有価証券報告書-第154期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 13:32
【資料】
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【項目】
125項目

研究開発活動

(1) 基本理念
当社グループは、トライボロジー(摩擦、潤滑)技術、材料技術、解析技術、メカトロ技術をコアテクノロジーとして研究開発を行っています。これら当社固有技術を、先端技術動向を採り入れつつ進化させ、その成果としてのソリューションの提案、高機能な製品及び新機能を持つ製品をタイムリーに市場へ供給していきます。この活動を通じ社会に貢献していくことを基本理念としています。
(2) 研究開発の成果
産業機械事業
産業機械分野では、ライフサイクルコスト低減や省エネルギー化の要求が高まっています。当社グループでは、設計技術・材料技術・製造技術を駆使し、機能を大幅に向上させた高機能標準軸受「NSKHPS™」シリーズの拡大を進めています。また、特定用途向けの機能を強化した工作機械主軸軸受用グリース「RACEGRD™(レースガード™)」、「25,000rpm高速・高出力グリース補給スピンドル」、高精度・高機能円筒ころ軸受「APTSURF™(アプトサーフ™)」などを開発しました。
精密機器関連製品では、ボールねじの静音化の要求に応えるために、機械の共鳴音を大幅に低減させる「高速・静音Ⅱボールねじ」を開発しました。本製品は工作機械、搬送装置、半導体製造装置、射出成型機、医療機器などの産業機械に使用可能なため、あらゆる生産現場の環境改善に貢献します。また、寿命を約4倍に高めた「超大型 高負荷駆動用ボールねじ」を開発しました。これにより、大型の射出成型機やプレス機械の電動化を可能にし、設備の省エネルギー化と高精度化に貢献しています。一方で、市場ではスマートフォンや電子部品の生産拡大のため、機能を限定したコンパクトで低価格な設備の要求が急増しています。この要求に応えるため「メガトルクモータ™ PBシリーズ」を開発しました。
自動車事業
自動車の効率向上のため、あるいは過酷環境に対応するため、自動車軸受にはさらなる高機能化が要求されています。当社グループでは、独自開発材料と熱処理を用い「超長寿命プラネタリシャフト」を開発しました。本製品と軸受をセットで使用することで、自動変速機のプラネタリ機構の更なる小型・軽量化を実現し、自動変速機の高効率化と自動車の低燃費化に貢献します。また、急速に搭載が拡大している電動パワーステアリングには、自動車の燃費向上はもとより、より一層の安全性・快適性の向上に貢献することが求められています。当社グループでは、運転者支援などの機能向上とともに、世界に先駆けて自動車向け機能安全国際標準規格に準拠した電子制御システムを開発し、高い安全性を実現した電動パワーステアリングを市場投入しました。さらに、減速機の摩擦力を低減することで運転者のハンドル操作の負担の軽減と操舵フィーリングの向上を可能にした「電動パワーステアリング用低フリクション減速機」を開発しました。
当連結会計年度の研究開発費はグループ全体で106億60百万円であり、その内訳は、産業機械事業29億40百万円、自動車事業74億17百万円、その他3億1百万円です。
なお、主な成果は次のとおりです。
(産業機械事業)
・ 工作機械主軸軸受用グリース「RACEGRD™(レースガード™)」
・ 「25,000rpm高速・高出力グリース補給スピンドル」
・ 高精度・高機能円筒ころ軸受「APTSURF™(アプトサーフ™)」
・ 「歯科エアタービン用軸受シリーズ」
・ 「高速・静音Ⅱボールねじ」
・ 「超大型 高負荷駆動用ボールねじ」
・ 世界最高速「NSK高負荷駆動用ボールねじ」
・ 「工作機械用高機能ボールねじ」
・ 「メガトルクモータ™ PBシリーズ」
・ 「小型・高分解能エンコーダ」
(自動車事業)
・ 自動変速機用「超長寿命プラネタリシャフト」
・ ディーゼルエンジン用「低トルクタペットローラ」
・ 変速機用「新リテーナープレート付き玉軸受」
・ 自動変速機用「低ドラグフリクションプレート ν(ニュー)マルチセグメント 」
・ 機能安全規格対応「電動パワーステアリング」
・ 「電動パワーステアリング用低フリクション減速機」