有価証券報告書-第77期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/24 16:59
【資料】
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【項目】
135項目

研究開発活動

当連結会計年度の研究開発活動においては、国内セメントメーカで稼働中のHiCDF型キルンバーナは良好に運転を継続中であり、2017年度に海外メーカへ納入した同型バーナも2018年夏に運転を開始しましたが、現地インフラ整備の遅れ等により、本格的な稼働はこれからとなります。さらに、2018年度に実用新案登録(実用新案登録第3213113号)した、パーシャル・ハイモーメンタムバーナは石灰キルンへの採用で極めて良好な結果により高い評価を得たことを受け、石灰メーカ様のみならず国内外のセメントメーカ様への水平展開も計画されています。一方では、従来重油燃料が主流であったセラミック焼成用の高温キルンに対し、ガス会社様との協力によりガス燃転の試みを開始しております。
鉄鋼産業用ラジアントチューブバーナについては、適用台数の多いスタンダード型のRTバーナの低NOx性能の改良を継続的に試みてまいりましたが、その成果を確認するため、COG燃料での実証が計画されています。
熱処理用台車炉等で用いるために開発されたハイスピードバーナは、350kW型、175kW型両タイプともに良好に実稼働中で、開発フェーズは完了しましたが、今後もラインナップの充実を計画していきます。
石油産業用の加熱炉等に用いられる低NOxバーナSRX-E型は、国内および韓国でのCOG燃料による運転で、いずれも顧客殿より高い評価を得ています。2017年度に申請した特許も登録(特許第6168875号)となり、本件の開発は一旦完了としました。今後LNG燃料、リファイナリガス等の燃料用にも販促を図るための営業活動を強化します。
当連結会計年度の研究開発費の総額は1,665千円でした。今後の研究開発活動における目的と課題は、次のとおりです。
(研究開発の目的)
1)HiCDF型キルンバーナおよびパーシャル・ハイモーメンタムバーナは、セメントキルン、石灰キルン等への適用実績増加で、性能向上のためのデータを蓄積。一方では、セラミック焼成用の高温キルンのガス燃転のためのバーナ開発を継続。
2)スタンダード型ラジアントチューブバーナの低NOx性能向上による交換需要への対応。
3)次世代型省エネルギー燃焼の一つの核となると予想される高温酸素燃焼技術の執権的な検証を行い、将来的な当社の売り上げの軸となる製品へ発展させるための基礎技術を構築。
4)国内都市ガス燃料と比較し燃焼安定化の面で課題を持つメタンリッチガス燃料をバーナの種類によらず問題無く使用可能にする技術力の強化を図り、あらゆる燃料条件の海外引合いへの対応力強化。
(主要課題)
1)キルンバーナ:HiCDFバーナとパーシャル・ハイモーメンタムバーナのセメント、石灰キルンへの適応範囲拡大のためのデータの蓄積、および1700℃以上の高温となるセラミック焼成キルンにガス燃料を適応させる。
2)ラジアントチューブバーナ:最も適用台数の多いスタンダード型低NOxバーナの改良成果をCOG燃料により実証する。
3)高温酸素燃焼技術開発:実機適用のための課題抽出とその解決方法について、試験バーナを用いて実験的に検証する。
4)メタンリッチガスへの対応:当社の主要ガスバーナを対象に、メタンリッチ燃料でも安定燃焼が可能な設計要点を確立する。
(成果及び進捗状況)
1)HiCDFバーナは海外セメントメーカにおいても稼働を開始し、今後の稼働状況を注視していく。石灰キルン用バーナで納入したパーシャル・ハイモーメンタムバーナは製品品質向上等の成果を得られ、今後の水平展開を計画中。セラミック焼成用高温キルンも試験的な実施計画を積極的に進めている。
2)ラジアントチューブバーナは、LNG(都市ガス)燃料では良好な低NOx性能を得られることが確認されたため、鉄鋼で最も多く使用されるCOG燃料での実証試験を、JFEスチール様のご協力で本年秋に実施予定。
3)高温酸素燃焼技術開発は、より実用機に近い試験バーナを用いた実験的な検証を2019年度に実施するべく準備中。
4)メタンリッチガス適用の引合いが近年の短期的現象では減少しているものの、長期的視野では確実に増加することが予想されるため、開発は継続予定。