四半期報告書-第111期第1四半期(平成28年3月1日-平成28年5月31日)

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2016/07/14 16:17
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 業績の状況
当第1四半期連結累計期間(平成28年3月1日~平成28年5月31日)におけるわが国経済は、企業収益の改善に足踏みが見られる中、企業の設備投資は回復基調で推移いたしました。また、雇用情勢は改善傾向に推移しているものの、消費マインドには足踏み傾向が見られ、概ね横ばいとなりました。一方、世界経済は景気の減速や急速な円高の進行などから不透明感の強い状況が続いており、中国の景気は民間企業の設備投資が減速傾向に推移し、個人消費は所得の増勢鈍化により減速しているものの、国有企業や政府機関が設備投資を積極化していることから、公共投資拡大などにより、雇用情勢が改善傾向となり底割れは回避されるものと見られます。
このような状況の下、当社グループは、試験機・計測機器の開発・設計・生産からメンテナンス・校正・受託試験サービスまで、高度な技術力によりワンストップソリューションを提供し、産業界や各種研究機関を中心に広くご愛顧いただきました。また、画期的なアイデアと独自の技術で開発したゆるみ止めナットとナットの脱落を防止するゆるみ止めスプリングの製造販売の拡大を進めるとともに、一般消費者向けの住宅・生活関連サービス等を行いました。さらには、中国子会社にてオフィス家具部品や自動車関連部品、家電関連部品等となるプラスチック加工製品を製造し、日本や欧米向けに販売を行いました。
当第1四半期連結累計期間につきましては、試験機事業において海外向けの大型案件の売上が計上されたこと、エンジニアリング事業および海外事業においては、前連結会計年度末より新たに開始しました訪日客をターゲットとした量販店向け商品の製造・販売の規模拡充を行ったことにより、売上高は1,422,618千円(前年同期比20.1%増)となりました。利益面につきましては、試験機事業の生産工程の製造原価マネジメントを引き続き推進したことにより、粗利を改善し、また、海外事業を担っている無錫三和塑料製品有限公司において業務執行体制刷新を行い、新規取引先の開拓、生産体制を見直し効率化を行ったことにより、営業利益は91,038千円(前年同期は22,167千円の営業損失)、経常利益は80,424千円(前年同期は17,572千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純利益は67,589千円(前年同期比70.3%減)となりました。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が前年同期比で大きく減少しておりますが、前年同期には子会社であった㈱KHI(平成27年7月24日付けで特別清算手続き終結決定)に対する金融機関等の債権放棄に係る債務免除益260,174千円を特別利益として計上するという特別な要因があったためであります。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① 試験機事業
試験機事業では、企業の設備投資が回復基調に推移したことをうけ、継続的かつ積極的な営業活動に取り組むとともに、代理店販売の支援・強化を行い多面的な営業活動を行った結果、当第1四半期連結累計期間において海外向けの大型案件の売上を計上するなど販売面は堅調に推移いたしました。また、生産面におきましても、生産工程の原価マネジメントの見直しを継続的に行うとともに、経営資源の選択と集中を行ったことにより経費節減を進めました。
以上の結果、試験機事業の売上高は831,685千円(前年同期比18.0%増)、営業利益151,130千円(前年同期比60.5%増)となりました。
② エンジニアリング事業
エンジニアリング事業の中核事業である締結具事業では、主力製品であるハイパーロードナットおよびゆるみ止めスプリングの高速道路や電力関係等のインフラ施設や公共事業関連施設を対象に販売体制の強化を行いました。また、前連結会計年度において、主要顧客と共同開発や共同特許出願等を行ったことなどから、よりユーザー視点に立った製品をご提供するに至りました。
エンジニアリング事業のうち民生事業では、前連結会計年度末より新たに開始しました訪日客をターゲットとした量販店向け商品の製造・販売の規模拡充を行いました。
以上の結果、エンジニアリング事業の売上高は124,392千円(前年同期比34.9%増)、営業利益15,589千円(前年同期比203.0%増)となりました。
③ 海外事業
海外事業では、無錫三和塑料製品有限公司においてオフィス家具部品を中心に、日本や欧米向けに販売を行っており、新規取引先の開拓、生産体制の見直し・効率化、製造原価マネジメントの強化を行ってまいりました。また、エンジニアリング事業部門と連携し、当社グループの販売力と生産力を活かした製造受託を行ってまいりました。
以上の結果、海外事業の売上高は464,236千円(前年同期比19.8%増)、営業利益は4,710千円(前年同期は38,681千円の営業損失)となりました。
(2) 財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末における総資産は4,479,108千円となり、前連結会計年度末に比べ40,439千円減少いたしました。
流動資産は3,050,776千円となり、前連結会計年度末に比べ51,266千円減少いたしました。これは主に現金及び預金の増加175,180千円、受取手形及び売掛金の減少197,953千円、たな卸資産の減少53,246千円によるものであります。
固定資産は1,428,332千円となり、前連結会計年度末に比べ10,826千円増加いたしました。これは主に機械装置及び運搬具の増加14,801千円、工具、器具及び備品の減少12,794千円によるものであります。
流動負債は2,039,767千円となり、前連結会計年度末に比べ13,144千円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の減少53,443千円、1年内返済予定の長期借入金の減少67,404千円、短期借入金の増加47,905千円によるものであります。
固定負債は812,740千円となり、前連結会計年度末に比べ72,067千円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少55,260千円、退職給付に係る負債の減少8,449千円によるものであります。
純資産は1,626,600千円となり、前連結会計年度末に比べ44,772千円増加いたしました。これは主に利益剰余金の増加67,589千円、為替換算調整勘定の減少31,166千円によるものであります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対応すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、2,929千円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 重要事象等についての分析・検討内容及び解消・改善するための対応策
① 資金・財務状況
当社グループの資金・財務状況は、当第1四半期連結累計期間末での現預金残高が727,813千円で、流動比率についても149.6%と相応の水準を維持しておりますが、借入金残高は920,988千円で、このうち当社の債務引受分を含む86,514千円が、昨年特別清算手続が終結した連結子会社でありました㈱KHIが原債務者である借入であります。財務状況改善に向けて各事業の収益力向上策を現在進めておりますが、その成果がキャッシュ・フロー面で現れるまでの間に必要となる資金需要につきましては、当社の主要株主である㈱アジアゲートホールディングスと当社との間で長期および短期の借入契約を締結し、資金を確保して対応しております。
② 試験機事業
当社グループの試験機事業のセグメント利益は、安定的に黒字であります。また、昨年9月1日にグループの試験機事業の統合を実施し、営業・サービスの体制の充実強化に取り組むとともに、競争力の強化に向けて、製品開発や資材調達など事業全般における統合効果を追及しております。試験機事業は、上記の体制で、当社グループの基幹事業として継続的に営業黒字を計上できるのみならず、統合効果をあげることによりさらなる拡大・成長に努めてまいります。
③ エンジニアリング事業
エンジニアリング事業の中核事業である締結具事業は、その主力製品である電力用ばねの売上高急減に直面し、さらに急成長を期待したハイパーロードナットの市場浸透の遅れによって赤字から脱却できなかったことから、製造子会社㈱KHIの解散のやむなきに至りました。しかし、その製品自体は道路、鉄道、建設、鉄鋼業界等で広く受け入れられつつあるほか、中国等の海外への販売も視野に入れながら、昨年抜本的に見直しを行った営業戦略と生産体制を定着させることで安定的な収益の確保とより一層のコスト削減に努めております。
④ 経費削減
全ての事業において、連結業績を強く意識し、原材料等の効率的調達による原価低減、さらには経費の削減を継続してまいります。
以上の施策により、当社グループは早期の業績回復を目指し活動してまいります。