有価証券報告書-第96期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/07/28 14:22
【資料】
PDFをみる
【項目】
153項目

事業等のリスク

当社、連結子会社及び持分法適用会社(以下、「当社グループ」という。)の経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 新型コロナウイルス感染症の拡大による影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が世界的に拡大しています。当社グループでは事業継続計画(BCP)に基づき、感染症が蔓延した地域がロックダウン(都市封鎖)等により生産活動を停止した場合でも、他の地域の製造拠点が補完することで対応しており、今後も各国の状況、顧客の生産状況等を注視し、安定供給の責任を全うして参ります。
しかしながら、当社グループと関連の深い自動車産業の自動車生産台数が減産状況にあることから、当社グループにおきましても工場の稼働率低下の影響等が出ております。また、国により経済活動再開の兆しも見えますが、第2波、第3波の流行の可能性もあり、感染拡大の規模や収束の時期など、先行きの見通しが不透明な状況です。このため、今後も当社グループの業績や財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
感染症への対応策として、当社グループでは人命を第一とし、各国政府及び地方自治体の要請、指導に基づく衛生管理の徹底、国内外出張の制限、在宅勤務や時差通勤、オンライン・電話による会議の推進等に努めております。
(2) 需要の特性について
当社グループは、自動車・産業機械部品事業の売上高が事業全体の8割強を占めております。日本国内の自動車販売台数の減少もあり、市場は日本国内からグローバルに移行しております。海外における現地調達化の進展などを含む自動車メーカーの調達方針の変化、電気自動車や自動運転車等の開発・実用化などの技術革新、安全基準・環境基準を含む法規制の強化、客先や仕入先での品質偽装など不正発生にともなう需要減少、保護貿易主義の台頭による通商リスク等、自動車マーケットの事業構造に大きな変化が生じた場合、当社グループの現主力製品の需要が減少する可能性があります。
(3) 製品供給停止の影響
当社グループは、経済的・社会的な責任範囲が大きい自動車産業に属しているため、巨大地震やゲリラ豪雨などの自然災害、感染症などの疾病、様々な障害による調達・製造・物流に関わる製品供給停止リスクを、最重要課題に位置づけております。このようなリスクが発生した場合でも製品供給を継続できるよう2007年新潟県中越沖地震の経験・教訓を基に「人命第一」「迅速な初動」「製品供給継続」「シンプルなライン」を基本方針に掲げ、建屋の耐震補強工事や機械装置のアンカー固定、製品や材料の安全在庫の確保、代替生産拠点の整備、生産システムの革新等の防災・事業継続計画(BCP)に取り組んでおります。
国内では、新潟県柏崎市にある柏崎事業所と埼玉県熊谷市にある熊谷事業所、及びそれら周辺に立地する工場で主力製品を生産しており、有事発生の際には製品の生産や供給に支障が生じる可能性があります。海外では、メキシコ、インドネシア、中国、台湾、タイ、インドに製造拠点を持っておりますが、これらの地域で大規模な地震・台風等の自然災害、疾病、戦争、テロ、クーデター等が発生した場合には、一時的に当該地域での製品の生産や供給に支障が生じる可能性があります。
南海トラフ巨大地震・首都直下型地震あるいは火山噴火・スーパー台風など、これまでの想定を超える災害への備えが必要といわれておりますが、当社グループの事業継続計画(BCP)は、深刻な障害が発生した場合の被害や製品供給停止を完全に回避することは困難であるため、有事の際には当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 労働安全衛生・環境に関する影響
当社グループの国内外の生産拠点においては、安全衛生・環境に関する法規制を遵守しております。これらの法規制は国際協定にそってさらに改正・強化される可能性が高く、その対応のための費用は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、事故や災害が発生した場合には、損害賠償費用の発生や社会的信用の低下により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
法規制を遵守し、リスクアセスメントを基に有効な未然防止策の展開に努めておりますが、様々の要因・条件の重なりや連鎖による災害や事故の誘発を完全に回避することは困難であるため、当社グループの業績や事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 製品安全・品質に関する影響
当社グループの製品には、自動車の重要保安部品・重要機能部品があり、欠陥等の不具合が発生し、お客様への流出を防止できなかった場合、市場での損害賠償費用の発生や社会的信用の低下により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
そのような品質問題の発生を未然に防止すべく、当社グループは常日頃より先進の技術開発や信頼性の手法、高度な品質保証体制の構築により、お客様の期待に応える製品の開発・生産・販売に努めております。
(6) 情報セキュリティに関する影響
当社グループは、製品の企画設計段階から外部と共同開発する場合が多く、営業秘密等の情報の漏洩・消失・改ざんや、外部からの情報システムへの攻撃(サイバーテロ)などを重要なリスクに位置付けております。そのため、重要な情報を扱う人・機器・場所の特定・区分、システム・ツール・メディアなどへ必要な処置を行い、情報セキュリティの維持管理に努めております。
こうした中、想定を大幅に超える不正アクセス等のサイバー攻撃により、当社グループの基幹システムの停止や機密情報の外部流出等が発生した場合、当社グループの社会的信用が低下し、結果として、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資材調達及び価格変動の影響
当社グループは、供給の安定性・品質・コスト等の面から、生産に必要な資材の最適な調達先を選定しております
が、需給の逼迫及びこれに伴って原材料価格が上昇する可能性があり、生産・供給の遅延や製品価格への転嫁不能等により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、紛争鉱物や児童労働などの問題が潜む資材であることが確認された場合には、材料の置換や買入先の変更などが必要となり、製品の生産や供給に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 海外展開に関する影響
当社グループは、海外において北米(米国、メキシコ)、欧州(ドイツ)、アジア(インドネシア、中国、台湾、タイ、インド)の拠点で生産・販売活動を展開しております。これら各国は政治、経済、社会的混乱等によるリスクが潜在しており、これらの事象が当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、事業展開する各国においても様々な法規制等による影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外においては現地資本と合弁で事業を行っている会社もあり、これら合弁事業の合弁先の経営や財務その他の要因が、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 為替変動の影響
売上・費用・資産を含む現地通貨建の項目は、連結財務諸表の作成時に円換算されており、現地通貨における価値に変動がない場合も、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。他の通貨に対する円高、特に米ドル及びユーロに対する為替変動は、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、海外関係会社においても現地通貨(または機能通貨)以外の通貨による取引や期末時点で保有する債権・債務は、為替変動の影響により為替差損益が発生し、業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10) グローバルリスクの影響
グローバルオペレーションの展開にともない、1拠点のリスクが他拠点へ影響する深刻さは増加、規模は拡大し、経験したことのないスピードで拡散する危険性があります。そのため、当社グループではリスク対応を一元管理できるよう、全グループ会社を統括するグローバルリスクマネジメント体制を構築し、各拠点で日常的に行うリスクアセスメントを定期的に確認しながら、必要なアクションを日本から迅速に指示できる仕組みを運用しております。また、実際に発生した事象や、深刻な影響に至らなかった要因などの有用な情報を、気づきとして関係者で共有し、未然防止志向のリスク対応を展開しております。
リスクに対応するためには、リスクアセスメントを正しく行い、リスク相応の改善策を実施することが必要ですが、それらが不適切に行われればリスクの発生や影響を抑制することはできません。そのため、当社グループではリスク対応の最重要課題にコンプライアンスの徹底を掲げ、リスクの早期発見のための内部監査・モニタリング・ホットラインなどの運用や、階層別の教育・啓蒙を行っております。