有価証券報告書-第178期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/08/10 12:31
【資料】
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【項目】
76項目

業績等の概要

(1) 業績(連結)
売上高48,708(△2,840億円)
営業損益2,708(+7,538億円)
継続事業税引前損益2,255(+6,249億円)
当期純損益△9,657(△5,057億円)

(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
2.「当社株主に帰属する当期純損益」を当期純損益として表示しています(以下、同じ)。
当期の世界経済は、米国で総じて堅調な成長が続き、ユーロ圏では、ドイツをはじめ緩やかな成長が続きました。中国では個人消費が堅調に推移する一方、石炭、鉄鋼業で生産や投資の調整が行われ、成長がやや減速しました。国際金融面では、6月に英国のEU離脱に関する国民投票の結果、ポンドが急落し、11月には米国大統領選の影響等により、ドル高、株高が進みました。国内経済は、雇用、所得の改善が続く中、消費は概ね底堅く、設備投資には持ち直しの動きがみられました。輸出は持ち直しに向かいました。
来期の世界経済は、米国で引き続き堅調な成長が続き、ユーロ圏でも緩やかな成長が続く中、中国で成長率がやや高まり、世界全体としても成長率は高まると見込まれます。日本経済も1%台半ばの成長になると見込まれます。
こうした状況下、当社グループは全てのステークホルダーからの信頼回復に向け、「海外原子力事業のリスク遮断」、「財務基盤の早期回復と強化」、「東芝グループ組織運営の強化」に取り組み、このうち、「海外原子力事業のリスク遮断」につきましては、米国時間2017年3月29日に、ウェスチングハウスエレクトリックカンパニー社及びその米国関係会社並びに米国外の事業会社群の持株会社である東芝原子力エナジーホールディングス(英国)社が米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続を開始したことに伴い、ウェスチングハウス社グループは2016年度通期決算から、当社連結対象から除外され、ウェスチングハウス社グループに係る経営成績は、連結損益計算書上、非継続事業として取り扱われることになりました。
この結果、当社グループの売上高は、メモリとHDDの増収があったものの、円高による影響や、構造改革によるパソコン・テレビの事業規模縮小の影響もあり、全体としては前期比2,840億円減少し4兆8,708億円になりました。営業損益は、賞与減額等の緊急対策に加え、前年度には資産評価減、構造改革費用、不採算案件の引当等の一時的費用を計上した影響もあったことから、原子力発電システム以外の全ての事業において、対前期で改善し、特にメモリについてはさらに利益率の改善が進み、約20%の営業利益率を達成した結果、前期比7,538億円増加し2,708億円になりました。継続事業税引前損益は、前期比6,249億円増加の2,255億円になりました。当期純損益は、ウェスチングハウス社グループの米国連邦倒産法第11章に基づく再生手続きに伴う損失を非継続事業当期純損益に計上したことにより、前期比5,057億円減少の△9,657億円になりました。
事業の種類別セグメントの業績(連結)は、次のとおりです。
セグメント売上高営業損益
エネルギーシステムソリューション9,749 (△ 864: 92%)△417 (+ 791)
インフラシステムソリューション12,624 (△ 905: 93%)584 (+ 658)
リテール&プリンティングソリューション5,077 (△ 372: 93%)163 (+1,010)
ストレージ&デバイスソリューション17,002 (+1,243:108%)2,470 (+3,470)
インダストリアルICTソリューション2,384 (△ 184: 93%)116 (+ 29)
その他5,301 (△2,659: 67%)△217 (+1,603)
消去△3,429 (+ 901: - )9 (△ 23)
合計48,708 (△2,840: 94%)2,708 (+7,538)

(注)1.単位:億円、( )内 前期比較、△はマイナスを表示
①エネルギーシステムソリューション
火力・水力発電システムが増収になったものの、原子力発電システム、送変電・配電システム等、ランディス・ギア社が減収になった結果、部門全体の売上高は前期比864億円減少し9,749億円になりました。
損益面では、原子力発電システムが悪化しましたが、火力・水力発電システム、送変電・配電システム等、ランディス・ギア社が大幅な増益になりました。これらの結果、部門全体の営業損益は前期比791億円改善し417億円の損失を計上しました。
②インフラシステムソリューション
各事業とも減収になり、部門全体の売上高は前期比905億円減少し1兆2,624億円になりました。
損益面では、各事業とも大幅な増益になったことにより、部門全体の営業損益は前期比658億円増加し584億円の利益を計上しました。
③リテール&プリンティングソリューション
リテール事業は好調に推移しましたが、為替の影響により部門全体の売上高は前期比372億円減少し5,077億円になりました。
損益面では、前期は海外リテール事業の減損損失により赤字になりましたが、当期はリテール事業の収益改善により黒字化しました。これらの結果、部門全体の営業損益は前期比1,010億円増加し163億円の利益を計上しました。
④ストレージ&デバイスソリューション
HDDが大幅な増収に、メモリも増収になった結果、部門全体の売上高は前期比1,243億円増加し1兆7,002億円になりました。
損益面では、各事業とも大幅な増益になったことにより、部門全体の営業損益は前期比3,470億円増加し2,470億円の利益を計上しました。
⑤インダストリアルICTソリューション
製造業向けシステム案件が減収になり、部門全体の売上高は前期比184億円減少し2,384億円になりました。
緊急対策と収益改善施策により、部門全体の営業損益は前期比29億円増加し116億円の利益を計上しました。
⑥その他部門
部門全体の売上高は5,301億円になり、営業損益は217億円の損失を計上しました。
なお、上記の事業の種類別の売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高3,429億円が含まれています。
(2) キャッシュ・フロー
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、前期の12億円の支出から1,354億円改善し、1,342億円の収入になりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前期において東芝メディカルシステムズ㈱の売却等があったことにより、前期の6,534億円の収入から8,324億円減少し、1,790億円の支出になりました。
これらの結果、当期のフリー・キャッシュ・フローは、前期の6,522億円の収入から6,970億円減少し、448億円の支出になりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の1,357億円の収入から3,555億円キャッシュが減少し、2,198億円の支出になりました。
その他に為替の影響によるキャッシュの減少が32億円あり、当期末の現金及び現金同等物の残高は、前期の9,755億円から2,678億円減少し、7,077億円になりました。
(注)・連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成しています。但し、当社グループの営業損益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費並びにのれん減損損失を控除して算出したものであり、経営資源の配分の決定及び業績の検討のため、定期的に評価を行う対象となる損益を示しています。一部の事業構造改革費用及び訴訟和解費用等は、当社グループの営業損益には含まれていません。
・ヘルスケア事業、家庭電器事業及びWECグループにおける原子力事業は、Accounting Standards Codification 205-20 「財務諸表の表示―非継続事業」に従い、連結損益計算書上非継続事業として取り扱われるため、売上高、営業損益、継続事業税引前損益にはこれらの事業に係る経営成績は含まれていません。当社グループの当期純損益は、継続事業税引前損益にこれらの事業に係る経営成績を加減して算出されています。また、連結貸借対照表上も非継続事業として取り扱われるため、区別して表示しています。これに伴い、過年度の数値も組み替えて表示しています。