有価証券報告書-第114期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/26 15:23
【資料】
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【項目】
127項目

業績等の概要

(1) 業績
当連結会計年度の世界経済は、欧州の長期景気低迷に底打ちの傾向が見られ、米国での消費も堅調に拡大するなど先進諸国の景気は回復基調にありましたが、新興国では先行きが不透明な状況にありました。日本経済においては、金融緩和政策や各種経済政策による円高是正と株価向上が進み、緩やかな回復が見られました。
このような経営環境の中、当社グループでは、安全、品質・納期、CSRを基本に置いた変化に左右されない磐石な基盤の確立を図るとともに、世界中のお客様から信頼・安心を感じていただけるブランドへ飛躍することを目ざし、「量」から「質」へビジネスモデルの転換を進め、お客様にさらなる価値を提供できるよう、取り組んでまいりました。
自動車部品事業においては、平成25年11月の東京モーターショーに、当社が世界で初めて電動パワーステアリング(以下、EPS)を量産してから25周年を記念し初代EPSを出展するとともに、欧米市場を中心とした大型車両での快適な操舵フィーリングへのニーズに対応する高出力のラックパラレルタイプEPSを出展しました。生産供給の面では、成長市場である南米地域での需要の拡大に対応する為に、平成26年2月にブラジルでコラムタイプEPSの現地生産を開始し、平成24年に立ち上げたテクニカルセンターとあわせ、顧客ニーズに即応する体制を整えました。
軸受事業においては、産業機械分野での商品力・提案力の強化を狙い、風力・鉄道分野においてお客様の使用環境を忠実に再現する試験設備を備えた大型軸受技術開発センター(大阪府 柏原市)を設置し、稼動を開始いたしました。平成26年10月には鉄鋼製造設備向けの試験設備も導入し、お客様のニーズを捉えた提案活動を行ってまいります。
工作機械事業においては、平成25年11月には、当社のプライベートショーであるジェイテクト・テクニカル・フェアを開催し、自動車部品事業本部との共同開発であるギヤスカイビング加工機をはじめ、研削盤、横形マシニングセンタなど4機種の新商品を発表いたしました。また、平成26年2月に、一般市場向けの汎用円筒研削盤を『誰でも簡単に高度なモノづくりができる機械』をコンセプトに、熱変位制御技術や簡単操作パネルを搭載し、20年ぶりにフルモデルチェンジいたしました。生産供給の面においては、平成23年より取り組んでいる刈谷工場の生産効率化の取り組みが実を結び、大幅な納期短縮を実現しております。
なお、当社及び当社の一部子会社は、過去の軸受等の取引に関し、各国競争法違反の疑いがあるとして、米国、EU等海外の競争当局の調査を受けておりましたが、当社は、平成25年7月に、カナダ競争法違反に関し、同国ケベック州の裁判所において5百万カナダドルの罰金支払命令を受け、平成25年9月には、米国反トラスト法違反に関し、米国司法省との間で、罰金103.27百万米ドルの支払につき合意いたしました。また、当社の子会社は、平成25年10月に、オーストラリア競争・消費者法違反に関し、同国連邦裁判所において2百万オーストラリアドルの制裁金支払を命じられました。本年3月には、当社及び当社の一部子会社は、制裁金の支払いは免除されましたものの、EU競争法に違反する行為があったとの決定を欧州委員会より受けました。
海外のその他の競争当局による調査は現在も継続中であり、当社グループは、引き続きこれらの調査に適時適切に協力しております。また、本件に関連し、米国及びカナダにおいて、当社及び当社の一部子会社に対して損害賠償を求める集団訴訟が提起されております。
当社は、これらの事態を真摯に受け止め、法令遵守に関するトップメッセージの定期的な発信、コンプライアンス教育の徹底、グループ会社を含めたコンプライアンス点検の実施、同業他社との接触に関する社内ルールの運用・改定、内部監査部門によるモニタリング等、再発防止の取り組みを継続するとともに、本年度は風通しのよい職場づくりを目的とし、コンプライアンスについて各職場で議論するための話題を毎月提供する等の新たな施策を講じ、社員一人ひとりの遵法意識の向上に、絶えず努めております。
当連結会計年度の連結業績につきましては、ステアリングを中心に販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆2,601億92百万円と前連結会計年度に比べて1,926億65百万円、率にして18.0%の増収となりました。利益につきましては増収及び円安の効果等により、営業利益は582億7百万円と前連結会計年度に比べて290億49百万円、率にして99.6%の増益となり、経常利益は618億56百万円と前連結会計年度に比べて276億16百万円、率にして80.7%の増益となりました。当期純利益につきましては、233億84百万円と前連結会計年度に比べて95億21百万円、率にして68.7%の増益となりました。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
機械器具部品につきましては、ステアリングの販売が大幅に増加したこと等により、売上高は1兆1,042億33百万円と前連結会計年度に比べて1,824億35百万円、率にして19.8%の増収となりました。営業利益につきましては、増収及び円安の効果等により、520億27百万円と前連結会計年度に比べて345億32百万円、率にして197.4%の増益となりました。
工作機械につきましては、アジアでの販売増加等により、売上高は1,559億58百万円と前連結会計年度に比べて102億29百万円、率にして7.0%の増収となりました。営業利益につきましては、65億19百万円と前連結会計年度に比べて58億70百万円、率にして47.4%の減益となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
連結キャッシュ・フローにつきましては、営業活動によるキャッシュ・フローは892億26百万円の資金の増加であり、前連結会計年度に比べて392億92百万円の増加となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは871億11百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が1,010億23百万円の資金の減少であったことに比べて139億12百万円の増加となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは354億33百万円の資金の減少であり、前連結会計年度が 58億37百万円の資金の減少であったことに比べて295億96百万円の減少となりました。これらに換算差額を加算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は619億45百万円となり、前連結会計年度末に比べて319億44百万円の減少となりました。