四半期報告書-第122期第2四半期(平成27年7月1日-平成27年9月30日)

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2015/11/10 14:04
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38項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


(1) 業績の状況
当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、輸出や鉱工業生産が横ばいとなったものの、個人消費が底堅く、雇用情勢も改善傾向にあるなど、緩やかな回復を続けた。また、海外も、中国の経済成長は減速したものの、米国経済は回復が続き、ユーロ圏の景気が持ち直すなど、総じて底堅く推移した。
こうした中、当社グループでは、液晶テレビ「AQUOS 4K NEXT※1」や電気無水鍋「ヘルシオ ホットクック※2」、IGZO 液晶ディスプレイ※3、照明用電力の削減が可能となる採光フィルム※4など、独自商品・特長デバイスの創出と販売強化に努めた。また、インセル型液晶タッチディスプレイ※5の量産も開始した。さらに、安定した経営基盤の早期確立に向け、「2015~2017年度 中期経営計画」の3つの重点戦略である①事業ポートフォリオの再構築、②固定費削減の断行、③組織・ガバナンスの再編・強化に取り組んだ。
しかしながら、当第2四半期連結累計期間の業績は、液晶テレビや太陽電池、中小型液晶パネル等の売上が減少したことなどにより、売上高が1,279,683百万円(前年同四半期比96.4%)となった。また、中小型液晶パネルの収益性悪化などにより、営業損失が25,161百万円(前年同四半期は29,221百万円の営業利益)、経常損失が38,659百万円(前年同四半期は10,786百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失が83,610百万円(前年同四半期は4,742百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となった。
なお、資金面では、総額225,000百万円の優先株を発行し、中期経営計画の遂行を支える資本の増強と成長分野への投資資金の調達を行った。
※1 4原色技術を用い8K解像度を実現した4K液晶テレビ。詳細は、2015年5月21日公表の「『AQUOS 4K NEXT』<80V型:LC-80XU30>を発売」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150521-a.html
※2 業界で初めて、水を使わず、火を使わず、健康的な「無水調理」が手軽にできる電気無水鍋。詳細は、2015年9月17日公表の「業界初 電気無水鍋「ヘルシオ ホットクック」を発売」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150917-a.html
※3 透明な酸化物半導体を採用したディスプレイ。詳細は、下記URL参照。
http://www.sharp.co.jp/igzo/
※4 液晶ディスプレイの開発で培った光学制御技術を応用した採光フィルム。詳細は、2015年6月2日公表の「液晶ディスプレイの技術開発で培った光学制御技術を応用した「採光フィルム」を開発」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150602-b.html
※5 タッチセンサー部の機能を内蔵した液晶ディスプレイ。詳細は、2015年6月17日公表の「スマートフォン向けインセル型液晶タッチディスプレイを量産開始」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/news/150617-a.html
セグメントの業績は、概ね次のとおりである。
①プロダクトビジネス
価格下落の影響はあったものの、複合機の販売が海外で伸長した。一方、液晶テレビや空気清浄機及び太陽電池の販売が減少した。
この結果、売上高は686,618百万円(前年同四半期比 85.5%)、セグメント利益は12,134百万円(前年同四半期比 39.2%)となった。
②デバイスビジネス
カメラモジュールの売上が伸長した。一方、中国スマートフォン向けなどの中小型液晶パネルの売上が減少した。また、テレビ用大型液晶パネルについては、外部顧客への売上が増加したものの、液晶テレビの販売落ち込みに伴い、セグメント間の内部売上が減少した。利益面では、中国スマートフォン向けの中小型液晶パネルの競争激化に伴う価格下落等により収益性が悪化した。
この結果、売上高は634,462百万円(前年同四半期比 103.9%)、セグメント損失は18,469百万円(前年同四半期は18,342百万円のセグメント利益)となった。
当第2四半期連結会計期間末の財政状態については、資産合計が、前連結会計年度末に比べ174,851百万円減少の1,787,058百万円となった。これは、現金及び預金や受取手形及び売掛金、たな卸資産が減少したことなどによるものである。一方、負債合計は、短期借入金や支払手形及び買掛金が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ311,289百万円減少の1,606,105百万円となった。また、純資産合計は、優先株の発行などにより、前連結会計年度末に比べ136,438百万円増加の180,953百万円となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ82,137百万円(35.4%)減少し、150,074百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動による資金の支出は、59,144百万円であり、前第2四半期連結累計期間に比べ95,900百万円増加した。これは、税金等調整前四半期純損益が利益から損失に転じたことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において投資活動による資金の支出は、28,119百万円であり、前第2四半期連結累計期間に比べ5,438百万円(24.0%)増加した。これは、有形固定資産の取得による支出が2,010百万円減少し、有形固定資産の売却による収入が2,741百万円増加したものの、投資有価証券の売却による収入が13,223百万円減少したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において財務活動による資金の収入は、9,944百万円であり、前第2四半期連結累計期間に比べ121,986百万円増加した。これは、短期借入金の純増減額が増加から減少に転じたものの、社債の償還による支出が100,328百万円減少したほか、種類株式の発行による収入が224,606百万円あったことなどによるものである。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループは、「1 事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、「3 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策」に記載した対応策を実施している。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
① 基本方針の内容
当社取締役会は、当社グループのように製造業を営む企業が、企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるためには、中長期的な視点により先端技術や製造技術を自社内で開発、活用し、また、この間に顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの良好な協力関係を構築することが必要不可欠であると考えている。
また、当社グループの買収を企図した当社取締役会の賛同を得ない当社株式の買付行為であっても、これに応じるか否かは、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、その目的等からみて企業価値・株主共同の利益に明白な侵害をもたらすものや、株主に株式の売却を強要するおそれのあるものなどの不適切な買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えている。
② 基本方針の実現に資する特別の取り組み
当社グループは、「誠意と創意」の経営信条の下、時代を先取りする独自商品の開発を通じて、企業価値の向上に努めるとともに、社会への貢献を果たしてきた。
また、当社グループは、先進のエレクトロニクス技術を駆使し、顧客のニーズを捉えた革新的な商品やサービスを創出することが、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにつながると考えている。
こうした考えの下、「2015~2017年度 中期経営計画」では、以下の3つの重点戦略を着実に実行し、「抜本的構造改革の断行による安定的収益基盤の構築」を目指していく。
イ 事業ポートフォリオの再構築
当社の事業を、顧客や事業特性に応じた下記の5つのカンパニーに再編する。事業ポートフォリオを再構築し、収益力の向上に取り組む。
・コンシューマーエレクトロニクスカンパニー
・エネルギーソリューションカンパニー
・ビジネスソリューションカンパニー
・電子デバイスカンパニー
・ディスプレイデバイスカンパニー
ロ 固定費削減の断行
抜本的なコスト構造改革を断行し、将来を見据えた収益力向上を図っていく。具体的には、事業構造・拠点改革の推進、希望退職や海外拠点縮小に伴う人員削減、本社のスリム化や緊急人件費対策などを実行する。
ハ 組織・ガバナンスの再編・強化
a.カンパニー制の導入とその狙い
カンパニー制を導入し、コーポレートによる統制の強化と各カンパニーの自律性の確立を両立することにより、規律あるスピード経営の実現を目指す。各カンパニーは、「財務三表に基づく経営」、「生産から販売までの一貫体制の構築」、「組織のフラット化による市場変化への迅速な対応」を実現していく。
b.抜本的な人事改革
会社再生に向け、重要な役割を担う人材にベストな成長機会と働き甲斐ある処遇を提供し、各事業領域での厳しい競争を勝ち抜く強い組織をつくるため、以下の人事改革に取り組んでいく。
(a) 等級・報酬制度の見直し
(b) 処遇の適正化
(c) 実力ベースの人材登用徹底
(d) 組織のフラット化・シンプル化
このほか、コンプライアンス意識やステークホルダーの視点をもって事業活動に取り組むことにより企業の社会的責任を果たすとともに、環境・教育・社会福祉の分野を中心とした様々な社会貢献活動の推進により、広く社会からの期待に応え、信頼と評価を高めるよう推進していく。また当社は、株主への利益還元を経営上の最重要課題の一つと考えており、連結業績と財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し、長期的な視点に立って、株主への利益還元に取り組んでいく。
これらのほか、③の取り組みを行っている。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって支配されることを防止するための取り組み
当社は、特定の株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の買付行為(以下、「大量買付行為」といい、そのような買付行為を行う者を「大量買付者」という。)に関するルールを『当社株式の大量買付行為に関する対応プラン』(以下、「本プラン」という。)として定めており、その概要は次のとおりである。
イ ①の基本方針に記載のとおり、当社取締役会は、当社株式の大量買付行為に応じるか否かについては、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、株主が適切な判断を行うためには、大量買付者及び当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供される必要があると考えており、そのためには、大量買付行為が行われる際の一定の合理的なルールを設定しておくことが不可欠であると考えている。
ロ 当社取締役会が設定するルールでは、大量買付者に対して、a)一定の期間内に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報提供をすること、b)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大量買付行為を開始することを求めている。
ハ 当社取締役会は、大量買付者がルールを遵守しない場合、あるいは、ルールを遵守していてもその行為が当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうと判断される場合には、当社グループの企業価値・株主共同の利益を確保するため、対抗措置を発動することがある。
ニ 当社取締役会による大量買付行為の検討・対抗措置の発動にあたっては、社外取締役、社外監査役及び外部の有識者の中から選任される3名以上の委員により構成される特別委員会の勧告を最大限尊重し、最終決定する。なお、以下の場合には、原則として株主意思確認総会を開催し、当社取締役会はその決議に従う。
・特別委員会が、対抗措置発動についてあらかじめ株主総会の承認を得るべき旨の留保を付した場合
・当社取締役会が株主の意思を確認することが適切であると判断した場合
ホ 当社取締役会が、対抗措置の発動を決定した後、大量買付者から必要かつ十分な情報の提供があり、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資すると特別委員会が勧告し、当社取締役会が判断した場合は、対抗措置を取り止める。
④ 本プランに対する取締役会の意見
当社取締役会は、以下の理由から、本プランが①の基本方針に沿っており、また、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。
イ 本プランは、大量買付者が大量買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び当社取締役会の評価期間が経過した後にのみ当該大量買付行為を開始することを求め、これを遵守しない場合、あるいは、遵守していても当社グループの企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような不適切な大量買付行為が行われる場合には、当社取締役会が大量買付者に対して相当の対抗措置を発動することがあることを明記している。
ロ 本プランは、当社株主が大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の代替案の提示を受ける機会の提供をルール化し、当社株主及び投資家が適切な投資判断を行える環境を整えるものである。また、本プランの発効・継続は、当社株主の承認を条件としている。
ハ 本プランは、不適切な大量買付行為に対して、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示するものであり、対抗措置の発動は本プランに従って行われる。さらに、大量買付行為に関して当社取締役会が評価、検討、対抗措置の発動等を行う際には、外部専門家等から助言を得るとともに、特別委員会の意見を最大限尊重すること、株主の意思を確認することが適切と判断した場合は株主意思確認総会を開催し、取締役会はその決議に従うことを定めており、本プランには当社取締役会による適正な運用を担保するための手続が盛り込まれている。
⑤ 本プランの有効期間
本プランは、平成26年6月25日に開催された当社第120期定時株主総会において株主の承認を得ており、その有効期間は平成29年6月30日までに開催される第123期定時株主総会終結の時までとなっている。
(注)本プランの詳細については、当社ホームページに掲載のニュースリリース参照。
・平成27年5月14日付ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2015/150514-1.pdf
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は68,676百万円である。
なお、当第2四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。
(5) 事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは「1 事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、以下の対応策を実施している。
当社グループでは、①事業ポートフォリオの再構築、②固定費削減の断行、③組織・ガバナンスの再編・強化を3つの重点戦略とした新たな中期経営計画を実行している。
事業ポートフォリオの再構築では、中国のHisenseグループと米州液晶テレビ事業に関するアライアンス契約を締結した。これにより、メキシコの生産拠点を同グループに売却するとともに、ブランドライセンスビジネスへ移行する。
固定費削減の断行では、国内において希望退職を実施したほか、海外でも人員削減に着手した。緊急人件費対策として給与削減、賞与カットの実施のほか、福利厚生や諸手当の見直しも行っている。
組織・ガバナンスの再編・強化では、平成27年10月1日にカンパニー制を導入し、5つの事業体を母体に、5つのカンパニーに再編した。各カンパニーは、開発から生産、販売までの一貫体制を構築し、財務三表に基づく自律経営を行い、収益基盤の強化を図っていく。
資金面においては、主たる金融機関から、新たな中期経営計画中の支援継続の同意を得られており、資産の売却などにより、必要な資金を確保できる見込みである。
これらの諸施策により、資金不足となるリスクを回避するとともに、継続的な支援のもと、新たな中期経営計画の具体的な対応策を推進している。