有価証券報告書-第111期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 11:22
【資料】
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【項目】
116項目

業績等の概要

(1)業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府主導での経済政策の実行ならびに金融緩和の継続により、景気は緩やかな回復基調で推移してまいりました。また、高水準な公共事業投資の継続や大企業を中心とした景況感の回復に下支えされ、足元の景気は堅調に推移する一方で、原油相場の下落や急激な円安の進行、地政学的な紛争リスクなど不安定な要素を抱えつつ推移してまいりました。
当社グループの関連する水処理業界においては、主要顧客である地方自治体が運営する水処理施設で老朽化が進行し、潜在的な設備更新需要はあるものの、水需要の低迷や地方財政の悪化、職員の高齢化による人的資源の不足など課題を抱える中、各自治体における水道事業広域化の検討や民間経営手法を活用する具体的計画の推進が待たれる状況となっています。一部では政策的な後押しによる更新投資が動き始めておりますが、本格的な投資にはいまだ至らない状況にあります。
民間の水処理分野においては、設備投資に増加傾向が見られるものの、工場等の建設投資による用排水処理設備の需要拡大には結び付かず、海外水処理分野においては、政府によるインフラ輸出の推進が示されているものの、具体的な投資には至らない状況が継続してまいりました。
当社グループは、平成25年4月よりスタートした中期経営計画の下で、地方自治体向け水処理関連サービスの提供を柱に、今後増加が期待される大規模施設の更新投資や海外水関連投資に備えるために、収益拡大に向けた体制整備や製品ラインナップの充実などにより事業拡大戦略へ向けた諸施策を推進してまいりました。
当連結会計年度においては、大型発注案件における競争激化、土木建築コストの価格上昇に伴う入札不調や予定案件の入札遅延に直面するなど、事業環境としては総じて厳しい状況のもとで推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、受注高は、運転管理委託契約の更新時期到来に伴う契約増加の一方で、入札遅延による上下水水処理プラント大型案件の発注時期の遅れなどにより163億75百万円(前期比7.4%減)となりました。
売上高は、一部手持プラント工事の期中出来高が、次年度への繰越に伴い減少したものの、その他プラント工事や子会社メンテンナンス工事が総じて堅調に進捗し、158億73百万円(前期比1.6%減)となりました。利益面については、資材調達面でのコスト低減、個別プロジェクト管理の徹底、固定費削減などグループ全体の総力を結集した結果、営業利益は11億55百万円(前期比13.1%増)、経常利益は12億51百万円(前期比13.4%増)、当期純利益は7億38百万円(前期比20.4%増)となりました。
セグメント別の業績については、次のとおりであります。
[上下水道事業]
上下水道事業では、老朽化する既存施設の更新、改修ニーズに対応すべく、差別化可能な当社水処理製品などを織り込み、積極的な提案型営業を重ねてまいりました。更に、当連結会計年度期首に運転・維持管理事業の子会社移管ならびに統合を完了し、顧客ニーズに適うサービス体制の整備により、メンテナンス事業、運転・維持管理事業ともに受注高が拡大いたしました。一方で、入札遅延による大規模予定案件の発注時期の遅れや、顧客都合による工事契約の解除などがあった結果、受注高は149億37百万円(前期比4.7%減)、売上高は140億59百万円(前期比3.1%減)、営業利益は9億42百万円(前期比10.1%減)となりました。
[環境事業]
環境事業では、顧客ニーズにマッチする膜処理技術を中心とした多様な水処理設備のラインアップとエンジニアリング力をベースに、東レグループの総合力を生かした販売活動を推進するとともに、既存顧客への改修ニーズの掘り起こしなどに注力してまいりました。海外市場に向けては、中東地域での水資源有効活用ニーズに対応して、従来型から最新の処理技術に至るまで、柔軟な提案を行うことで販売拡大に努めてまいりました。その結果、受注高は7億29百万円(前期比36.7%減)、売上高は10億66百万円(前期比41.5%増)、営業利益は94百万円(前期は営業損失1億29百万円)となりました。
[機器事業]
機器事業では、既存顧客への機器更新ニーズへの対応と非常用災害装置の拡販に注力する一方、効率的生産体制の構築を実施してまいりました。その結果、受注高は7億8百万円(前期比17.7%減)、売上高は7億36百万円(前期比13.9%減)、営業利益は1億14百万円(前期比18.8%増)となりました。
[その他の事業]
その他の事業では、不動産の賃貸を行ってまいりました結果、売上高は11百万円(前期比2.1%減)、営業利益は5百万円(前期比21.0%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益12億29百万円の計上があった一方、法人税等の支払額7億9百万円、配当金の支払額1億50百万円があったこと等に起因し、前連結会計年度末に比べ4億98百万円増加し、当連結会計年度末には54億36百万円(前期比10.1%増)となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は下記のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、8億60百万円(前期は5億76百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益12億29百万円の計上があった一方、法人税等の支払額7億9百万円があったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、2億5百万円(前期は82百万円の支出)となりました。これは主に関係会社出資金の払込による支出2億66百万円、有形固定資産の取得による支出35百万円及び無形固定資産の取得による支出16百万円があった一方、有価証券の償還による収入1億円があったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、1億58百万円(前期は1億62百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額1億50百万円、リース債務の返済による支出6百万円及び長期未払金の返済による支出1百万円があったこと等によるものです。