有価証券報告書-第81期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/25 12:58
【資料】
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【項目】
117項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたり、当社グループは連結財務諸表に記載されている資産・負債の額及び偶発負債の開示額、並びに収益・費用の額などに影響を与える可能性のある見積り及び前提条件を使用しております。
当社グループは、その見積りと判断を、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要素に基づいて行っており、これらは、資産及び負債の帳簿価額あるいは収益・費用の額についての判断の基礎を形成しております。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
① 投資有価証券の減損
当社グループは、長期的な取引関係の維持のために、特定の顧客及び金融機関に対する株式を所有しております。これらの大半は市場価格のある公開会社の株式で、一部に時価相場のない非公開会社の株式が含まれます。当社グループは公開会社の株式への投資の場合、期末における株価が取得原価に比べ50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30%~50%下落した場合には、当社取扱い要領に基づき、個別銘柄毎の株価推移等から株価の回復可能性を判断して減損処理を行っております。株式市況悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
② 貸倒引当金について
当社グループは売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。債権管理につきましては最善の注意をはらっておりますが、顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
③ 退職給付債務について
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。また、割引率の低下や運用利回りの悪化がある場合は当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)当連結会計年度の経営成績の分析
① 概況
当期におけるわが国経済は、政府による経済政策や日本銀行による金融政策等を背景に雇用情勢や企業収益の改善が見られ、緩やかな回復基調が続きましたが、消費税増税に伴う駆け込み需要の反動減や急激な円安による原材料の高騰、個人消費の回復の遅れが長期化し、海外においても中国をはじめ新興国の景気減速が見られたことなどから、依然不透明な状況で推移いたしました。このような経済情勢の下、当連結会計年度の売上高は612億6千2百万円、前期に比べて5.1%の増収、営業利益は5億1千4百万円、前期に比べて17.6%の増益、経常利益は3億8千4百万円、前期に比べて2.4%の増益、当期純利益は1億8千2百万円(前期は当期純損失1億6百万円)という成績になりました。
② 売上高
売上高は、前期に比べて5.1%増収の612億6千2百万円となりました。商事部門では前期に比べて4.7%増収の482億8千5百万円、IT部門では前期に比べて3.7%増収の53億5千5百万円、製造部門では前期に比べて8.3%増収の76億9千8百万円となりました。
また、国内の売上高は、前期に比べて6.7%増収の447億2千1百万円となりました。海外売上高は、0.9%増収の165億4千万円となり、海外売上高は連結売上高の27.0%(前期28.1%)となりました。
③ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は売上の増加に伴い、前期の513億6千3百万円から5.3%増加し、541億4百万円となりました。また、売上高に対する売上原価の比率は0.2ポイント増加し88.3%となっております。
販売費及び一般管理費は前期に比べて2.0%、1億3千万円増加し、66億4千4百万円となりました。これは旅費交通費、荷造費等の増加等によるものです。
④ 営業利益
営業利益は、前期の4億3千6百万円に対し、17.6%増益の5億1千4百万円となりました。
商事部門の営業利益は、売上は堅調に推移いたしましたが、利益面ではやや低調となり、前期に比べて13.2%減益の7億3千5百万円となりました。IT部門の営業利益は、前年と比較すると回復傾向で推移し、前期に比べて12.3%増益の6億8千6百万円となりました。製造部門の営業利益は、売上・利益ともに堅調に推移し、26.0%増益の3億9千4百万円となりました。
⑤ 営業外損益
営業外損益は、前期の6千1百万円の費用(純額)から、1億2千9百万円の費用(純額)となりました。これは主として、為替差損の増加等によるものです。
⑥ 特別利益
特別利益は、前期の3千7百万円に対し9千2百万円増加し、1億3千万円となりました。これは固定資産売却益1億5百万円を計上したこと等によるものです。
⑦ 特別損失
特別損失は、前期の3千3百万円に対し1千2百万円減少し、2千万円となりました。これは前期に固定資産除却損3千1百万円を計上したこと等によるものです。
⑧ 税金等調整前当期純利益
以上を受けて、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、前期の3億7千9百万円に対し、1億1千4百万円増加し、4億9千4百万円となりました。
⑨ 当期純利益
当期純利益は、前期の1億6百万円の当期純損失に対し、1億8千2百万円の当期純利益となりました。1株当たりの当期純利益金額は、前期の3.49円の1株当たり当期純損失金額に対し、6.00円の1株当たり当期純利益金額となりました。
(3)経営戦略の現状と見通し
わが国経済は、消費税増税の反動減の影響が一巡したことや雇用・所得環境の緩やかな改善、原油安などでの企業収益の回復を背景に内需中心に緩やかな回復基調が持続すると思われます。しかしながら、消費者マインドに弱さがみられることや米国や中国をはじめとする海外経済の成長鈍化の懸念等、先行きの不透明感は依然として強く、厳しい事業環境が続くと思われます。
このような状況に対しまして当社では、引き続き新規事業の構築及び新商材の獲得を第一に顧客ニーズに対する速やかな対応と提案型営業の強化に取り組んでまいります。また部門間の連携をより一層強化し、新しい市場の開拓、新製品や新システムの開発を推進してまいります。
新規事業の構築にあたっては、部門横断的な組織である事業戦略室を中心に、重点注力分野を定め、新しい商機の発掘を図ってまいります。
また、新たに社長直轄の組織として経営企画室を設立し、事業環境の変化に速やかに対応すべく戦略立案機能の強化を図ってまいります。
商事部門では、新規顧客の開拓、新商材の発掘、高付加価値商品の発掘、新ビジネスの展開をより一層強化し、国内外の事業拡大を推進してまいります。
IT部門では自主事業強化のため建設業関連向け、タクシー業向けシステム分野での業務の拡大や商事部門と連携した環境関連システムの受注拡大を図るとともに、受託事業における安定した受注量の確保を推進してまいります。また、人材育成の強化、品質向上を推進し、事業基盤の安定と利益の拡大を図ってまいります。
製造部門では、安定的な生産量を確保するため積極的な受注活動を図ってまいります。
生産面では、相模原・福島両工場の連携による生産管理を含めた管理業務の強化、品質改善および生産の効率化により原価低減を図ってまいります。
更に、財務体質の改善、組織機構や社内諸制度の改革等を継続して推進するとともに、当社グループ間の連携や技術支援はもとより、主要取引先との連携強化に努めてまいります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローでは、2億5千9百万円の資金の減少となりました。これは資金の減少要因である役員退職慰労引当金の減少1億1千4百万円、売上債権の増加7億2千7百万円、たな卸資産の増加3億6千5百万円等が、資金の増加要因である税金等調整前当期純利益4億9千4百万円、減価償却費4億8千5百万円等を上回ったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、1億2千4百万円の資金の減少となりました。これは主に固定資産の取得等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、11億1千9百万円の資金の減少となりました。これは主に長期借入金の返済等によるものです。
これらの活動の結果、現金及び現金同等物の残高は、前期の50億8千2百万円から14億1百万円減少し、36億8千万円となりました。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商事部門における仕入から回収までの資金立替、製造部門における設備投資、材料等の購入及び製造費、全社の販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。長期の資金需要については、主としてプリント製造に係わる合理化投資及び設備の更新・増設投資を中心に発生いたします。
③ 財務政策
当社グループは現在、運転資金及び設備投資資金については、内部資金や借入金、社債を中心に資金調達することとし、海外現地法人を除いては、当社にて一括調達しております。このうち、運転資金については原則として短期借入金で調達し、金融情勢によっては一部を長期資金へシフトしており、また、生産設備などの長期資金は借入金により調達を行っております。平成27年3月31日現在、短期借入金24億4千8百万円、長期借入金(一年以内に返済の長期借入金含む)52億5千万円から構成されております。
当社グループは、健全な財政状態の維持改善、営業活動によるキャッシュ・フローの捻出、未使用のコミットメント・ライン枠23億5千万円及び未使用の借入枠91億9千4百万円を有することにより、当社グループが将来の成長に必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが充分可能と考えております。