訂正内部統制報告書-第111期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2019/03/14 13:48
【資料】
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財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項

代表取締役社長宮地國雄は、当社の財務報告に係る内部統制の整備及び運用に責任を有しており、企業会計審議会の公表した「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠して財務報告に係る内部統制を整備及び運用しております。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的に結びつき、一体となって機能することで、その目的を合理的な範囲で達成しようとするものであります。このため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性があります。

評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項

財務報告に係る内部統制の評価は、当事業年度の末日である平成27年3月31日を基準日として行われており、評価に当たっては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制の評価の基準に準拠しております。
本評価においては、連結ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす全社的な内部統制の評価を行った上で、その結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定しております。当該業務プロセスの評価においては、選定された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制上の要点について整備及び運用状況を評価することによって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当社及び連結子会社について、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性の観点から必要な範囲を決定いたしました。財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的及び質的影響の重要性を考慮して決定しており、当社及び連結子会社3社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合理的に決定いたしました。なお、残る連結子会社11社については、金額的及び質的重要性の観点から僅少であると判断し、全社的な内部統制の評価範囲に含めておりません。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、各事業拠点の前連結会計年度の売上高(連結会社間取引消去後)の金額が高い拠点から合算していき、前連結会計年度の連結売上高の概ね2/3に達している6事業拠点を「重要な事業拠点」といたしました。選定した重要な事業拠点においては、企業の事業目的に大きく関わる勘定科目として売上高、売掛金、たな卸資産及び買掛金に至る業務プロセスを評価の対象といたしました。さらに、選定した重要な事業拠点にかかわらず、それ以外の事業拠点をも含めた範囲について、重要な虚偽記載の発生可能性が高く、見積りや予測を伴う重要な勘定科目に係る業務プロセスやリスクが大きい取引を行っている事業又は業務に係る業務プロセスを財務報告への影響を勘案して重要性の大きい業務プロセスとして評価対象に追加しております。

評価結果に関する事項

下記に記載した財務報告に係る内部統制に関する事項は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当該事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

当社は、平成30年8月に当社の連結子会社である大連帝国キャンドモータポンプ有限公司(以下、「大連帝国」といいます)及びその連結修理子会社3社(無錫大帝キャンドモータポンプ修理有限公司、済南大帝キャンドモータポンプ修理有限公司、成都大帝キャンドモータポンプ修理有限公司、以下、「修理子会社」といいます)の一部取引について疑義があるとの内部通報を受け、内部調査を実施いたしました。その結果、営業部門を有しない修理子会社に代わり顧客との取引に関する営業活動を担当する大連帝国の営業担当者に対する営業奨励金等の支払いに関し、架空取引を用いていたことが判明いたしました。
その後、上記取引以外についても不適切な取引が行われていないかどうか、調査を開始したところ、その過程で大連帝国において、売上の早期計上、過去の時間外労働に対する賃金末払、スクラップ売却代金の簿外処理、個人所得税還付金の簿外処理、及び不良在庫の簿外処理の行為が行われている疑義が生じました。
そこで、当社は、平成31年1月18日付で社内調査委員会を設置し、事実関係の正確な把握及び本件が生じた要因の究明と再発防止策の検討に取り組んできました。
平成31年3月14日の同委員会による調査報告の結果、以下の事項が判明しました。
(1)大連帝国の営業請負制度の下での個人的な領得行為は確認されなかったものの、修理子会社の営業請負制度においては、各修理子会社総経理及び大連帝国総経理の個人口座に、架空取引等を用いて作出された金員が入金されており、その資金使途について明確な説明が受けられなかったこと等からすると、個人的な領得行為があったことが疑われます。
(2)大連帝国は、営業請負制度の下での営業担当者へのインセンティブボーナスの支払いにかかる個人所得税の計算について、解釈の余地がある計算方法を採用しており、所管税務局との間で見解の相違が生じる可能性を完全に否定することができず、税務局の採用する見解次第では、追徴を受ける可能性があります。
(3)修理子会社は、営業請負制度の下で、架空の取引や架空の従業員への賞与等支払を作出しており、かかる架空の費用計上等に起因して、増値税等を追加納付する必要があります。
(4)大連帝国は、一部の製品について、売上の早期計上をしていました。
(5)大連帝国は、時間外労働の賃金を各従業員の退職時において、入社時からの分を合算して一括精算しており、期間に対応した費用計上、支給をしていませんでした。
(6)大連帝国は、スクラップの売却代金及び各期の税金の還付金からアルバイトの賃金を支払っていましたが、かかる処理を簿外で行っており不明朗な資金の管理を行っていました。
(7)大連帝国において、フォレンジックデータの解析により中国の法令に違反する謝礼金の支払いを企図していたことを疑わせる資料が発見されました(ただし、実際に支払がなされたかどうかは確認できませんでした。)。
この調査結果に伴い、当社は、影響のある過年度の決算を訂正するとともに、平成26年3月期から平成30年3月期までの有価証券報告書並びに平成28年3月期第3四半期から平成31年3月期第2四半期までの四半期報告書の訂正報告書を提出することといたしました。
本件の主な原因については、大連帝国におけるコンプライアンス意識の低さや、大連帝国の営業本部がブラックボックス化し、中国事業については社内でもごく限られた範囲に情報、権限が集中していたため、当社はもとより、大連帝国内においても営業本部や総経理の行為について詳細を関知できず、口出しもしづらくなるという事情があったこと等が挙げられます。
以上のことから当社及び大連帝国は、結果として内部統制が有効に機能していなかったと判断し、全社的な内部統制の一部に開示すべき重要な不備があるものと認識しております。なお、上記につきましては、当該不備の判明が当事業年度の末日以降であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。
当社は、社内調査委員会の報告を踏まえ、以下の再発防止策を講じてまいります。
①当社グループの経営陣並びに社員のコンプライアンス意識の徹底を図ります。
②大連帝国を含む当社グループにおいて、過度の権限集中・固定化をせず、定期的な人事異動を行い、相互牽制が図れるような人材配置を徹底いたします。
③修理子会社は会社清算を行い、アフターサービス拠点としては大連帝国の支店の形式により修理工場を新たに開設することを検討いたします。
④大連帝国において各部門間の透明性が確保できるような組織体制を構築し、不適切な行為の早期発見、早期対応ができるように内部通報制度の見直しを行います。また、大連帝国以外の海外子会社においても、組織体制及び内部通報制度の見直しを検討してまいります。
⑤大連帝国の販売プロセス業務において、発送先、注文書納期の確認を徹底し売上の早期計上を防止いたします。
⑥当社による大連帝国等海外子会社の管理の強化と内部監査の充実を図ります。