四半期報告書-第89期第2四半期(平成26年7月1日-平成26年9月30日)

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2014/11/13 10:50
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、ウクライナや中東情勢の地政学的リスクを抱えつつも、米国などの先進国を中心とした持続的な景気拡大により、総じて堅調に推移いたしました。
わが国の経済におきましては、円安ならびに消費税率引き上げによる個人消費への影響が見られるものの、雇用・所得環境の着実な改善のもと、緩やかな回復基調が続きました。
こうした中、当社グループは、引き続き原価低減や販売・管理コストの削減に取り組む一方、国内外で展示会出展などを通じて積極的な営業を行うなど、中期経営計画に基づく成長戦略の展開を図りました。
その結果、当第2四半期の総売上高は21,297百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益は1,319百万円(前年同期比4.1%増)、経常利益は1,236百万円(前年同期比96.3%増)、四半期純利益は686百万円(前年同期比164.7%増)となりました。
セグメント別の概要は、次のとおりであります。
<家庭用機器事業>海外ミシン市場におきましては、北米、欧州向け売上は堅調に推移いたしました。一方で、新興国経済の成長鈍化やウクライナ問題に端を発したロシア現地通貨安と急激な消費低迷により、販売台数は83万台(前年同期比14万台減)、売上高は13,237百万円(前年同期比7.6%減)となりました。
国内ミシン市場におきましては、消費税率引き上げによる購買意欲減退が続いたものの、量販店向けを中心に販売を強化したことにより、販売台数は約9万台(前年同期比約4千台増)となりましたが、低価格商品販売シェア増加により、売上高は2,953百万円(前年同期比4.1%減)となりました。
24時間風呂・整水器販売につきましては、売上高は573百万円(前年同期比6.1%減)となりました。
以上の結果、家庭用機器事業の売上高は16,764百万円(前年同期比6.9%減)、営業利益は944百万円(前年同期比7.4%減)となりました。
<産業機器事業>産業機器事業におきましては、アジアを中心とした製造拠点における人件費上昇に対する省力化、製品・部品の小型化と作業の高精度化に対する自動化への動きを受け、卓上ロボットはスマートフォン等の携帯端末機器関連企業向け、エレクトロプレスは自動車部品業界向けを中心に順調に販売台数を伸ばし、第2四半期累計で過去最高の2,900台を販売いたしました。
以上の結果、産業機器事業の売上高は3,186百万円(前年同期比33.8%増)、営業利益は393百万円(前年同期比61.0%増)となりました。
<その他事業>ITソフトウェア・情報処理サービス、24時間風呂の据付・メンテナンスサービス、不動産賃貸収入を加えたその他事業の売上高は1,346百万円(前年同期比7.7%増)となり、営業利益は13百万円(前年同期比48.1%減)となりました。
財政の状態は、次のとおりであります。
当第2四半期末の総資産は53,771百万円(前連結会計年度末比2,361百万円増)となりました。
資産の部では、流動資産が受取手形及び売掛金、商品及び製品の増加等により23,980百万円(前連結会計年度末比2,071百万円増)となりました。固定資産は有形及び無形固定資産の取得等により29,791百万円(前連結会計年度末比290百万円増)となりました。
負債の部は、流動負債が支払手形及び買掛金、短期借入金の増加等により21,094百万円(前連結会計年度末比2,428百万円増)となり、固定負債は長期借入金等の減少により13,257百万円(前連結会計年度末比1,369百万円減)となりました。
純資産の部は、利益剰余金等の増加により19,419百万円(前連結会計年度末比1,301百万円増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から227百万円減少し、6,074百万円(前年同期比796百万円増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益1,018百万円、たな卸資産の増加1,371百万円、仕入債務の増加785百万円などによる資金の増減があり、360百万円の資金の増加(前年同期は907百万円の資金の増加)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、設備・金型等の有形固定資産の取得による支出582百万円などにより、748百万円の資金の減少(前年同期は553百万円の資金の減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加1,419百万円、長期借入金の返済による支出1,310百万円などにより、61百万円の資金の増加(前年同期は14百万円の資金の増加)となりました。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配するものの在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
① 基本方針の内容の概要
当社は、公開会社である当社の株券等については、株主、投資家の皆様による自由な取引が認められており、当社の株券等に対する大量買付行為があった場合、これに応じるか否かの判断は、最終的には当社の株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。
しかしながら、近時わが国の資本市場においては、対象となる企業の経営陣の賛同を得ずに、一方的に大量買付行為を強行する動きが顕在化しております。こうした大量買付行為の中には、対象会社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益に資さないものも想定されます。
当社といたしましては、このような当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の向上に資さない大量買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては不適切であると考えており、このような者が現れた場合には、必要かつ相当な対抗手段を講じることが必要であると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの内容の概要
当社取締役会は、下記の取組みは、下記イ)記載の当社の企業価値の源泉を十分に理解した上で策定されており、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を中長期的に向上するべく十分に検討されたものであることから、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
イ) 企業価値向上に資する取組み
当社は大正10年に創業し、日本国内で初めてミシンの国産化を成し遂げて以来、「世界の人々の豊かで創造的な生活の向上を目指す」「常に価値ある商品とサービスの提供を通じて社会、文化の向上に貢献する」という企業理念に基づき、企業価値の向上に取り組んでおります。
昭和39年には蛇の目ミシン技術研究所を設立、昭和54年には国産初のコンピュータミシンを発売したのをはじめ、常に家庭用ミシン業界のリーダー的存在として、製品開発力、技術力を生かした新製品を提供してまいりました。さらに平成2年には24時間風呂「湯名人」シリーズを発売、優れた技術と製品の利便性の高さから、お客様の支持を得て、同市場では高いシェアを維持しております。さらに家庭用ミシンの生産で培った先進技術をベースに、「卓上ロボット」「エレクトロプレス」などの産業用機器を開発、携帯電話等の情報端末機器や自動車関連企業など生産現場の省力化と高度な品質管理が求められる企業に向けて、積極的に販売活動を展開しております。企業の生産拠点が海外へシフトしている状況に対応すべく、各拠点の販売・サービス体制の拡充にも注力しております。
当社グループの企業価値の源泉は①技術力と経験、②マーケティングと開発力、③ブランド、④販売力、⑤人材等にあると考えています。
具体的には、第一に、90年以上の歴史を通じて蓄積してまいりました技術と経験を生かして、多くの製品群を提供、第二に、世界各地域の市場から効率的なマーケティングにより得た情報を活かした魅力的な製品の開発、第三に、90年以上にわたる歴史と高い技術力に支えられた家庭用ミシン・産業機器における「JANOME」ブランド、第四に、直営支店・代理店・量販店等を通じた堅固な国内販売網と販売子会社・現地代理店等の海外販売網、第五に、これまで述べました「技術・経験」、「開発力」、「ブランド」、「販売力」を具体的に担う人材群です。
当社は引き続きグローバルシェア拡大を図るとともに、お客様をはじめ株主の皆様にとってかけがえのない企業を目指し、企業価値の向上に努めてまいります。
ロ) 中期的な経営課題への取組み
世界経済が目まぐるしく変化する近時、当社グループは、企業価値を安定的かつ持続的に向上させていくため、引き続き中期経営計画に基づき、収益力の高いグローバル企業を目指して、将来の成長事業に経営資源を集中する方針の下、主要な目標として次の3つを掲げ取り組んでまいります。
(1) 低コスト体質の確立
(2) 営業利益率10%の達成
(3) 生産体制の強化
上記目標達成に向け、次の基本方針に基づき対応いたします。
① 成長が期待できる事業・市場へ経営資源を重点注力
ミシン事業は成長の要となる海外市場に重点を置き、産業機器事業とあわせ、両事業部門に経営資源を投入してまいります。
② 製造コスト、販売・管理コスト削減による収益基盤の再強化
グローバルな競争の激化が想定される中、ミシン生産に関わる生産管理・購買管理・生産技術業務機能を台湾の生産拠点に移管、一層のコストダウンに取り組んでまいります。また、部門間の重複業務の削減、不要業務の廃止などにより販売・管理コストの削減を推進いたします。
③ 開発力の強化、スピードアップの追求
開発方針を明確化し、開発テーマの絞込み、製品のシリーズ化、部品の共用化を推進するなど効率的な開発体制を構築いたします。
④ 将来に向けた生産体制の再構築
新興国向けミシン販売増加を見据え、タイにおける生産台数を増強し、現在の120万台から150万台への生産体制を構築いたします。
ハ) コーポレート・ガバナンス体制の徹底
当社及び当社グループでは、企業の社会的責任を果たすにはコーポレート・ガバナンスの充実が不可欠であるとの認識のもと、各ステークホルダー(利害関係者)の皆様と健全で良好な関係を維持しつつ、業務の適正化、財務報告の信頼性を確保する体制を構築しています。
取締役会においては、経営に関わる重要事項の決定と取締役の職務執行状況の監督を行っております。取締役会の下には、常務会を置き、重要事項について審議するとともに、特に重大な案件につきましては取締役会に上程し意思決定しております。各部門における諸課題につきましては、執行役員以上をメンバーとする経営戦略会議において、十分な検討・協議等を行っております。また、グループ全体の経営の適正化をより推進するため、国内グループ各社の社長会を定期的に開催し、グループ各社の業務執行に関する情報交換及びコンプライアンス経営についての意思統一を図っております。海外グループ各社につきましては、定期的に国際会議を開催し、情報の共有化と業務の適正化を図っております。
監査役監査につきましては、監査役3名のうち2名を当社と利害関係を持たない独立性の高い社外監査役で構成しております。1名は公認会計士、もう1名は弁護士を選任しており、監査役会等を通じて、厳正な監査を行っております。また、監査役、内部監査室及び会計監査人は、適時、相互連絡を行い、情報の共有化・連携を図っております。
その他、コンプライアンス委員会、PL(製造物責任)委員会、内部通報委員会、個人情報管理委員会、リスク管理委員会を設置し、充実したコーポレート・ガバナンス体制を構築しております。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの内容の概要
イ) 企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主共同の利益の実現
当社は、大量買付行為(下記ロ)で定義されます。)が行われた場合、当該大量買付行為が当社の企業価値の向上及び会社の利益ひいては株主共同の利益の実現に資するものであるか否か、株主の皆様に適切に判断していただき、提案に応じるか否かを決定していただくためには、大量買付者(下記ロ)で定義されます。)及び当社取締役会の双方から適切かつ十分な情報が提供され、検討のための十分な期間が確保されることが不可欠であると考えます。また、当社は、当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の確保又は向上の観点から大量買付行為の条件・方法を変更・改善させる必要があると判断する場合には、大量買付行為の条件・方法について、大量買付者と交渉するとともに、代替案の提案等を行う必要もあると考えておりますので、そのために必要な時間も十分に確保されるべきであります。
当社取締役会は、このような考え方に立ち、平成25年5月10日開催の取締役会において、当社株券等の大量買付行為への対応策(買収防衛策)(以下「本プラン」といいます。)の導入を決定し、平成25年6月21日開催の当社第87回定時株主総会にて、本プランの導入は、株主の皆様より承認、可決されました。本プランは、大量買付者に対し、本プランの遵守を求めるとともに、大量買付者が本プランを遵守しない場合、ならびに大量買付行為が当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合の対抗措置を定めています。
ロ) 本プランの対象となる行為
本プランの対象となる行為は、概ね、当社株券等の20%以上の買付けその他の有償の譲受け又はこれらに類似する行為(以下「大量買付行為」といいます。)であり、本プランは、大量買付行為が行われる場合に、大量買付行為を行い又は行おうとする者(以下「大量買付者」といいます。)に対し、事前に株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為の内容の検討に必要な情報の提供を求め、かつ、株主の皆様及び当社取締役会による当該大量買付行為についての情報の収集及び検討のために必要な一定の期間を確保した上で、必要に応じて、大量買付者との間で大量買付行為に関する条件・方法について交渉し、また、当社取締役会として、株主の皆様に代替案を提示するなどの対応を行うための手続を定めております。
ハ) 対抗措置の概要
本プランは、大量買付者が大量買付行為を行うに当たり、所定の手続に従うことを要請するとともに、かかる手続に従わない大量買付行為がなされる場合や、かかる手続に従った場合であっても当該大量買付行為が当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を著しく害するものであると判断される場合には、かかる大量買付行為に対する対抗措置として、原則として新株予約権を株主の皆様に無償で割り当てるものです。
本プランに従って割り当てられる新株予約権(以下「本新株予約権」といいます。)には、①大量買付者及びその関係者による行使を禁止する行使条件や、②当社が本新株予約権の取得と引換えに大量買付者及びその関係者以外の株主の皆様に当社株式を交付する取得条項等を付すことが予定されております。
本新株予約権の無償割当てが実施された場合、かかる行使条件や取得条項により、当該大量買付者及びその関係者の有する議決権の当社の総議決権に占める割合は、大幅に希釈化される可能性があります。
ニ) 独立委員会の設置
本プランに定めるルールに従って一連の手続が遂行されたか否か、ならびに、本プランに定めるルールが遵守された場合に当社の企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益を確保し又は向上させるために必要かつ相当と考えられる一定の対抗措置を講じるか否かについては、当社取締役会が最終的な判断を行いますが、その判断の合理性及び公正性を担保するために、当社は、当社取締役会から独立した組織として、独立委員会を設置することとします。独立委員会の委員は、3名以上5名以下とし、社外取締役、社外監査役、弁護士、税理士、公認会計士、学識経験者、投資銀行業務に精通している者及び他社の取締役又は執行役として経験のある社外者等の中から当社取締役会が選任するものとします。
ホ) 株主総会の開催
大量買付者が本プランに定める手続に従って大量買付行為を行い又は行おうとする場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、大量買付行為に対する対抗措置発動の是非を決議することを原則としますが、大量買付者による大量買付行為の内容、時間的猶予等諸般の事情を考慮の上、法令及び当社取締役の善管注意義務等に鑑みて、独立委員会に対する諮問に加え、株主の皆様の意思を直接確認することが実務上適切と判断するときは、当社取締役会は、株主総会を招集し、対抗措置の発動に関する株主の皆様の意思を確認することができるものとします。また、当社取締役会は、株主総会が開催された場合、対抗措置の発動に関して、当該株主総会における株主の皆様の判断に従うものとします。
ヘ) 情報開示
当社は、本プランに基づく手続を進めるに当たって、大量買付行為があった事実、大量買付者から大量買付行為の内容の検討に必要な情報が提供された事実、独立委員会の判断の概要、株主総会開催の決定・株主総会決議の概要、対抗措置の発動又は不発動の決定の概要、対抗措置の発動に関する事項その他の事項について、適時かつ適切に株主の皆様に情報開示を行います。
④ 本プランの合理性(本プランが基本方針に沿い、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないこと及びその理由)
当社取締役会は、以下の理由により、本プランが、上記の基本方針に沿うものであり、当社株主の共同の利益を損なうものではなく、また当社役員の地位の維持を目的とするものでもないと考えております。
イ) 買収防衛策に関する指針の要件等を完全に充足していること
ロ) 企業価値及び会社の利益ひいては株主共同の利益の確保又は向上を目的として導入されていること
ハ) 株主意思を重視するものであること
ニ) 独立性の高い社外者の判断を重視していること
ホ) 合理的な客観的要件を設定していること
ヘ) 独立した地位にある第三者専門家の助言を取得できること
ト) デッドハンド型買収防衛策やスローハンド型買収防衛策ではないこと
なお、買収防衛策の詳細につきましては、当社のホームページ(http://www.janome.co.jp)をご参照ください。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、643百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。