有価証券報告書-第51期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)

【提出】
2021/03/22 15:35
【資料】
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【項目】
140項目

研究開発活動

当社グループは、本社およびテクノセンター(東京都)を研究開発拠点として、基幹のLMシステムをはじめ、精密XYステージやリニアモータアクチュエータなどのメカトロ機器、さらに自動車、免震・制震装置、医療機器、航空機、再生可能エネルギー、ロボットなどの消費財に近い分野において、LMシステムのコア技術とノウハウを活かした製品開発に努めております。
海外では、2010年に中国に海外初の研究開発拠点となるR&Dセンターを設置し、2012年に本格稼働を開始しました。さらに、2015年から新たに連結子会社となったTHK RHYTHM AUTOMOTIVEのドイツの研究開発部門を加え、世界各地のお客様のニーズにより的確にお応えできるよう、米州、欧州、アジアを視野に入れた最適地開発体制の構築を進めております。
産業機器事業では、超高速LMガイド「FHS形」を開発しました。世界最高速度15m/sを実現し、ロボット搬送、レーザー切断機、取出しロボットなどの市場開拓を図ります。また、レール幅8mmの世界最小ローラーガイド「HRG形」を市場投入しました。総ローラータイプでローラー保持機能を採用した構造で、装置のコンパクト化、軽量化を提案しています。
ボールスプラインでは、「LFK-X/LFH-X」を開発しラインナップの拡充を図りました。芯高さを低く設計することができ、取付周辺部品のコンパクト化に貢献します。ボールねじでは、軸方向許容荷重を2倍に向上させたプレス機向け高負荷ボールねじ「HBN-P型」を開発しました。許容荷重が高いため、ねじ軸径の大型化を抑えた装置設計が可能です。また、DIN規格に対応した高速コンパクト精密ボールねじ「SDA10VZ」をラインナップに追加しました。民生分野に最適な製品として推力6,000Nのロッド形アクチュエータ「CRES6000」、ユーティリティスライド「ATG」を市場へ投入し新たな市場開拓を進めております。
ロボット関連では、搬送ロボット「SIGNAS」を開発し市場投入しました。従来のAGV(無人搬送車)とは一線を画し、独自の自律移動制御システムを搭載することによって、かつてない新しい誘導方式を実現します。また、新型コロナウイルス感染拡大防止策として、人との接触による感染リスクの低減に貢献する「検温ロボット」を開発しました。
IoT関連では製造業向けIoTサービス「OMNIedge」を2020年1月に本格的に市場投入し、LMガイド、ボールねじの部品状態を見える化し、予兆検知が可能になるサービス運用を開始しました。また、次の展開としてベアリングなどが使われているポンプ、ファン、コンベアなどの回転部品へのサービス運用をラインナップに加える予定です。
輸送機器事業では、自動車の電動化に伴い、軽量化ニーズへの対応と拡販に向け、新工法を採用したアルミ製品の市場投入を開始するだけでなく、北米ではアルミ鍛造技術を内製化し、米国のお客様のみならず、現地調達化ニーズがある日系メーカーのお客様にもご採用いただいております。
また、L&S(リンケージ アンド サスペンション)事業だけでなく、第2の柱としてCASE関連の自動ブレーキ用ボールねじ製品を開発、量産しております。ボールねじ製品で新たに足回り関連部品にも採用が決定しており、更なる拡販に向け、シリーズ化を進めてまいります。
さらに、第3の柱として、お客様がまだ気づかれていない、5年先、10年先のニーズを見据え、複合技術を取り入れた次世代製品の開発を、国内外の開発部門で推進するとともに、現在のお客様のニーズにお応えした製品ラインナップの拡充に努めてまいります。
当連結会計年度における研究開発費の総額は5,349百万円であります。