減少となりました。中南米では、政情不安や資源価格の低迷等により、建設機械需要は前年度を大幅に下回りました。
マイニング機械需要は、資源価格低迷の影響が続き、依然として米州全体で低調に推移しました。
このような状況下、ディア社との協力体制のもと、各国の規制に適合した機械の生産体制を整え、北中南米で拡販を推進しました。
[欧州]
欧州の建設機械需要は、ミニショベルはドイツ・イタリアで大きく伸長し、全体では増加しました。油圧ショベルは南欧にて増加が見られましたが、特に英国・フランスにおけるレンタル需要低迷の影響を受け、全体では微減となりました。
このような状況下、当連結グループは各国代理店へのサポート強化や、低燃費型の油圧ショベルやホイールローダの積極的な拡販を図りました。
[ロシアCIS・アフリカ・中近東]
ロシアにおいては、日立建機ユーラシア販売LLCを通じて応用製品・ホイールローダの拡販を含む代理店サポートを継続し、建設機械・マイニング機械の拡販に努めましたが、建設機械需要の大幅な減少に伴い、販売は低迷しました。
南部アフリカではマイニング機械を中心に、北西アフリカでは代理店と共にインフラ関連向け建設機械の販売・サービス強化に努めました。
中近東では、インフラ関連案件を中心に引き続き拡販に注力しました。また、湾岸諸国向けにインド製油圧ショベルを導入し、新規顧客層の開拓に努めました。
[アジア・大洋州]
資源国のインドネシア・オーストラリアのマイニング機械需要は引き続き低迷しました。建設機械需要は、オーストラリア・タイ・フィリピンでは増加しましたが、インドネシア・マレーシア等で減少が続き、全体としては減少しました。
インドでは、石炭・採石等、一部インフラ投資向け需要の増加傾向が継続し、前年度を上回りました。
このような状況下、アジア・大洋州では営業支援システムの全面的な活用を通して代理店の営業力強化を図り、拡販に努めました。インドのタタ日立コンストラクションマシナリーCo.,Pvt.,Ltd.は、原価低減・品質向上に努めると共に、新型機及び大型機の拡販を図りました。
[中国]
不動産投資の鈍化や各種産業の過剰在庫の調整により固定資産投資の伸び率は引き続き鈍化しました。政府による景気対策はあるものの地方政府を中心に財政調整局面が続き、現存工事の進捗停滞、新規工事の発注遅延等が影響し、建設機械需要は大幅な減少が続きました。なお、2016年春節後は4月からの新排ガス規制に伴う駆け込みの影響もあり前年度を上回りました。
このような状況下、当連結グループは営業支援システムやサービス・部品販売管理システムの活用及び「Global e-Service」システムの活用により、高稼働の地域・お客様にターゲットを絞った効率的な営業活動を推進し、本体並びに部品の拡販に努めました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は791億1千万円となり、当連結会計年度期首より276億7千7百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動に関するキャッシュ・フローは、当期利益が103億円、減価償却費319億6千6百万円、売掛金及び受取手形の減少406億5千万円、ファイナンス・リース債権の減少117億4千1百万円、棚卸資産の減少598億1千8百万円を計上する一方、買掛金及び支払手形の減少146億5千4百万円等がありました。
この結果、当連結会計年度は1,148億7千4百万円の収入となりました。
(投資活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の投資活動に関するキャッシュ・フローは、主として、有価証券及びその他の金融資産(子会社及び持分法で会計処理されている投資を含む)の売却321億8千4百万円、長期貸付金の回収105億6百万円があったものの、有形固定資産の取得175億1千5百万円等があったため182億5千5百万円の収入となりました。
(財務活動に関するキャッシュ・フロー)
当連結会計年度の財務活動に関するキャッシュ・フローは、主として、短期借入金の減少462億2千6百万円、社債及び長期借入金の減少311億8千6百万円、配当金(非支配持分株主への配当金を含む)の支払168億9千9百万円等があったことにより981億6千3百万円の支出となりました。
(3)並行開示情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに関する項目との差異に関する事項につきましては、日本基準に基づく連結財務諸表を作成しておらず、差異の金額を算定することが困難であるため、以下のとおり定性的な情報を記載しております。
(のれん)
日本基準ではのれんを償却していましたが、IFRSでは償却を行っていません。
(従業員給付)
日本基準では、数理計算上の差異及び過去勤務費用のうち、当期の費用として認識しなかった部分をその他
の包括利益累計額にて認識し、将来の一定期間にわたり純損益として認識しています。また、勤務費用、利息費用及び期待運用収益を純損益として認識しています。
一方、IFRSでは、確定給付型企業年金制度及び退職一時金制度から生じる再測定は、その他の包括利益にて認識しています。再測定は、確定給付制度債務に係る数理計算上の差異、制度資産に係る収益(制度資産に係る利息収益の金額を除く)により構成されています。過去勤務費用は直ちに純損益として認識しています。また、勤務費用は発生時に純損益として認識し、純利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しています。
(法人所得税)
内部未実現利益の消去に伴う税効果について、日本基準では繰延税金資産を売却元の実効税率を用いて計
算していましたが、IFRSでは売却先の実効税率を用いて計算しています。