有価証券報告書-第55期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/27 13:11
【資料】
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【項目】
97項目

事業等のリスク

「有価証券報告書」に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主な事項には以下のようなものがあります。
なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力をいたす所存であります。なお、本文中における将来に関する事項は、「有価証券報告書」提出日(平成28年6月27日)現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場環境が製品需要に与える影響について
当社グループの製品は、金型や部品の加工に用いられるものであり、特に自動車関連や電子部品関連向けの比重が高くなってきております。販売先といたしましては日本国内のほか、中国や東南アジアをはじめ欧米にも輸出をしております。従いまして、それら関連する産業の需要動向や地域の経済状況が当社のグループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 主力製品への集中について
当社グループは超硬小径エンドミルの製造販売に経営資源を集中しております。超硬小径エンドミルは、主に電子機器、民生機器、自動車部品等の精密金型製作や部品の加工に使用されております。当社グループでもCBN(立方晶窒化ホウ素)やPCD(多結晶ダイヤモンド焼結体)といった超硬合金以外の素材を使用した製品の開発・製造等も行っておりますが、現時点では、超硬素材に全面的に取って代わる素材の出現の可能性は低いと考えております。
また、ここ数年3Dプリンターが普及してきており、金属の成形が可能な製品も出てきておりますが、後処理や生産性その他の問題等から利用は限定的なものと考えられ、特に量産品の領域では、エンドミルを使用した切削加工に代わるものではないと考えております。
しかしながら、画期的技術革新により、エンドミルを全く使用しない新加工技術が開発された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合について
当社グループが事業展開している小径エンドミル市場では、国内大手の工具メーカーや超硬メーカーが生産・販売体制を強化しており、今後ますます競争が激化していくものと考えられます。当社グループでは、小径エンドミルに経営資源を集中することにより、効率的な生産・開発・販売体制を構築できていると考えており、また、中国をはじめとする海外製品に対しては品質面等での優位性があると考えておりますが、競合の激化により販売価格の下落が進んだ場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 為替変動による影響について
当社グループは「Made in Japan」の品質にこだわり、100%国内で生産を行う一方、連結売上高については20%強が海外向けとなっております。従来は海外向けについても円建での取引が中心でありましたが、2013年に香港に設立した100%子会社である日進工具香港有限公司が香港ドル建での取引を行っているため、為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 特定の仕入先・協力会社への依存について
当社グループは、超硬エンドミルの主要素材である超硬合金の大半を特定の仕入先より仕入れております。また、超硬エンドミル生産の主要工程の一つであるコーティングにおきましては、内製化を進めているものの一部を特定の協力会社に委託しております。これは、増産時の対応または万が一のためのリスク対応等を狙いとするものであります。
当社グループと当該仕入先・外注先とは、長年にわたり極めて緊密な関係にあり、今後ともこれまでの取引関係を維持発展していく方針でありますが、当該先の事業方針、営業政策が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、素材やコーティングの改良についても当該先と連携して行っておりますが、当該先の事情により制約を受ける可能性があります。
(6) 原材料価格の上昇について
当社グループの主要製品である超硬エンドミルの主要素材は超硬合金であります。超硬合金の主要成分となるタングステンは国際市況商品であり、その価格は世界的な需給関係や産出国の思惑等によって大きく影響を受けます。当社グループにおきましては、製品原価に占める材料費の割合が比較的少ない小径製品のウェイトが高いことから、原材料価格の変動による連結業績への影響は、生産工程の効率化や製造経費の削減努力等によりある程度吸収可能であると考えますが、大幅な価格上昇が続いた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 製品の品質確保について
当社グループは、ISO9001及び14001等の世界的に認められている品質管理及び環境管理基準に従って製品を製造しております。また、自社開発機による自動化推進により製品の安定性を高める等、製品の品質確保にはできる限りの対応をしておりますが、欠陥、リコールが発生した場合には、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、製造物責任賠償については保険に加入いたしておりますが、賠償額を十分にカバーできる保証はありません。
(8) 生産・開発拠点の集中について
これまで当社グループでは、生産・開発拠点を宮城県の仙台北部中核工業団地内に集約することで、効率的な生産・開発体制を構築し、製品の品質、精度、価格競争力等を高めてまいりました。また、本社(東京)や海外現地法人(香港)の製品在庫を充実させることにより、不測の事態に対しても一定期間の出荷を確保できる体制としております。しかしながら、同一地域への拠点集中により、当該地域にて大地震等の災害が発生した場合には当社グループの生産・開発体制全体が影響を受ける可能性があるほか、場合によっては市場への製品供給が滞る可能性があります。なお、当社グループでは新潟県及び福島県に子会社の生産拠点を有しておりますが、宮城県の拠点に比べ小規模であり、また、生産している製品区分が異なっております。